BWGSで伝説枠とされているレシラムの良いところを考える。
(種族値)
HP 100
こうげき 120
ぼうぎょ 100
とくこう 150
とくぼう 120
すばやさ 90
弱点:地面、岩、ドラゴン
半減:炎(1/4)、草(1/4)、電気、虫、鋼
一応、伝説枠のポケモンとされるだけあって特攻は非常に高く、相手に攻撃の通りやすい流星群の火力は凄まじいものがあります。そのドラゴン技を唯一半減できる鋼タイプにもタイプ一致で威力130の炎技・蒼い焔を通すことができます。なので、レシラムのタイプ一致技両方を半減できるポケモンは1匹もおらず(ヒードランも特性のターボブレイズで炎を等倍で通してしまう)攻撃面におけるタイプ相性は優れていると言えます。
しかし、炎タイプが加わったことにより、防御面では水技を等倍で通してしまいます。GSルールでは、カイオーガが最も分かりやすい強さを持ったポケモンとして君臨していて、ディアルガ・パルキア・ギラティナなどのドラゴンタイプが強いと言われるのもそのカイオーガの水技に対して耐性を持っているからです。炎タイプで水技が等倍になってしまったレシラムは耐性の面でドラゴンタイプとしての強さを十分に活かせないことになります。
攻撃面での相性は優秀と書いたものの、カイオーガやディアルガなどが中心にいる環境では、高火力の特殊技にあわせて耐久調整が施されていたり天候が雨状態だったりと、どうしてもレシラムが流星群を使わざるを得ない場面が多くなってしまいます。しかし、強化アイテムを持たせるにもディアルガのように耐性が優秀ではなく、パルキアのように頭一つ抜けた素早さがあるわけでもないのでどうしてもタイマンでは不利になってしまいます。
日本晴れを使って雨をメタって攻めようにも噴火や熱風のような範囲攻撃技があるわけではないのでどうしても読み合い勝負になってしまいやすく、他に覚える技も貧弱で攻撃範囲を広げることもできないので伝説ポケモンでありながらサポートなしでの単体運用がしづらいです。
因みに、耐久の値もパルキアよりちょっと高い程しかなく、寧ろ素早さの面や弱点の数を考えるとレシラムの方が耐久は信用しづらいと言えるのではないでしょうか。
一度まとめてみます。
・火力の高い技はあるが攻撃範囲は狭い、耐性面では水技が等倍、地面岩ドラゴンが弱点、素早さ種族値は90と伝説枠の中では遅い、耐久値はパルキアより少し上程度
↓
・火力を活かすために強化アイテムを持たせようとすると、同族のドラゴンと勝負できる耐性のあるディアルガ、伝説枠のドラゴンの中で最も速いためにタイマン性能を上げることができるパルキアの方に比べて安定しないことが分かる
↓
・炎タイプとしての側面を活かすために日本晴れ+炎技のようなギミックを組み込むにも、炎の範囲攻撃技を覚えるわけではないので同じように高火力の技で1匹ずつ潰していくようなゼクロムミュウツーといったポケモンと同じような扱い方になる、そしてその割には攻撃が通りづらく素早さもなく単体で扱いづらいのでレシラムでは耐久面も含め様々な不安定さを露呈することになる
そういうわけで、レシラムというポケモンは単体としての性能が低いわけではないものの、GSルールという環境や他のポケモンの存在からかなりの逆風を受けてしまっていて、パーティの中の1匹として採用に至ることが非常に少ないのが現状です。
では、そんなレシラムを対戦で活躍させるにはどうすれば良いのか。
私もBWGSを始めた頃はレシラムに目をつけたものの、大文字を覚えさせたパルキアの方が良いという結論に至りました。また、他の方からも「レシラムで考えていたのにディアルガの方が良いということになった」というような話はよく聞き、「レシラムはめざめるパワー炎ラティオスの劣化」と揶揄されているのも見掛けました((
つまり、他のポケモンでは取って代われないような「レシラムを使用する上でのアイデンティティ」を見つけてあげる必要があると思います。軸として扱うには不安定なことは上に書いた通り分かっているので、レシラムは補完として用いることになると思います。補完のポケモンとして条件を備えていないと採用に至ることはありませんが、その条件を満たせるかどうかという意味でレシラムにしかできないようなことを探してみます。
まず、一つだけ確実に言えることはタイプ一致の炎技は確実に採用する必要があります。炎タイプにより水を等倍で通してしまうところがレシラムが他のドラゴンの劣化と言われる理由になっているので、その炎タイプを攻撃面で生かさない限りはレシラムを採用する理由には繋がりません。
というわけで、レシラムを使うにあたってほとんどの場合が採用しなくてはならないと思えるほどの技が固有の蒼い焔(大文字より威力が10高いだけなので封印する場合以外は蒼い焔でいいでしょう)。
その蒼い焔の火力ですが・・・
・C172蒼い焔でH187D134メタグロス確定1発
・C203晴れ蒼い炎でH227D200クレセリア確定2発
・C212蒼い焔でH221D141モロバレル確定1発
・C222雨蒼い焔でH181D184ナットレイ1発(0.85〜0.89の乱数以外)
・C222晴れ蒼い焔でH175D142グラードン1発(0.85〜0.86の乱数以外)
これが蒼い焔を打ちたいおおよその相手への計算です。ジュエル蒼い焔でHP振りディアルガが倒せるなどなどもありますが、基本的に流星群と確定数が変わらない相手であれば他のドラゴンを採用すればいいのでレシラムを採用する理由からははずれてしまいます。また、これを見ると比較的特攻を上げなければならないように思えるので、どうしても数値が足りないという場合はオーバーヒートを採用する必要が出てきます。
つまり、流星群を耐えるもののタイプ一致の炎技となると耐えられないポケモン(メタグロス、モロバレル、グラードン)を倒すためにレシラムが採用されるのではないでしょうか。
因みに、一応他のドラゴンポケモンと差異を出せそうな点は見ておきます。
○ターボブレイズ
レシラムの特性。つまり、型破りと同じです。
型破りで無視できる特性で嬉しいものは頑丈くらいです。その頑丈の筆頭である低レベルココドラがIRの仕様で使えないために実用的な場面はあまりありません。あとはフラワーギフトや貰い火や不思議な守りで困らないという程度です。
○封印
封印できると嬉しい技は流星群、竜の波動、大文字、守る、など。ただ、封印も含めてここで技が5つ挙がっているのでどれか一つは封印することができません。
ドラゴン技を封印すると相手のドラゴンが脅威でなくなりますが、それでいい思いができるのはレシラムを含むこちらのドラゴンなのでドラゴン2匹で潰しにいく展開の方が良さそうです。大文字を封印するとナットレイを倒す手段を失うことは考えられますが、レシラムの耐性が安定しているわけではなくナットレイは展開の遅いポケモンなので封印しても長時間居座りを続けられるかが疑問点ではあります。
余談ですが、レシラムのを使った試合でよく見たのは龍の波動を封印して流星群を打たれたりその逆であったりします((
○逆鱗
他のドラゴンタイプのポケモンも覚える技ですが、他のドラゴンポケモンと違って鋼ポケモンを交代で出しにくいという点が挙げられます。なので、他のドラゴンポケモンに比べたら最も有効に逆鱗を扱えるのではないかと思います。攻撃種族値は120もあり流星群と違って火力を落とすこともありません。
攻撃を最大まで上げてもディアルガやバンギラスを逆鱗2発で確定では突破できないところが難点です。逆に言えば、威張る+キーの実の逆鱗でほとんどのポケモンは倒すことができますが、そういう逆鱗に特化する扱いをするならば、やはりディアルガで十分な面は否めません。
○毒々、鬼火
バンギラスに対して最も効果的だと思う打点の持ち方。毒々は上の逆鱗の項で述べたように毒の効かない鋼が交代で出てくることが少ないという程度にしか特徴はありません。
特攻を最大まで上げた竜の波動でも砂嵐状態のバンギラスを3割程度しか削ることができないので、定数ダメージが立派な打点となります。鬼火は当たりにくいのとホウオウには効かないのが問題です。
○光の壁、リフレクター
比較的使えるポケモンは多い技ですが、ディアルガパルキアギラティナは習得できません。伝説ポケモンの耐久種族値を活かして使える技ではありますが、ルギアやクレセリアの方が耐久自体は優れていますが、攻撃面の性能が全然違うというのが採用する理由になりえるかもしれません。
火力がレシラムに劣る程度のラティオスならば先手で壁を貼ることによって、伝説ポケモンからの味方へのダメージを抑えることができるのでレシラムのアイデンティティと言うには少し弱いです。
○ニトロチャージ
威力50、素早さを1段階上げる技。
基本的に火力には期待ができないので、素早さを上げてからどうするかを考えたいですが、特殊技が通りづらいことは一番最初に述べた通りで、物理技を使うのであれば新たな面としてホウオウで十分ということになります。
○焼き尽くす
唯一覚える炎技の範囲攻撃。威力は30しかないので、もはや木の実を消費する効果と気合の襷を削る効果しかありません。バンギラスのヨプの実やパルキアのハバンの実やクレセリアのオボンの実などを消せると考えると強そうですが、素早さの高いトルネロスやゴウカザルの方がよっぽど有効に使えるので使う機会はないですね。
さて、レシラムを採用する理由が分かったところで、これらを踏まえてレシラムをどのようなパーティに入れれば良いのか。
今、大事になっているのは「ディアルガではなくレシラムを採用する理由」なので補完としてレシラムが採用できるようなパーティ案を逆算で考えるのが良さそうです。
相性がいい伝説枠のポケモンはおそらくカイオーガとグラードン。この2匹のポケモンが苦手な草タイプをレシラムは得意としています。
しかし、カイオーガの攻撃は強力過ぎる故に、ナットレイやモロバレルなど草半減程度のポケモンならかなり削ってしまうのでドラゴン技で押し切ることができてしまうので、炎タイプを所持したレシラムをわざわざ持ちだす必要がありません。また、同じように草タイプに強いホウオウに比べると、カイオーガで雨を降らしてしまうと相手の水技が受けられなくなる点でレシラムは優れているようにも見えますが、何度も水技を被弾すると耐えられないということは変わらないのでイトケの実を持たせたホウオウで十分なようにも思えてしまいます。更に格闘にも耐性があるホウオウに比べて良いところはギラティナに対して打点があるところですが、シャドーダイブを交代で受けるのは困難な上に瞑想を積まれてしまうと対処ができなくなってしまいます。
また、グラードンは特性日照りで炎技が1.5倍になる状態を作ってしまうのでディアルガやパルキアの炎技の火力が上がり、それこそレシラムのタイプ一致で炎技を打てるという唯一のメリットが薄れてしまいます。
・・・ということもあり、レシラムを採用するためのコンセプトを後付で考えられるほど強いパーティは組めていないというのが現状ではないでしょうか。
長々と考察をしてきましたが、やはりレシラムは一般枠級という扱いをするのが妥当な気がします((
既知の事実の確認にお付き合いいただきありがとうございました。