「超一流の雑談力」を読んで。

「超一流の雑談力」を読んで。


手に取ったきっかけとなったのは、電車内で見た広告。
「雑談力」というのが何を指し示すかあやふやではありますが、何をして生活するにしても他人との関わり合いは切り離せない関係なので、ひとと良い関係を築きやすくするためにコミュニケーション能力は物事をうまく運ぶ上で重要になる能力です。本書はそれに関わる内容について書かれていて、どうやら話題になっている(?)らしいので、いったいどんな内容が書いてあるものかと手に取った次第であります。


先に書いてしまうと、個人的にはあまり面白くなく得られるものも少なかったです。
・内容がビジネスマン向け(対人関係で目指すべきところが見えてる人とのやり取りがが中心)
・「コミュニケーション能力が特に低いひと」向けに書かれていた印象を受けた
という辺りで私が期待していた内容はあまりなかったのが理由でしょう。



本書の内容を大雑把に要約してしまうと以下のような感じでしょうか。

  • まず外見・声の貼り方など第一印象は明るく良い印象を与えられるようにする
  • 話をするときは適度な自己開示をする
  • 話をするときは話題の終着点を見極めて話す(起承転結の「結」の部分を用意する)
  • 話をするときに必要なのは「笑いをとる」ことではなく「興味を持ってもらう」こと
  • 相手の話に興味を持っていることが伝わるリアクションをする(いわゆる「ヨイショ」?)
  • 話すにしても聞くにしても復習・予習の準備が必要であり重要である
  • とはいえどうしていいか分からないひとのためにすぐ実践できる小技を中心に書きます


これだけ見ると結構当たり前に感じることが多いです(それを納得できるのと理解して実践できるのではレベルが違いますが)。
また、「物事は何をするにしても準備をしっかりする必要がある」ということで、雑談力を上げるためには日ごろから様々な話題に精通しておくなど準備をする必要があり、一朝一夕に力が身につくというわけではありません。本書の中で「雑談には特別な素質など必要なく誰にでもできる!」と記述されていますが、準備に手間をかけられれば誰でもある程度できるようになるということでしょう。


そういうわけなので、手間をかける覚悟と時間がある方には参考になるかもしれません。
ただ、本書の基礎を抑えていくと…
「この間、○○をしてみたんですけど、うっかり〜しちゃって…(笑)」
「知ってますか、この○○って実は〜なんですよ」
「へぇー、そうなんですか、さすがですね!」
・・・みたいなTHE営業マンみたいになってしまいそうですね((


そもそもの目的が違う本書の細かい内容に触れていってもあまり有益ではないので、今後のために私が欲しかった内容をメモしておくことにします。

  • ビジネスではなく日常向けの内容が欲しい

先に書いたように内容はビジネスマン向けです。ビジネスであれば目的がはっきりしているため「相手に好かれるための接し方」が求められます。
しかし、日常で出会う人はそのように先が見えている人もいればそうでない人もいます。先のことが見えている人間にはそもそも普通に興味を持ちやすいので話を弾ませるのは難しいことではないでしょうが、その先が見えていない(あまり興味のない人・まだ興味を抱いてない人)とはなかなか会話が弾みません。「雑談力が足りないな…」と困惑するのは特にこういう場面ではないでしょうか。
そういった場面ではあたりさわりのない話題で相手が食いつくまでいくつか話題を振ってみるのでしょうが、そのアプローチの一番ネックになる場所は振った話題があまり当たりでなかったときの会話の続け方や話題の移り方だと思います。
また、起承転結のない話は相手からしても面白くないため、話をする前にそれを用意しておく必要があります。ここで最もお手軽なのが自虐話です。これは誰かを中傷して傷つけることもせず一種の自己開示にも繋がるところが良いところですが、それ以外のアプローチも持っておきたいです。特に先に書いたように「こういう自分でありたい!」という側面も守りたい場面が日常にはあると思うので、自虐話のストックだけでは不十分です。

  • 相手が話し下手だったときの話がない

これはビジネスでも日常でも共通する話ですが、本書の中では相手のコミュニケーション能力が低いことはあまり想定されていないように思いました。
本書に登場する例では、自分の質問に対して相手がまともな回答をしてくれることが前提とされています。本当にコミュニケーション能力が高い人間なら、そういう場面で相手に合わせて会話に上手く乗せるようにするのではないかと思います。
冒頭の感想に書いた「コミュニケーション能力が特に低い人向け」というのは、この部分から感じました。



・・・・・・・


結局のところ自分で話すこと・聞くことなので、どのように接するべきかというのは自分でもっと考えなくてはいけないのですが、そのヒントになるような内容もあまりなかったように感じました。
ただ、基本的なことを言葉としてまとめた形に触れることやそれについて自分が考える経験はあまりなかった気がするので、そういう意味では良い経験だったのかもしれません。


そういえば、各章の始まりに「三流は悪印象を与える、二流は印象に残らない、一流は忘れられない人になる|みたいな表現が必ず入っているのですが、本書のタイトルでは「超一流」という表現が使われていました。超一流と一流の違いについて語られている部分がないことは少し気になりました。