2012冬ドラマ 感想

2012冬ドラマの感想です。


これまでもドラマを視聴した感想は書いてきましたが、最近では「あの1年前のドラマってどういう風に終わったか思い出せない・・・」ということがあって、ラストを思い出せないくらいのドラマだったら時間をかけてまで視聴する価値はないのではないかなという風に思えました。


でも、とりあえず観てみました((
視聴を終えてから数ヶ月後ですが、ラストシーンを覚えていても1話完結の物語が多かったせいか各話にどういうストーリーがあったかはだいぶあやしくなっています・・・。


「あぽやん〜走る国際空港」
「dinner」
「ハンチョウ6〜警視庁安積班」
信長のシェフ



>「あぽやん〜走る国際空港」
旅行会社の社員である主人公が本社から成田空港に異動となり、空港からお客様の出発を見送る仕事に取り組むことになった。当初は異動に納得のいかなかった主人公がにお客様のために全力で発生した様々なトラブルに向かっていく物語。因みに、あぽやんの“あぽ”はairport(apo)からきています。桐谷美玲がヒロインということで関心を持ち、桐谷美玲を見るために観ました((
物語では実際の現場でもトラブルはこんな日常茶飯時起きているのだろうかという疑問を抱くくらいに毎回少し訳ありなお客様がやって来ます。もちろん、ドラマなのだからそういう設定にしないと話を描きづらいです。そんな癖のあるお客様に対して何ができるかを真剣に考えて応対している姿を描いています。前回のクールで「TOKYOエアポート〜東京空港官制保安部〜」という飛行機の離着陸をサポートする管制官を描いたドラマがありましたが、このドラマも見どころは同じ部分にあると感じました。TOKYOエアポートが飛行機を飛ばすために空港がどのような仕事がされているのかを描いていたのに対して、このドラマではその飛行機とお客様を繋ぐサービスの観点から切り口を入れています。個人的には、空港で旅行会社の窓口を利用したことがなかったので、このような仕事があることを初めて知りました。
登場するお客様はおそらく実際の業務ではイレギュラー対応と呼ばれるような珍しい事情を抱えた方がばかりなのですが、コスト削減目的で現場の社員の契約を切るという話が取り上げられていたのは良かったと思います。また、物語に色をつけるために取り入れられることの多い恋愛要素。残念ながら主人公の遠藤の片思いが実らない、という大切な回だけ見逃してしまいました。遠藤が恋心を抱いていた古賀が海外へ行ってしまってからはヒロインの立ち位置にいる森尾の遠藤着任当初からの冷ややかな反応が少しずつ薄れていき、最終的にそれを恋愛として結びつけるかどうかが気になる点でした。
最終回で本社への再異動がわずか1ヶ月の話だったことを真っ先に伝えるべき人がいるということで遠藤が森尾の元へ全力で駆け付けるのですが、それは恋愛感情のようなものではなく仕事で築いた人間関係というものに近かったでしょう。反発していた関係が時を経るうちに気付けば結びついてしまうような展開は最後の最後にそれまでの関係が逆転するところが面白い部分であるので、最初から古賀になびいていた遠藤が失恋を機に森尾にあっさり乗り換えるという展開になるならばそれは微妙な気がしていました。結果的にそういう恋愛展開にはならなかったものの、それならば同僚との飲みの場を放棄してまで異動の話を森尾に伝えにいく必要性があったのかという気がしてなりません。
ラストにやや違和感はあったものの話は分かりやすく桐谷美玲が私服で通勤してるような場面などを見ることができたので私は良かったです((


>「dinner」
老舗イタリアンレストラン・ロッカビアンカの料理長がある日病気で倒れてしまい店舗の売上はどんどん落ちて閉店の危機を迎える・・・それを打開するべく料理長の娘である支配人が新しい料理長をスカウトしてくるが、その新しい料理長とスタッフの意見や価値観の相違はあるもののそこから変化が生まれてお店を建て直していくという物語。得意分野において実力があって考え方などもしっかりとしている主人公像が好きなこととヒロインの倉科カナが前クールの「花のズボラ道」に出演していてちょっとハマってしまったことから視聴することにしました。
各回でスタッフそれぞれが抱えるトラブルを「食材×料理法=味」と言い切り料理に対する好奇心だけが旺盛な主人公との触れ合いで解決していくのですが、料理長である主人公がわざわざ各々を回って話をするわけではなくプロの料理人としての姿勢を言動に現していただけでありスタッフはそれに刺激を受けて変わっていくような感じでした。スタッフの問題を1話ごとに解決していくストーリー自体はよくあるものですが、そこにプロとして一切の妥協がないキャラクターが描かれていたというのが良かったですね。周りには興味関心がなさそうに見えてお店のこととスタッフのことを先のことまでしっかりと考えていて上に立つ者としての理想像のようなキャラクターに近かったでしょうか。
また、病で倒れていた料理長が意識を取り戻してから主人公はすぐに去ってしまうのですが、そこで主人公が料理人を目指そうとした減点が昔ロッカビアンカで食べた料理がとても美味しかったからだという過去が明らかになり、スカウトで新しく料理長に就任したと思われていた主人公にはロッカビアンカに対する特別な想いがありその恩返しのようだったというエピソードも非常に良かったと思います。
王道的なストーリーを心地よい音楽や適度に個性的なキャラクターで丁寧に作り上げてスパイスとして最終回で明らかになったようなエピソードがある・・・話題性や派手さはなかったものの作品作りが個人的に好みなものだったので今期のドラマでは一番面白かったと思います。


>「ハンチョウ6〜警視庁安積班」
解散した特捜一係の安積班が押上分署という新しい形で再結集。東京の下町としての歴史とスカイツリーを中心に新たな観光地として人が入り乱れる押上の街で安積班のメンバーが奮闘する物語。4人のメンバーとなってからのシリーズとしては2本目の作品になります。
今回は下町としての押上に根付く文化・それらの風土の影響を受けて生活を続けていた人々などに囲まれていますが、特に町の小さな病院の医師である水沢と安積が衝突することが多々ありました。しかし、今回も結局過去の事件の真相を安積班が探り当てるところで終わり、安積班は再度解散することになりました。前シリーズでも刑事部長が過去の事件の真相を探る特殊部隊のような位置付けで安積班を結集して解決後に解散するという流れであったので、次回も同じように安積班が集まるということはまた何か過去の事件が絡むようなシリーズになると予想がされてしまいます。また、キャストのスケジュールの問題なのかは分かりませんが、せっかく集まったたった4人の安積班のメンバーの2人が中盤でしばらく登場しない一種のアクシデントのようなものがありました。細かい事情などは分かりませんが、4人の安積班が活躍できるような工夫はやはり欲しかったですね。企画する段階から放送時期をずらすなどしてキャストのスケジュールを合わせることは不可能ではなかったのか疑問に思ってしまいます。
いつものように録画してから番組を視聴いているのですが、「やっと消化が終わった・・・」というのが観終わったときの率直な感想だったように残念ながらあまり面白いイメージを持てなかったようです。


>「信長のシェフ
平成の時代から500年近く前のいわゆる戦国時代にタイムスリップした主人公。自分自身のことを含め平成の時代に関する記憶を失い、覚えているのは一流のシェフのような料理の腕前があるということだけながら、その腕前で戦国の世でも有名な武将である織田信長の料理長を務めることになり包丁という刃物を握って戦国の世を生き抜いていく物語。話に少し興味を持ったことと主演の玉森裕太が「かっこよくないからかっこよく見える」ということで個人的に好きな方なので視聴してみることにしました。
なぜどのようにタイムスリップしてきたのか、一流のシェフといえども食材の歴史にまで詳しすぎるのではないか、などと細かい設定にはツッコミを入れたくなってしまいますが、ストーリーは面白かったと思います。ラストでいきなり「ヘイセイに帰れるぞ!」となったり瑶子だけあっさり平成に戻ってしまったりもっと丁寧な終わり方をしていると良かったと思いますが、歴史物というジャンルの中でもカジュアルという表現で評されているように荘厳さ漂うものよりも見やすい仕上がりになっていました。また、ケンの料理を食べた人の心を動かして話し合いやいざこざを片付けるというところで人物が何を望んでいたことやその人間関係などが分かりやすく伝わっていたように思えます。
ただ、そのストーリーの良さとは別に次回予告の際に映っていた画面横のテロップ(?)の「この作品面白いから視聴者にはこんなサービスしてあげちゃうよ!」という感じの下心みたいなのが気になりました。深夜ドラマでありながら高視聴率を記録できたことで制作側が利益の出せるコンテンツだと思って欲を出してしまった感じでしょうか。続編やスペシャルや映画化もできそうな中途半端な終わり方になったのもそれが理由なのかもしれません。
実際の歴史をドラマにして再現しているのではなく、実際の歴史を利用してフィクションを練り上げているところが荘厳さよりもカジュアルな歴史物と表現したのですが、そのようなドラマだったら口調は現代の口語体で統一するくらい割り切ってもいいのではないかと思いました。戦国時代の風合いを出すためには口調は必要なのかもしれませんが、フレンチシェフだったことから戦国の世には存在しないカタカナ語が多数登場することやケンの平成の口調と戦国を生きる者たちの言葉がいきかっているのを見るとどうしても違和感がありました。