最善手を考える モデル2

シングルバトルを想定。


○プレイヤーA

(場に出ているポケモン)
メガガルーラ 残りHP100% すばやさ167
技:おんがえし、じしん、いわなだれグロウパンチ@ガルーラナイト


(控えポケモン)
なし


○プレイヤーB
(場に出ているポケモン)
メガヘラクロス 残りHP 87.5% すばやさ95 防御ランク-1
技:インファイト、@ヘラクロスナイト


(控えポケモン)
マリルリ 残りHP60% すばやさ70 やけど状態
技:アクアテール、じゃれつく、ばかぢから、はたきおとす@なし


メガガルーラの親子愛恩返しでメガヘラクロスに60%のダメージ
(防御ランク-1の場合は90%のダメージ)
メガガルーラの親子愛岩雪崩でメガヘラクロスに30%のダメージ
メガガルーラの親子愛グロウパンチでメガヘラクロスに10%のダメージ
メガガルーラの親子愛恩返しでマリルリに75%のダメージ
メガガルーラの岩雪崩でマリルリに40%のダメージ
メガガルーラグロウパンチマリルリに10%のダメージ
プレイヤーBはメガガルーラの技を「おんがえし、じしん」しか確認できていない
メガヘラクロスインファイトメガガルーラは1発で倒れる



さて、あなたがプレイヤーAならどのように行動を選択するか。



※コメントをいただくまで(5),(6)の選択肢を見落としていたので、一番最後に追記します。


考えられるパターンは
(1)メガガルーラが恩返し、メガヘラクロスインファイト
(2)メガガルーラが恩返し、メガヘラクロスマリルリに交代
(3)メガガルーラグロウパンチ、メガヘラクロスインファイト
(4)メガガルーラグロウパンチ、メガヘラクロスマリルリに交代


(1)の場合。
メガガルーラが防御の下がったメガヘラクロスを倒して後続のマリルリも倒して勝ち。
Aの勝率100%、Bの勝率0%


(2)の場合。
メガガルーラが交代先のマリルリを倒してメガヘラクロスと対面。恩返しを急所に当てるよりは岩雪崩で怯ませる方が勝率は高く、岩雪崩で怯ませたら勝ち。
Aの勝率45.9%、Bの勝率54.1%


(3)の場合。
メガヘラクロスグロウパンチを耐えてインファイトメガガルーラを倒して負け。
Aの勝率0%、Bの勝率100%


(4)の場合。
メガガルーラが交代先のマリルリを起点に攻撃を上げてマリルリとメガヘラクロスを倒して勝ち。
Aの勝率100%、Bの勝率0%




簡単にまとめるとこのようになるでしょうか。

インファイト マリルリに交代
恩返し (100,0) (46,54)
グロウパンチ (0,100) (100,0)

()内はA,Bの勝率


プレイヤーBがインファイトを選んでいるならばプレイヤーAは恩返し、マリルリに交代しているならばグロウパンチ、を選ぶべきなので最適な回答はありません。「相手がどちらの選択肢を選んできても最低限勝ち筋が残せるように立ち回る」という観点からすると、恩返しを選んだ場合は勝率0の部分がない上に読み勝ったときは100%勝てるので、恩返しを選ぶ方が最適だと言えるかもしれません。
ここで厄介なのは相手の選択の仕方でしょうか。この表だけ見ると「メガガルーラの恩返しに対してマリルリを出せても54%でしか勝てないのなら、インファイトを打って0%か100%かに賭ける方が良いのでは」と思うかもしれませんが、実際にはまだメガガルーラグロウパンチがあることも岩雪崩があることも分かっていません。


プレイヤーBがそれぞれの技を考慮していなかった場合の選択とプレイヤーAの勝率を考えます。
プレイヤーBがグロウパンチを想定していなかった場合はマリルリに交代するのでグロウパンチで起点にして100%勝ちです。
次に、Bがグロウパンチだけ想定して岩雪崩を想定していない場合。Bのどちらの選択肢もAの選択次第であり勝率は100%か0%にしかならないので、Bがどちらの選択肢を選ぶかの確率は純粋に1/2であると言えます。そのため、Aは恩返しを選べば二択に負けても49%で勝つことができるので勝率は約75%になるでしょう。
そして、Bがグロウパンチも岩雪崩も考慮している場合。行動パターンは変わらないのでAは恩返しを選べば二択に負けても49%で勝てますが、Bにとってはインファイトを打つときとマリルリに交代するときの勝率が変わってくるので、Bがどちらの選択肢を選ぶ選びやすさの確率は1/2であるとは限りません。


勝つためにはなるべく高い確率で勝てる選択をする必要がありますが、このように相手の選択肢の選びやすさの確率は数値として算出することができないので、それをどのように見積もるかが難しいと感じた例として今回の話題を取り上げました。


因みに、今回のモデルは私が対戦で実際に経験したものです。
その試合においては。それまでの相手の立ち回りの傾向から、マリルリに交代する選択を選ぶ可能性が岩雪崩で怯む確率より高いと判断してグロウパンチを選択したものの、メガヘラクロスに居座られてインファイトを打たれて負けてしまいました。


また、この考察ではプレイヤーAだけでなくプレイヤーBも状況を正確に把握して合理的な行動をすることを前提にしていましたが、実際の対戦ではそうであるとは限りません。
今回のケースは選択理由が興味深いものだったので、対戦後にメガヘラクロスで居座った理由を尋ねてみたところ「グロウパンチをされると負けで、恩返しなら耐える(と勘違いしていた)」と伺いました。こちらが二択勝負で考えていた間、たまたま勘違いをしていた相手にとっては選択肢が1つしかなかったようです。
こういう書き方をすると相手の方を悪く言っているようにも見えますが、そんなつもりは全くなくて、ただこういうケースもあるということを示す一つの例として記録に残しておきたいと思います。


・・・・・・・・


※追記分


・・・なんて書きましたが、コメントをいただくまでメガガルーラで岩雪崩を選ぶ選択肢を見落としていました((


(5)メガガルーラが岩雪崩、メガヘラクロスインファイト
(6)メガガルーラが岩雪崩、メガヘラクロスマリルリに交代



(5)の場合。
岩雪崩でメガヘラクロスが怯んだら恩返しで2匹突破できて勝ち。岩雪崩2連急所は確率が低いので今回は無視。
Aの勝率45.9%、Bの勝率54.1%


(6)の場合。
岩雪崩が当たったら、火傷ダメージも入ったマリルリグロウパンチで倒しながら攻撃を上げて、恩返しでメガヘラクロスを倒して勝ち。
岩雪崩が急所に当たったら、マリルリが倒れてしまうのでメガヘラクロスも岩雪崩で怯ませなければならずそれ次第。
岩雪崩がはずれた場合も今回の相手の技構成ならグロウパンチを使ってから恩返しで間に合うので勝ち。
Aの勝率94.1%、Bの勝率5.8%(概算)


この選択肢も含めてまとめると、

インファイト マリルリに交代
恩返し (100,0) (46,54)
グロウパンチ (0,100) (100,0)
岩雪崩 (46,54) (94,6)

()内はA,Bの勝率


というようになります。
これを見る限り、グロウパンチと岩雪崩では相手の行動選択確率が1/2であることを前提にしていたら岩雪崩を選ぶ方が期待できる勝率は格段に高くなるみたいです。100%と94%の違いがあるとはいえども、実際にマリルリに関して分かっていたことは「持ち物がラムの実ではない、アクアテールとじゃれつくを覚えている」なのですが、「滅びの唄+守る」を考えない限りはグロウパンチはかなり悪手であり、それに気付けずにその手を選んでしまったのはいただけなかったように思えます。


恩返しか岩雪崩かで選択を迷いますが、相手の行動選択確率が1/2の場合に期待できる勝率はどちらを選んでも変わらないようです。
相手がグロウパンチを考慮していなかった場合は、マリルリに交代するのが正解なのでこちらは岩雪崩を打つのが正解です。
相手がグロウパンチを考慮していた場合は上と同様に相手の行動選択確率も1/2となります。
また、グロウパンチも岩雪崩も考慮していた場合は新しく書いた表の通りなので最善の選択肢はないので行動選択確率は1/2とは限りません。


面白そうなモデル・・・だと思って記事にしたのに私が選択肢を全て拾い切れていなかっただけだったので記事に関する結論は特になくなってしまったのですが、今回悩んで選んだグロウパンチは確率的には分の良い勝負ができていなかったようです。
行動の理由付けを考えることも大事ですが、その前にまずちゃんと全ての選択肢を拾っていかないとダメなことが分かる反面教師的な記事になったと思います((