2011冬ドラマ「ハングリー!」の感想

ドラマ「ハングリー!」を見終えて。




内容が非常に分かりやすいドラマでしたね。
料理の才能はあったけれど青春期にロックに目覚めた主人公が「30過ぎて芽が出なかったら諦める」という約束と母親の死をきっかけに再び料理の道を歩むことになり、バンドの仲間とレストランを開店してちょっとしたいざこざに巻き込まれたりライバル店と競いながらなんとなく成功していくお話。
多少誇張した表現にはなりますが、次回予告を見るだけでおおよそ次のお話が想像できました。内容としてはそれくらい薄いもののような気はします。
あ、とは言いながらも主人公の恋人とこじれたりはしなかったのはちょっと意外でした。


このドラマは、ドラマというよりは長編のイメージビデオのようなものだと感じました。つまり、ドラマの中身が重要なのではなくて、これを観て癒しや憧れやそういう要素を感じるかどうかということだと思います。
主演の向井理は世間的に容姿の評価が非常に高く、適度に年齢を重ねています。そんな憧憬を抱きやすい人が料理をしています。“料理”のイメージには男性が積極的にするものではない(できたらかっこいい)、器用などがあると思います。つまり、このドラマの主人公はおそらく「こんな男性がいたらいいよね!」っていう共感を得られることを重視してできたのではないかと思いまして、ドラマあっての主人公ではなく主人公があってのドラマだと感じました。向井理に抱きやすい爽やかな印象とは違って主人公のキャラの口調を悪くしたり喧嘩っ早い性格にさせたのもギャップ萌え狙いや一種の理想像への願望なのではないでしょうか。
そして、瀧本美織。「てっぱん」や「美男ですね」で彼女に抱かれた小さく純粋なイメージはおそらく非常に評価が高く(私の周りではそんな感じです)女性も素直に可愛らしさを感じる人が多いかと思います。そんな彼女に主人公の料理のファンであり料理に惹かれるうちに人物にまで惹かれていったというヒロインを演じさせるのは視聴者の視線としたかったからではないかと思います。
一言でまとめてしまえば、少女漫画の主人公の女の子に自分を投影するかのように、「あの娘いいよね!」ってちょっとした憧れを抱くような人に「あの人かっこいいよね!」ってだいぶ憧れを抱くような人の傍につけて夢を応援する女性の妄想物語という表現をしたいです。女性に対する偏見や先入観をいくらか含んではいますが、あながち間違ってはいないだろうと思います。
そういう意味では、ドラマとしての纏め方を重視していないので料理を出したときにいちいち料理名が出てくるのも気にしてはいけないのかと思います((


最終回で、主人公の父の「芸術はどこか未熟なところがあるから美しい」という意見と麻生の「芸術とは徹底的に完成されたものだからこそ美しい」という意見が述べられていましたね。あまり深く考えたことはないですが、私は後者だと思っています。今後、ちょっと考えてみたい材料だと思いました。


あと気になったのは、ゲスト役を含めて配役される人が意外と有名な人も多かったですが、レギュラーだった宮地真緒山下リオの扱いが雑だったかなと思います。まあ、ドラマとしてとらえていなければ「あっ、知ってる人が出てる」って思えるだけで良かったのかもしれませんが。


そういうわけで話としてはストーリーが単調な面がありますが、演技が気にならない方は観ていても飽きないのではないでしょうか。
演技が酷評される方もいるみたいですが、私には分からないようなので((