アニメ「とらドラ!」感想

アニメ「とらドラ!」を視聴したので感想。


原作はライトノベルですが、私はこれを全巻所持しています。なんとなく読み返したいと思ったのですが、わざわざ本をゆっくり読むのは時間がもったいない気がしていて、個人的にはストーリーを追えたらそれでよかったので他の作業をしながら流し観ることができるアニメを視聴すればいいのではないかと思ったところが今回視聴を決めたきっかけになります。
アニメ自体は普段あまり観ていないので、「とらドラ!」のアニメに関しても主要キャラクターの声優とそれぞれOPとEDの4曲のこと程度しかアニメのことは知りませんでした。


そもそも読み返したいと思った理由が「話を大まかにしか覚えていなかった」からなのですが、「原作と違って」と言ってる記憶が定かではないかもしれません((



とりあえず、まずライトノベルでの画が好きじゃないのですが、アニメの作画では綺麗にできていたので見やすかったです。やはり視覚的な情報というのは非常に大きく、画は作品の雰囲気を彩る重要な要素であるため好きになれる画であってほしいですね。漫画やアニメは画があって成り立っていますが、小説の挿絵はなくても成り立つけれどよりイメージを具体的に膨らませるものとして存在しているので特にそのように思います。


放映してるころに知った情報として意外だった点が2つあって、まず一つが声優の配役です。
声優については詳しくないのですが、喜多村英梨堀江由衣という私でも知っている声優が演じるという話を聞いたときに「喜多村英梨櫛枝実乃梨」「堀江由衣川嶋亜美」というイメージを抱きました。しかし、実際にはその配役は逆でした。これは私がこの2人を知っていたのが歌手としての側面を見ていたからということもあって、活発にしている櫛枝のイメージに合うのはハスキーボイスで歌う堀江由衣ではなく喜多村英梨だと思ったからでした。
既に逆ということを聞いていて実際に視聴し始めても違和感を覚えることはありませんでしたが、櫛枝の声を聞いて歌声だけで判断はできないとも思いましたし川嶋の声を聞いて喜多村英梨の配役が抜群に合っているように思いました。
もう1点はまた後の方で書きます。


とりあえず、2話まで観た感想としてはあまり面白くありませんでした。それは既にストーリーを知っていて読み返したい(今回アニメで観たい)場面が決まっていたからかもしれませんが、放映時に1話だけ観た人が継続的に視聴しようと決めるには「これがとらドラ!の世界観」というインパクトが足りないように思いました。そういう意味では一つの流れとして区切りよくまとまりやすいDVDという形で視聴したのは私にとっては良かったようです。


そして、話が進展する一つの大きな場面でもある川嶋家の別荘での高須と櫛枝の幽霊の話。少し前から感じていたのですが、アニメだと尺が足りないためかライトノベルを読んでいるときに比べてどうしても間が短く感じてしまいます。ライトノベル原作の他のアニメでもそうなのかもしれませんが、個人的には新鮮な経験でした。その間が欲しかったんですけどね((
しかし、観続けていると川嶋が櫛枝に対して「罪悪感」という言葉を囁く場面でその言葉を発したことを川嶋が後悔した描写があったようななかったような(川嶋の口元が映っていた気がするのですが画面の明るさとそのとき観ていた角度の問題でしっかり確認できずなぜか巻き戻して見返すこともなかったので・・・)気がします。エンディングの展開もアニメオリジナルで原作とは違うものになっているため、最初から原作を追うだけのようなアニメにするつもりはなかったということでしょうか。最終巻で川嶋が「タイガーはまた私に会いたいと思ってくれるかな・・・?」というようなセリフ(曖昧な記憶より)を言う場面があり個人的にその場面はすごく好きで声を乗せたアニメでもぜひ観たい場面ではあったのですが、アニメではその場面が訪れることはありませんでした。
観ていて間が短く感じてしまうような中で主要人物全員をじっくりと描いていくを当てるのは難しそうなので、原作とは違ってうまく焦点を絞った感じなのかなと感じました。


そういえば、北村も狩野との件に決着がついた回で仕事を終えたかのように、次の回で新しくなった主題歌のアニメタイトルが表示される場面からいなくなっていましたね。先にも出しましたが北村の決着が着いた回は川嶋が櫛枝に「罪悪感」と囁いたところで終わった回であり、ここまでのラブコメディ的な展開から恋愛物語としての要素が色濃くなるという転機であったため主題歌が変わるタイミングは良かったと思います。
ところで、前半はOPが3人で歌う「プレパレード」でEDが堀江由衣の歌う「バニラソルト」でしたが、後半では堀江由衣が歌う「silky heart」がOPとして起用されて3人で歌う「オレンジ」がEDとなっていました。当時アニメは観ていないときに「silky heart」と「オレンジ」を聴いて、その後にどちらがOPでどちらがEDなのかを知ったのですが、「オレンジ」がOPで「silky heart」がEDだと思っていたので逆だと聞かされたときは驚きました。当時は曲を聴いてからのイメージで思っただけでしたが、物語の前後半との比較で見ても「プレパレード」がOPなのはドタバタなラブコメディの印象付けとしてマッチしていて「バニラソルト」で和やかに話を締めながら表に出さない思いのようなものを表現している感じがあるため、コメディと恋愛物が変わるタイミングで主題歌をスイッチするのならOPに「オレンジ」を持ってきて切ない恋愛模様を描きつつEDの「silky heart」では「バニラソルト」で秘めていた思いを「いつかは私らしくスキと キミにこの気持ちをちゃんと伝えよう♪」と決意して前に進んだことを描いてほしいと思ったのかなと感じました。後付ですが((
因みに、「プレパレード」の意味。英語は分からないのでですが、歌詞の中に出てくるプレパラートと掛けて動詞+edの受動態のように「プレパラートを観察する人と観察される者」というニュアンスの造語なのかなと思っていました・・・と書くためにプレパラートのスペルを確認していたところ、「通常、光学顕微鏡の観察用に調製(preparation)したものをこう呼ぶ。」とプレパラートwikiに書かれていたので、おおよそ解釈は間違ってなさそうで良かったです。


主題歌と言えば、堀江由衣が歌う曲が2曲あるということもあり、その歌詞には堀江由衣の演じる櫛枝実乃梨のことが反映されている部分が多くありそうです。特に「silkey heart」のサビに入った瞬間は階段を駆け降りて廊下を走っていく櫛枝の描写がされており、これは物語の終盤で高須とともに逢坂を追いかけるシーンと重なります。
このシーンを見ていて櫛枝は高須の何に惹かれたのだろうという素朴な疑問が浮かんできました。それを考えつつ、原作を読んだ当時に知り合いと「櫛枝はいつから高須のことが好きなのか」という話をしたことを思い出しました。当時の私の主張を覚えていないのですが、それは物語が始まる前からそうだったのではないだろうかと今思います。それは直接的に「ずっと好きだった」という言葉があったこと、逢坂に高須を譲らなくてはと感じていたこと、物語の始めで高須のことをフルネームで覚えていたこと、本音をあまり話さない彼女が夏休みに幽霊の話をしたこと、などなどという理由があります。逆に物語の途中で好きになったとしても、そのタイミングがどこだったのかをすぐに明示できないので私の主張は当時から変わっていないのかもしれません。そもそも、物語の途中で好きになったのであれば何に惹かれたのかが少しは垣間見えるのではないでしょうか。
そういうわけで、遠い距離から高須を見て好きになった櫛枝が高須の何を見てそうなったのかですが、それは櫛枝から見て高須が「自分のコンプレックスを受け入れている」という部分ではないでしょうか。高須は外見にコンプレックスがあり、それを仕方なく受け入れるしかないまま生きています。素直に受け入れられているわけではないのですが、櫛枝にとっては高須のそういう部分が強さとして映ったのではないでしょうか。だからこそ、物語の終盤で声高らかに言えなかった想いや弱い部分を吐露した櫛枝のことを高須が信じてくれて、憧れていたものに手が届いたようで高須への恋心を吹っ切ることができたのかなと思います。


DVDには時折特典映像がついており、デフォルメキャラによる番外編と間島淳司喜多村英梨がオレンジタルト作りで対決する企画などがありました。デフォルメキャラによるグルメな番外編は「瀬戸の花嫁」を思い出させるようなキャラと演技が印象的でした。
オレンジタルトを作る企画の中であった「高須は川嶋の想いに気付いているのかどうか」という質問に作者がコメントする形で答える場面があってなんだか意外でした。というのも、私の認識の中では「川嶋は高須に恋愛感情に近いような感情を抱いている」という風になっていたため、思わせぶりな言動だけでそういう想いがありそうなことを察することができても、恋愛感情だと断言するのはやや早計な気がしていたからです。作者がそれに対してストレートにコメントをしたということはそういう想いがあったこと認めるということになるので、なんだか不思議な感じでした。
あとは「料理は勇気」らしいです。学びました((


というような感じの拙い感想でした。ブログに感想を書いているアニメはだいたい2回観てから記事にしていますが、以前「けいおん!」を観たときは1期を1周して感想を書こうとしても印象に残ったことがあまりなく結局ブログの記事にはしなかったということもあったので、やはり2回観た方が良さそうですね。今回は原作のライトノベルでストーリーを知っていたということもありぽつぽつと感想が浮かんだので良かったです。
最後まで慣れることができなかったのは木原麻耶の声で、キャラに合っていない感じがしてどうしてもあれは好きになれませんでした・・・(