見せ合いあり64構築〜電磁波トリル+カイオーガグラードン〜

○ガルーラ いじっぱり きもったま
191-156-104-×-101-133 H.84 A.212 B.28 D.4 S.180
(191-189-124-×-121-143)
おんがえし、ふいうち、グロウパンチねこだまし@ガルーラナイト


ボーマンダ せっかち いかく
171-156-90-157-105-167 H.4 A.4 C.212 D.36 S.252
(171-166-135-167-115-189)
ハイパーボイスすてみタックル、ねごと、まもる@ボーマンダナイト


カイオーガ ひかえめ あめふらし
205-×-134-193-160-114 H.236 B.196 C.44 S.28
(205-×-134-226-180-114)
こんげんのはどう、かみなり、れいとうビーム、まもる@あいいろのたま


グラードン ゆうかん ひでり
183-222-160-×-134-85 H.60 A.252 D.196
(183-255-180-×-134-85)
だんがいのつるぎ、ほのおのパンチ、ドラゴンクロー、まもる@べにいろのたま


ボルトロス おくびょう いたずらごころ
155-×-91-175-101-179 H.4 B.12 C.236 D.4 S.252
10まんボルト、でんじは、ちょうはつ、まもる@きあいのタスキ


ドータクン なまいき ふゆう
174-137-137-×-154-34 H.252 A.220 B.4 D.28
ジャイロボール、スキルスワップ、しんぴのまもり、トリックルーム@ラムのみ


カイオーガグラードンボルトロスは非理想個体



カイオーガグラードンという2匹の伝説ポケモンを主軸に置いた構築。この2匹を動かしやすくするためにボルトロスドータクンという2匹の素早さ操作ポケモンを採用しており、猫騙しや威嚇でサポートできるガルーラとボーマンダという2匹のメガシンカで周りを固めています。


最初は伝説が2匹しか使えないルールでカイオーガグラードンを両立させることに抵抗がありました。
その理由としては、まず両者とも素早さが中途半端なことです。それは当初の前提として「伝説ポケモンはなるべく全試合で選出したい」という思いがあり、2匹とも素早さ操作で場を整えてから場に出すと真価を発揮するポケモンであるため、どうしても展開が遅れがちになってしまいます。
そして、場を整えてから伝説ポケモンを繰り出す流れだと、最後に残るのは2匹のゲンシカイキポケモンで味方での天候の奪い合いになり攻撃性能を打ち消してしまう可能性が否めなかったからです。


しかし、一見デメリットにも見える上記の点ですが、裏を返せば「素早さ操作技の選択肢が多く、両者の素早さに差がないので、有効な素早さ操作技が共通する」「相手のゲンシカイキに対して天候をコントロールできる」と捉えることができます。特に後者の点はカイオーガグラードン両立構築の最大の特徴で、

とお互いの課題を解決し合うことができます。特にゲンシカイキの天候を奪えるポケモンが1匹しか採用されていないケースも多いので、こちらのゲンシカイキを出し入れすることによって天候を掌握しやすいです。
そして、それを可能にしているのはゲンシカイキで向上した耐久・火力です。素早さ操作技が絡んでいない状態でも十分に打ち合いをする性能があるので、必ずしも場を整えてから登場させる必要はなく、そこに素早さ操作技の選択肢が幅広くとれるので相手に合わせて柔軟に戦うことができます。


素早さ操作に関してですが、まずトリックルームを選ぶことにしました。これはこのルールで最も強力なポケモンとも言えるゼルネアスに対して、ジオコントロールを使われるとグラードンカイオーガでは追い風や凍える風では追いつくことができないからです。電磁波はゼルネアスに有効な素早さ操作と言えるのですが、ゼルネアスと相性の良いグラードンは電磁波が無効であることから、トリックルームが最も有効な素早さ操作に思えました。
トリックルームを使う役としてはドータクンを選びました。ドータクンは耐久種族値に不安が残るものの、優秀な耐性のおかげで強力な攻撃を半減で受けられるので安定感は悪くないです。最も評価できる点はゼルネアスに対して有効な打点があることで、素早さ操作技を使うターンがジオコントロールをする猶予を与えることに直結しない点で優れます。


トリックルーム一辺倒では戦いづらいため、別の素早さ操作技として電磁波を採用することにしました。追い風や凍える風と比べて、基本的には効果が永続なのでターン制限のある技より交代で天候を掌握する立ち回りとマッチしている点・トリックルームのために素早さを遅めに設定していても機能しやすい点、で優れます。
電磁波を使うポケモンとしてはボルトロスを選びました。ボルトロスは耐久種族値こそ低いものの、悪戯心による仕事の確実性が優秀です。また、カイオーガイベルタルといったポケモンを先制して攻撃できる能力も評価できます。
残り2匹にはメガシンカの中で評価の高いガルーラとボーマンダを採用しました。ボーマンダは特性の威嚇で物理耐久を上げられる点が優秀。全体的に初速が遅いパーティなので高い素早さも重宝します。ガルーラはボーマンダを出しづらいキュレムディアルガを相手にするために採用しました。


★ガルーラ
<持ち物:ガルーラナイト>
メガシンカのため必須。
<技構成:恩返し、不意打ち、グロウパンチ猫騙し>
採用理由の猫騙し、メインウエポンの恩返し、威嚇を受けたガルーラが腐らないようにするためのグロウパンチとそれと相性が良い先制技の不意打ちという至って普通の構成です。ディアルガキュレムと戦うのにけたぐりではなくグロウパンチを採用している理由ですが、これらのポケモンは一撃で倒せなくても大きく被害を被ることが多くなく、格闘技をきれいに通させてもらえる場面も少ないためグロウパンチで取り巻きに対しても強く出る動きの方が強く思えたからです。守るがないと扱いづらいとも感じていたのですが、泣く泣く切ることにしました。
<実数値:191-189-124-×-121-143 H.84 A.212 B.28 D.4 S.180>
メガシンカ後に素早さ補正のないディアルガカイオーガ抜き。A177メガガルーラのけたぐりをほぼ耐え、C202グラードンの晴れ75%噴火耐え、残り攻撃。一時期は特殊耐久を厚めにした遅いガルーラを使用していましたが、グラードンと合わせてディアルガに打点を持てるポケモンを上から下から挟み込めるようにしたかったので素早さを伸ばすことにしました。とはいえ、素早さを最速にすると耐久がない割には火力もイマイチとなってしまうので、素早さは最低限に留めて火力を高める方針にしました。


ボーマンダ
<持ち物:ボーマンダナイト>
メガシンカのため必須。
<技構成:ハイパーボイス、捨て身タックル、寝言、守る>
安定した削り技として優秀なハイパーボイスと相手のHPを大きく削る性能が高い捨て身タックル、大事に扱うための守るは必須。最後の技は流星群や火炎放射なども欲しかったのですが、相手にドーブルがいてもちゃんと選出できるように寝言かいびきの選択になり寝言を採用しました。主な想定はボーマンダドータクンvsガルーラドーブルの場面で「1ターン目、ガルーラの猫騙しをドータクン+ドーブルダークホール。2ターン目、ガルーラグロウパンチ+ドーブルダークホール」という動きに対して、いびきであればドーブルを確実に処理できてトリックルームも決まりますが、ガルーラが野放しになってしまいます。寝言であれば、2/3の確率でドーブルを処理しつつ1/3の確率でガルーラにも負担を掛けることができて、ドーブルを処理できなかった場合はドータクンが眠ってしまいますが、眠りを消費しつつ即死することはないという名目で寝言を選びました。ただ、これはグロウパンチを過剰に意識しており、すべてのガルーラがグロウパンチを使ってくるわけではないため、ドーブルを処理してトリックルームをする安定感に優れるいびきの方が良かったかもしれません。
<実数値:171-166-135-167-115-189 H.4 A.4 C.212 D.36 S.252>
素早さはメガシンカ前にゼルネアスに先制するために最速。特殊耐久はC183ゼルネアスの75%マジカルシャイン耐え、C172メガボーマンダの75%ハイパーボイス2発耐え。攻撃面はH221B134モロバレルを捨て身タックルで確定1発にできる火力があるので余りを振っただけに留めて、最も使用頻度の高いハイパーボイスの火力を上げるために残りを特攻に振りました。防御を139まで伸ばして威嚇込みでA177メガガルーラの捨て身タックル+A133ファイアローの命の珠ブレイブバード耐えまでしても良かったかもしれません。


カイオーガ
<持ち物:藍色の玉>
ゲンシカイキのため必須。
<技構成:根源の波動、雷、冷凍ビーム、守る>
何かしらの水技、大事に扱うための守る、は必須。カイオーガグラードンの主力攻撃に耐性のあるレックウザボーマンダへの打点は欲しいので冷凍ビームもほぼ必須。また、相手のカイオーガに強くないポケモンが多いので水耐性のあるカイオーガカイオーガを削れるよう雷を搭載したいです。こうすると、水技が1つしか採用できませんが、一撃死しづらい能力を活かして打ち合いをすることが多々あるのでHP管理が大事なしおふきは採用できず、根源の波動で妥協する形としました。
<実数値:205-×-134-226-180-114 H.236 B.196 C.44 S.28>
A232メガレックウザの拘り鉢巻ガリョウテンセイを最高乱数以外耐え、雷でH207D181カイオーガを2発、残り素早さ。カイオーガの最も特徴的なところは一撃死することが少ないことなので、それを活かした打ち合いがしやすいように物理耐久を上げることをベースにしました。素早さが最遅でないのはグラードンと合わせて素早さ85〜110程度のポケモンを挟み込むためで、グラードンを最遅にしたためカイオーガは少し素早さを上げることにしました。


グラードン
<持ち物:紅色の玉>
ゲンシカイキのため必須。
<技構成:断崖の剣、炎のパンチ、ドラゴンクロー、守る>
メインウエポンの断崖の剣、タイプ一致で命中率火力ともに高い炎のパンチ、大事に扱うための守る、は必須。最後の技はメインウエポン2つで攻撃できないボーマンダレックウザ対策でドラゴンクローとしました。個人的には炎のパンチの評価がかなり高く、断崖の剣を打つ回数を減らせるのでグラードンが攻撃をはずしたことが負けに繋がったことはほぼなかったです。
カイオーガグラードン構築のグラードンは物理技をメインに据えたいと個人的に考えています。万が一グラードンカイオーガが並んでしまったとき、天候が晴れならカイオーガは水技を選べないもののグラードンの攻撃が効きにくい相手に冷凍ビームで打点を持てるのに対して、天候が雨ならグラードンは炎技を選べずそれなりにしか殴れないことが多いと思われるからです。また、カイオーガは特殊技メインでほぼ決まりなので、共通してバークアウトに弱くなるのを避けたいこともあります。
<実数値:183-255-180-×-134-85 H.60 A.252 D.196>
攻撃を最大まで伸ばして、残りを特殊耐久中心に配分。C202グラードンの大地の力耐え、タイプ一致イカサマを2発耐え、となっています。素早さが最遅なのはカイオーガと合わせて素早さ85〜110程度のポケモンを挟み込むためで、グラードンはミラーで先制した方が相手を一撃で倒して勝ちという場面に遭遇しやすいので五分とれる最遅に設定しました。攻撃を最大まで伸ばしたのは相手のゲンシグラードンや炎のパンチで確実に詰める際のダメージを考慮してです。また、グラードンの攻撃を1発耐えることはできるけれど2発耐えることは難しいため、なるべく火力を落としたくなかったということもあります。


ボルトロス
<持ち物:気合いの襷>
耐久には努力値をほぼ振らなかったので、行動回数を保証するための気合いの襷。
<技構成:10万ボルト、電磁波、挑発、守る>
タイプ一致でカイオーガを半分削れる10万ボルト、採用理由である電磁波、大事に扱うための守る、は確定。最後の1枠をめざめるパワー・草結び・挑発で迷いました。めざめるパワーの候補は水と氷で、水はグラードンを強襲できる利点があるのですがカイオーガを交代で出しながら打つという制約があります。試しに使ってみたところ、意外と決まらなかったり特殊耐久に厚い場合は耐えられて反撃で大きな一撃を受けてしまうところが気になったので不採用(そもそも納得できる個体値ボルトロスを所持していなかった)。めざめるパワー氷はランドロスボーマンダレックウザに有効ですが、ボーマンダを一撃で倒せるわけではありません(レックウザはデルタストリーム発動時のめざめるパワー氷+グラードンのドラゴンクローで倒せるという嬉しい点がある)。また、グラードンがいてもボルトロスを選出することは多い割に、ボルトロスグラードンに打点がないことは気になっていたのでHPを3割以上削れる草結びも候補になりました。が、結局はどれも試す時間がなく無難に使ったことがある挑発を採用しておくことにしました。挑発を打ちたい相手の多くはメンタルハーブを持っていることも多いので積極的に打つことはありませんが、クレセリアドータクンにはメンタルハーブを消耗させておくと重力やスキルスワップを封じることができるので、その点では悪くなさそうです。
<実数値:155-×-91-175-101-179 H.4 B.12 C.236 D.4 S.252>
素早さは最速。威嚇込みでA177メガガルーラの捨て身タックル耐え、残り特攻。電磁波を撒く役割としては耐久に努力値を回したいですが、耐久にすべて努力値を割いても満足いく耐久にはならなかったこととレパルダスイベルタルを先制して攻撃したい要望から素早さを引き上げることにしました。カイオーガグラードンのミラーに繰り出すことも多いので、A194メガガルーラを想定した耐久調整にした方が良かったかもしれません。


ドータクン
<持ち物:ラムの実>
トリックルーム時に行動を妨害してくるドーブルモロバレルを意識。メンタルハーブを持たないので挑発持ちが見える場合に先発で出しづらくなりますが、トリックルーム時に眠り技で妨害されてしまうようではそもそもトリックルームを狙う価値もなくなるので、そちらの対策を優先しています。
<技構成:ジャイロボール、スキルスワップ、神秘の守り、トリックルーム>
ゼルネアスに対して有効なジャイロボール、ラムの実と合わせてモロバレルドーブルの対策をする神秘の守り、採用理由のトリックルーム、の3つは確定。カイオーガドータクンの並びでグラードンに天候を奪われた際に交代して取り返す動きができないので、それを防ぐためにスキルスワップを最後の技に採用しました。
<実数値:174-137-137-×-154-34 H.252 A.220 B.4 D.28>
威嚇込みA177メガガルーラ猫騙し・同条件のけたぐり・C183ゼルネアスの+2マジカルシャインを耐えるように配分。残りを攻撃に振って無振りゼルネアスが威力150のジャイロボールで1発となりました。
当初はトリックルームを決めることを重視して「173-109-154-×-167-34」という耐久重視の個体を使用していましたが、これでも耐久が納得いく数値にはなりませんでした。その割にはしばらく使ってみてギリギリで攻撃を耐える経験をあまりしなかったこと・隣にガルーラではなくボーマンダを置くようになり威嚇で物理耐久を向上させられること、から攻撃に割いた配分にしました。


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カイオーガグラードンの天候・ボーマンダの威嚇・ドータクンの耐性…などを中心に伝説戦にしては相性補完を利用した受け回しも多く見られるような、個人的に好みのパーティになりました。
しかし、文中見え隠れしているよう煮詰められていない部分も多いです。特に、レックウザカイオーガの組み合わせやトリックルーム展開に持ち込みづらいときの対グラードンは課題で、追い風を使うサンダー・ファイアロートゲキッスや伝説を1匹しか選出しないパターンなども検討しておきたかったです。


5月のジャパンチャンピオンシップスで使用しましたが、結果は奮わず。
対策を一番見据えていたゼルネアスグラードン構築にはあまり当たらず、レックウザカイオーガイベルタルグラードンとの試合がかなり多く苦戦が強いられました。また、負け試合の半数以上は不確定要素が複数絡むものですが、後手に回って打ち合うことが多いパーティなので当然の結果と言えるでしょう(3月のINCでは原案の構築で1800付近まで上げられていた)。
余談ですが、その大会ではそもそもゼルネアス+グラードンの組み合わせを使用する予定でしたが、準備に時間を割くことができず手持ちの中でベターだと思われる構築を使うしかなかったのは少し悔やまれます。