今さらですが、中日の落合監督が今年で退団します。
落合信者である私の落合博満との出会いについて。
落合博満は三冠王を3回とった実績で有名ですが、私がプロ野球を知った頃には既に引退していたので実際にどういう人物だったのかは知ることがありませんでした。
2004年に中日の監督に就任しましたが、私にとっての出会いは2006年。野球をやっていた私は友人から本を借ります。それが『落合博満の超野球学』です。この本に出会ったことは、私にとっては一種のイノベーションのようなものです。
それまでに読んだ野球技術の本というのは、だいたい「(投手に向かって後ろ側の)肩を下げない」とか「コンパクトに振りだす」とかそういうことしか書いていなかったように思えますが、この本は野球技術よりも物事の考え方について学んだような気がします。
ストライクゾーンを内・真ん中・外、高・真ん中・低で9つに分割したときに、対峙している打者の各コースごとの打率が明かされていて、打ち取るための配球を考える。この問題には正解はないですが、外角低めだけ打率が.000になっているのだから全部外角低めに配球すればいいという考えは当時の私にはなかったものでした。
また、なぜ球場の形はセンターが1番深くできているのかを考えたりするところなど、与えられているものに対して理屈を考えることはあまりしたことがなく、自分で考えることは重要だと気付きます。
肝心の野球技術に関しても、どう打つのが正解というのはないが禁じ手と呼ばれるものは存在するとして基礎に忠実に書かれていて読みやすい。
友人に本を返した後は自分で本を買い直すほど、落合博満という人間に惹かれていったわけです。
私が評価する私の価値観を自分で疑ったことはないですが、私の価値観の創造に影響を与えた人物を挙げるとするならば、この本との出会いだけながら身近にいた人を押しのけて5本の指には確実に入ってくると思います。
それからは、プロ野球もTVで放映しなくなったため関心も薄れていきましたが、球界で最も興味のある人間として中日を見ていましたが、今年で退団。7年間で優勝3回、2位を3回、3位1回という優秀な成績で今年もヤクルトを逆転して首位に立っています。
シンプルで鋭い視線を持ち野球を考えられる落合博満がなぜ嫌われているのか私にはちょっと分かりませんでしたが、私にとっての野球の魅力は剛速球で三振を奪ったりそれを打ち返してホームランにすることではなく、9回を終えた時点で試合に勝つためにはどういう采配・策略・プレーが求められるかを考えて最も勝率の高い手段を選ぶところにあると思っている(こう思うようになったのも落合博満の影響です)ので、そういった野球が見られなくなるのはやや残念なところです。
しかし、今後の落合博満には中日を優勝に導くという仕事がなくなるため、執筆活動や解説者としての仕事をすることも考えられるので、また野球を見るための新しい目線を与えてくれるのではないかと期待しています。
ぜひまた私たちに野球を教えていただきたいものです。