ゲーム「逆転裁判シリーズ」をやってみた。

逆転裁判シリーズ」をやってみた。


○きっかけ
逆転裁判がすごく好き」という知り合いの話を聞いて興味を持ったから、という単純なもの。


○プレイしたゲームタイトル

タイトル ハード 初回プレイ日 クリア日 プレイ時間
成歩堂セレクション(1,2,3) 3DS 7/18 9/11 51:51
逆転裁判4 DS 10/15 10/28 21:17
逆転裁判5 3DS 10/31 11/7 14:10

(プレイ時間などは3DSのおもいで記録帳より)


○ゲームの概要

  • 現在シリーズは5作あり、1作品に4,5話の物語が収録されている
  • 主人公は弁護士であり、依頼人である被告人の無罪判決を勝ち取ることがゲームの目的となる
  • 各物語は基本的に探偵パート・法廷パートに分かれている
  • 探偵パートでは現場を訪れたり関係者と出会い、証拠や証言を集めていく
  • 法廷パートでは順を追って証人が現れるので、集めた証拠を使ってその証言のムジュンを突いていき少しずつ核心へ迫っていく
  • 探偵パートで必要な証拠をすべて集めないと法廷パートに進めないので、「証拠集め切れてなくて詰んだ・・・」ということにはならない


○ゲームの感想

  • 「弁護士」「裁判」「法廷バトル」と言うと堅く感じるが、内容は推理小説

私がこのゲームの存在を知ったのは10年以上前ですが、なんとなく難しそうな雰囲気だと感じていました。しかし、実際にプレイしてみると「事件の謎を小さな証拠から少しずつ解き明かしていき最終的に真実を明らかにする」というのは推理小説のページを読み進めていくかのように感じました。なので、推理物が好きなひとはシナリオだけでも十分楽しめるのではないでしょうか。また、セーブポイントは各話の章ごとに設けられているものの、いつでも好きなタイミングでセーブができるので、空いた時間にサクッとプレイできるところも小説のようですね。

  • ゲーム難易度は個人的にはちょうどいいくらい、詰みが存在しないのでモチベーションを保てる

謎解きというのもまた話を難しく感じさせる要素ですが、難易度は私が攻略サイトを見ずにクリアできる程度でした。法廷パートで間違った主張をした場合にはペナルティを受けて、それを重ねるとゲームオーバーになるのですが、ゲームオーバーになっても最後にセーブしたタイミングに戻るだけなので、こまめにセーブをしていれば間違えてもすぐやり直すことができます。また、ゲーム上詰みが存在せず「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」戦法で先に進むことができるので、一度始めればモチベーションは保ちやすい方だと思います。
各タイトルの1話目はチュートリアルとなっているのもハードルを高く感じず入り込める気がします。

  • ゲームにしてはやりこみ要素が何もない

「やり終えた!」という記録が残らないのでゲーム好きの方からしてみれば重要なポイントかもしれません。スマブラのように対人戦をするわけでもなく、ドラクエのようにモンスターを育成するわけでもなく、マリオのように操作性があるわけでもなく、プレイ時間の表記もクリアした証も残らない・・・というわけで「このゲームを、これだけやったんだ!」というのが現れる要素がほとんどありません。先に「推理小説」という喩えを挙げましたが、本当にそのように考えるのが良いかもしれません。


という具合ですが、真相が少しずつ明らかになっていく過程を見るのが好きな私は楽しめたゲームでした。
プレイした話をしてみて、逆転裁判をやったことある方が周りに多かったのが意外でした。「朝ごはんに普通に毎日パンを食べてる」みたいな感覚ですね(好きな食べ物を聞かれたときに「パン」と答えるほど特別感を持っていないが毎日当たり前に食べていて、世間的にもそれが普通なのでわざわざ食べていることを特筆することもない・・・感じ)。


各タイトルの感想はネタバレを含むので、続きから。



○蘇る逆転

  • 第1話「初めての逆転」
  • 第2話「逆転姉妹」
  • 第3話「逆転のトノサマン」
  • 第4話「逆転、そしてサヨナラ」
  • 第5話「蘇る逆転」


最初は文字通り初めての逆転。チュートリアルだけあって法廷は無事にクリアできたものの法廷後の矢張の慰めのつきつけるに失敗した模様((
そして、2話目でいきなり千尋さんが死ぬ。この展開は予想していませんでした。そして、ヒロインのマヨイの登場。この時点での印象は「あんまりかわいくない」。ライバル検事である御剣も登場、御剣の「異議あり!・・・ふっ」って感じのリアクションがすごく好きでよくにやにやしてました。
2話の真犯人であった情報売却会社(?)の社長さんは登場したときにすごい大物のように振る舞っていたので、以降も関わりがあるのかと思いきやそんなことはなく有罪判決。これ以降2,3,4話とすべて一番偉そうにしてる(?)人が真犯人という展開だったため、「蘇る逆転」の真犯人もすぐに悟ってしまったのはちょっとかなしいです。
実質最終話にあたる4話目に関しては、不当な手段を使ってでも被告人を有罪にするやり方だった御剣が被告人となり自分の過去と向き合うことになり、成歩堂によって正しく導かれていく・・・そんな展開はよくある話なのかもしれませんが、真実が明らかにされていくのを順々に追っていくのが楽しかったです。しかし、まさかカルマ検事が犯行に関わっているとは全く考えてなかった・・・。
5話目の「蘇る逆転」は逆転裁判3発売後に発売された作品で時系列的に1と2の間にあたるためここに収録されたものと思われます。事件も長く複雑にできていて番外の単体物と考えると良い出来なのですが、4話までの流れから5話目として収録されると蛇足感が漂います。タッチパネル機能を使ったカガク捜査が一つのウリだと思いますが操作するのが難しく、「茜」って文字を書かなきゃいけない場面で正しく書いたつもりなのにちゃんと認識してもらえなかった思い出があります。。
逆転裁判をプレイする際に「プレイヤーが答えを分かっているのに、成歩堂をうまく誘導できなくて困る」という話を聞いていましたが、逆に尋問の際に成歩堂が「いまの・・・なんだかひっかかるな」「やっぱりウソをついている」とか言ってるときに「え、いま変なところあったっけ・・・?」という感じをよく味わっていました((


逆転裁判2

  • 第1話「失われた逆転」
  • 第2話「再会、そして逆転」
  • 第3話「逆転サーカス」
  • 第4話「さらば逆転」


他シリーズはチュートリアルにあたる第1話から最終話の伏線になる要素が取り込まれているイメージですが、この作品だけチュートリアルが本当にただの練習としての意味しか持っていないイメージです。
蘇る逆転を挟んだこともあり第2話で久しぶりにマヨイを見ることになりますが、「かわいくないところがかわいい」という感じでここで初めてマヨイに愛着(?)を感じました。事件の真相も双子の入れ替わり+共犯で「なるほど!」とすごく納得できた感じがあったこともあり、個人的に一番印象に残っている物語になっています。
最終話となる第4話は依頼人が直接手を下していないだけで殺人を依頼していて、成歩堂にとっては究極の選択を迫られるような事件になります。「何があっても依頼人を信じ抜く」ことを信条に法廷に立って真実を追究していた成歩堂がそれを思い悩む側面を描くという意味で良い物語だったと思います。ただ、「逆転裁判2」という作品の最終話としては他作品よりスケールが少し小さいように感じますし、事件は解決したものの晴れやかなエンドとは言い難い点でも少し釈然としない部分があります。このあとにもう1話あれば良かったように思いますが、成歩堂セレクションでプレイすると逆転裁判3までの通過点として捉えるのでそこまで気にならないかもしれません。
この回から登場した新システムのサイコロックは、探偵パートにしか登場しないキャラクターにも物語の重要点を担わせることができるので良かったと思います。ただ、錠がいくつもあるのに一つの問い詰めで一気に全部割れたりするのがあるのはちょっとずるい((
前作のときは自分が全容を掴めてないことの方が多くて困ることの方が多かったですが、成歩堂をうまく誘導できなくて困ることの方が多くなりました。成歩堂をうまく誘導できなくて困るという話を最初に聞いたときは単純に自分の能力不足なのかと思っていましたが、いくつかの事件を経験して傾向や展開などが分かってきたことによる変化だと思ったので「経験ってこういうときに物を言うなぁ・・・」とあらためて実感していました。


逆転裁判3

  • 第1話「思い出の逆転」
  • 第2話「盗まれた逆転」
  • 第3話「逆転のレシピ」
  • 第4話「始まりの逆転」
  • 第5話「華麗なる逆転」


チュートリアル千尋の初法廷。ハッタリを得意とする成歩堂なら間違えても許される気がしますが、千尋を操作して間違ったらいけない気がするプレッシャーを感じてました((
ここまで2作品クリアした経験値があるからサクサク進められるだろう・・・と思っていたところで落とし穴。第2話で登場したキャラの強い探偵は「あやしい感じを漂わせるキャラは毎度証人止まりだよね」と思わせておきながら実は犯人。第3話では「話す」で聞ける項目が3つあって一番上で追いやられてしまったので「何か興味のあるものをつきつけないと・・・」とばかり思っていましたが、3つ目の項目は話をしてくれてそれ以外の話もできるようになる。どこかの話では証言にゆさぶりをかけるチャンスは1回しかない状態で正解のときと不正解のときの反応が冒頭だけ同じだったため、一度間違えた後に正解を当てても「これでもないのか…」とリセットをしてしまい正解にいつまでもたどり着けなかったこと、など。シリーズの傾向から思い込みを作らせるところに見事にハメられました(私が勝手にハマっただけですが・・・)。
さて、物語の方に戻ると成歩堂シリーズの集大成を意識しているのか5話のうち2話は千尋を操作する法廷パートのみの物語となっています。そして、最終話はそれを含めて綾里家を大きく巻き込んだスケールの大きい話になっています。霊媒によって死人が事件に関わるという展開は面白く結構やりがいがあったように思えますが、最後の最後で真犯人がゴドー検事だったというのは少しきょとんとしてしまいました。彼は1話から成歩堂に私怨があるような立ち振る舞いをしていましたが、正体が分かったところでそれは少し言いがかりのように感じましたし、彼が犯罪に手を染めてしまってはキャラとしては救われた感じがないように思います。なので、エンディングの方向性がもう少し違っていたら良かったかなという印象です。
まあまず、彼が2回もある千尋回で弁護席でコーヒーを持って立っていたにも関わらず彼が千尋の先輩だと気付けていなかったのですが((
霊媒が普通に受け入れられている世界に関して特にツッコミどころはないのですが、自分の状況をメモで書いて千尋を呼んでどうすべきか導いてもらったマヨイを見てると死者を呼べるというのはすごいことだなとあらためて思いました。


逆転裁判4

  • 第1話「逆転の切り札」
  • 第2話「逆転連鎖の街角」
  • 第3話「逆転のセレナード」
  • 第4話「逆転を継ぐ者」


逆転裁判4黒歴史」と酷評されていると聞きながら始めましたが、個人的にはそこまで悪くは感じませんでした(酷評する人の中で他シリーズの評価が高すぎるのではという見解です)。
1話目はチュートリアル、の感覚でいましたがこれまでの作品と比べるとその雰囲気はあまり感じずいきなり本編という印象。主人公のオドロキが驚くときの表情があまり好きでない・・・加えて、成歩堂セレクションに比べて会話の早送りがちょっとしづらいような気がして少しモチベーションが落ちていました。
ヒロインのみぬきは新システムである「みぬく」を意識したのだと思いますが、さすがに名前が安直すぎ・・・キャラとしてはマヨイに比べると隙のない可愛さという感じでしょうか。初動調査の刑事も前作の7年後ということもありイトノコではなくアカネにチェンジ。初動調査の刑事は最初の証人としてやり込められるちょっぴりマヌケな役回りになるので、カガク捜査をウリにするアカネをその立ち位置に置いてしまうのはどうなのか・・・と思いつつ、登場しないよりは登場してくれて良かったという思いの方が強かったです。メイン検事であるガリュウはこれまでにない主人公に敵意(?)のない検事で個人的には好きでした。
新システムである「みぬく」については良い面も微妙な面もあったと思います。人のクセを見抜くことで嘘を見破るというもので、証人が嘘の証言をすることで物語を複雑にさせたり事情があって嘘をつかざるを得ない部分はキャラクターの人間味みたいなものが見えるので、システムとしては良かったと思います。ただ、それを法廷で使うのは不自然な感じがしました。「あなたは○○と言うときだけ〜している!」みたいに言われても正直ピンと来ませんし、「法廷では証拠がすべて」というのを強いテーマに置いていた作品なだけに頭を傾げたくなる場面はちょくちょくありました。
最終話はメイスンシステムと銘打って過去と未来を行き来する場面があるのですが、未来で得た証拠品を過去に持ち込むことを一度だけやった(記憶が正しければマニキュア)気がして、その作りは疑問に思ってしまいました。第1話の事件からすべての事件が一つに繋がっていく過程は楽しかったですが、よくよく振り返ってみると違和感のある部分は多いかもしれません。また、最後に有罪か無罪か決めるシステムでしたが、シリーズ2で成歩堂が葛藤したような究極の選択をプレイヤーに問うのならともかく、無罪を押す理由がどこにあるかが全く分からなかったのでシステムとして不要に感じました。
物語は面白かったのですが、練り込みの甘い部分が低評価を招きやすいのではないかという印象です。推理物の事件に関わる部分は甘くても見逃せるのですが人物の行動動機は丁寧にして欲しいですね。
ところで、王泥喜って無理ありすぎると思いませんか?(


逆転裁判5

  • 第1話「逆転のカウントダウン」
  • 第2話「逆転の百鬼夜行
  • 第3話「逆転学園」
  • 第4話「星になった逆転」
  • 第5話「未来への逆転」


まず、アニメーションと3D化に驚き。技術すごい。逆転裁判の映画を観たときに「(扉が開きながら)法廷1日目」みたいな演出があったと思いますが、それは逆転裁判5から来ているものかと妙に納得。あとBGMからなんとなくパワプロ感を感じました((
今回は成歩堂・オドロキ・ココネのトリプル主人公ということで各話で動かすキャラクターが変わってきます。物語が軟化したのか移動も勝手に行ってくれたりヒントが分かりやすかったという印象を受けました。探偵ノートみたいな設定があった気がしますが、結局どんなものかすら一度も見ませんでした。
時系列的には2話→3話→1話→4話→5話という順番でしたが、4と5は繋がっているので実質2つで最終話と見ていいでしょう。すると、今回は1話と最終話以外に時系列が1話より後の物語がありません。個人的な解釈ですが、1話のチュートリアルから主人公が成長して最終話という形をイメージしていたので成長部分の描写がないところが気になりました。それでいくと、3話で被告人して事件を経験する森澄が時系列的に後の1話でもか弱いままのキャラで変わらないことも気になりました。前作からの成長という意味で言うと、オドロキは器が大きくなりすぎたように見えますが、逆転裁判4での成歩堂の大物感はなんだったのだろうと思った部分もあります。
ココネの能力である感情を読むシステムについては見抜いた後のリアクションがあからさますぎる気がします。「嬉しいはずなのになぜ不安を感じていたんですか?」とか言われてもちょっと・・・せめて「本当は不安を感じていたのではないですか?」くらいだと良かったかなと。法廷シーンは弁護士と検事がテンポ良く「異議あり!」ってやり合うのが楽しい部分で、このシステムはカウンセリングと称して行っているので検事側が絡んでこないところがちょっと物足りないです。
検事と言えば今回はユガミ。囚人が検事席に立つということで明らかに事情を背負った登場人物であるのに、序盤にそれが見える部分があまりなかったのはもったいない気がします。その上「黙りなぁ!」という勝手なセリフを作って何だろうと思う場面が多かったです。最終的には4,5話でその素性や事情が明らかにされていき色々と納得することはできましたが、ココネと知り合いであることくらいは序盤からほのめかしても良かったのではないかと思います。
そんな感じで3話目までクリアする義務感でやっている側面が強い中、星成というため息キャラに対して不快感で追い打ちを掛けられました。これまでも見た目が気持ち悪く不快感を抱かせるキャラクターはいましたが、ため息はモチベーションを削ぐのでやめてほしい。。
こんな具合でしたので逆転裁判5には全く期待が持てなかったのですが、最終話でそれがガラッと変わりました。春美・御剣という過去キャラクターの登場。彼らは4で成歩堂が大変だったときにいったいどうしていたのかという疑問もありますが、どちらも過去作品でのリアクションを忠実に再現した動きができているところがポイントが高かったです。また、亡霊の正体が番刑事だったというのも個人的には結構意外でした。初登場時に「なんでこんな新キャラクターをわざわざ用意したんだ…?」と感じていたのですが、まさか最後に絡んでくるとは思っていませんでした。
全体的な感想としては「逆転裁判は最初から最後まで成歩堂が主人公なんだな」と感じさせられる作品でした。4はオドロキが主人公ではあるものの彼も成歩堂にうまく物語を誘導させられただけで成歩堂が主人公であるような部分を感じていただけに、最終話でそれを感じることができて納得感を得ました。新米弁護士としてがむしゃらに戦いかつての友を正しく導き、ただときにはそれが仇となる厳しさも味わい、罠にハメられて挫折を味わいながらも、今度は部下を持つベテランとして再び立ち上がる・・・と成歩堂龍一の生き様を描いてきた作品の終着点を見たような気がします(5話目のキーワードが「みらい」「きぼう」という点からもそれを感じました)。なので、シリーズとしてはここで終わる方が綺麗に思っちゃっています。
5になってようやくオマケコンテンツがつくようになって、ムービーを見返したり逆転推理という名のクイズをやることができたりというのは面白かったです。逆転推理で毒殺想定の事件がやたら多かったのがちょっと印象的でした。


・・・・・・・


というわけで、過去5作品をそれぞれ振り返ってみました。シリーズ単体での評価に順位をつけるなら「1≧3>5>2≧4」というところでしょうか。来年には逆転裁判6が発売されるそうですが、5で終わる方が綺麗だと思ってしまっているのであまり期待が持てていません()
何かやるとしたら5で登場しなかったマヨイとの再会になるのでしょうが、綾里の能力の話は逆転裁判3で完結した点と成歩堂龍一という人物は既に描き切ったと思える点で、新作の落ち着くべきところが見えてこないですね。。。


シリーズでいくと逆転検事成歩堂龍之介の冒険が残っていますが、こちらに関してはそのうち気が向いたらやってみよう程度に考えています。