シングル66ルールで最も強いと評価されているメガシンカはボーマンダだと思います。6匹をフルに使ってダメージを少しずつ蓄積させた後に素早いポケモンでそれを一掃することの多いこのルールにおいて、「火力・素早さが高い」「防御が高く回復技持ちで蓄積ダメージ・先制技に強い」という2点を高い水準で両立しており、加えて物理・特殊のどちらもメイン技になりうる点と積み技の竜の舞があることも大きな要因であるでしょう。
実際にシングル66のプレイヤーのブログを閲覧しても冒頭のような型を見掛けることは多いです。
しかし、捨て身タックルの採用理由が明確に書かれていることが少ないのが個人的に気になっていました。同様に威力が高い技である恩返しに比べると、恩返しを耐えるポケモンまで確実に倒せるのが捨て身タックルの長所ではありますが、反動ダメージが入るため蓄積ダメージに強いという強みを少し殺してしまっている部分もあります。
恩返しと捨て身タックルどちらを選択すべきか…それを判断する材料として、主要なポケモンへのダメージの計算結果を載せて具体的にどういう場面で差が出るのかみてみることにしました。
なお、今回の記事としては結論はありません。結局はプレイヤーの立ち回りや好みの問題・採用される構築によって違いが出ると思うので、あくまで参考になればという次第です。
〜飛行技が等倍のポケモン〜
○ガブリアス
○サザンドラ
○マリルリ
○メガルカリオ
○メガゲンガー
〜相性に関わらず物理耐久が高めのポケモン〜
○カバルドン
○メガフシギバナ
○メガボーマンダ
○スイクン
○ナットレイ
○エアームド
〜飛行技を半減するポケモン〜
○バンギラス
○クレッフィ
○ギルガルド
○Wロトム
○ボルトロス
○FCボルトロス
※ダメージは最低乱数と最高乱数のみ記載
※捨て身タックルのダメージの括弧内は反動ダメージ
※捨て身タックルの反動ダメージは[ダメージ量]*0.33で計算
○B116ガブリアス(HP:183^215)
- A197恩返し:127^151
- A197捨て身タックル:150^177(49^58)
【コメント】
恩返しでも竜の舞1回でガブリアスを倒すことができる。タイマンではA182ガブリアスの逆鱗を威嚇込みで最高132ダメージに抑えられるので、恩返しなら鮫肌込みでも勝てるが捨て身タックルでは反動で倒れてしまう。
恩返しでも十分なように見受けられる。
○B111サザンドラ(HP:167^199)
- A197恩返し:133^157
- A197捨て身タックル:156^184(51^61)
【コメント】
無振りサザンドラを想定するなら捨て身タックルは高めの乱数で1発(ステロ込みなら確定)。しかし、拘りスカーフもメジャーなアイテムであるサザンドラに対していきなり突っ込む立ち回りは避けたくて、するとボーマンダがサザンドラに攻撃する場面は型が分かってからか竜の舞を使ってからになる。型が分かるころには蓄積が入って恩返し圏内に入っていそうで、竜の舞を使った場合は恩返しでHP振りサザンドラまでしっかり倒せる。
恩返しでもさほど困らなさそう。
○B101マリルリ(HP:175^207)
- A197恩返し:147^174
- A197捨て身タックル:171^202(56^67)
【コメント】
恩返しでもマリルリのHPを7割以上削れるので腹太鼓を使ったマリルリを処理できるが、捨て身タックルの場合はステロ+6段階上昇アクアジェット+反動で倒れてしまう。タイマンでもA224マリルリのじゃれつくを威嚇込みで最高122ダメージに抑えられるので、恩返しなら2回殴って勝ちだが捨て身タックルでは反動で倒れてしまう。
割と恩返しで良さそうに見受けられる。
○B108メガルカリオ(HP:145^177)
- A197恩返し:136^162
- A197捨て身タックル:160^190(53^63)
【コメント】
無振りメガルカリオは捨て身タックルなら確定1発、恩返しの場合はステルスロック1回込みでも高乱数となってしまう。地震と恩返しはほぼ同火力なのでメガルカリオを確実に倒すなら捨て身タックルを持つ必要がある。
とはいえ、恩返しでも妥協できる火力は出せそう。
○B101メガゲンガー(HP:135^167)
- A197恩返し:147^174
- A197捨て身タックル:171^202(56^67)
【コメント】
無振りメガゲンガーならどちらでも1発。HP振りメガゲンガーは捨て身タックルなら確定1発、恩返しの場合は低乱数1発だがステルスロック1回込みで1発となる。
ボーマンダとゲンガーがいきなり打ち合うのは怖いことを考えると打ち合いは試合の中盤以降になるので恩返しでも問題なさそうに見受けられる。もっとも、返り討ちにされる可能性のある状態でメガボーマンダにメガゲンガーが繰り出されるかはあやしい。
○B187カバルドン(HP:183^215)
- A197恩返し:79^94
- A197捨て身タックル:93^111(30^36)
【コメント】
恩返しだと確定3発、捨て身タックルだと乱数2発。ゴツゴツメット+怠けるが考えられるので、捨て身連打による突破はあまりしたくない。竜の舞からの突破を考えると恩返しでも確定2発にできるので、恩返しで良さそう。とはいえ、少し蓄積があれば捨て身タックル2発で突破できるのは十分魅力的。
○B192メガフシギバナ(HP:155^187)
- A197恩返し:156^186
- A197捨て身タックル:182^216(60^71)
【コメント】
恩返しの場合はステルスロック込みで1発、捨て身タックルならほぼ1発。
防御にすべて努力値を振っている個体数と蓄積ダメージを考えると恩返しで良さそう。
○B150メガボーマンダ(HP:170^202)
- A197恩返し:99^117
- A197捨て身タックル:115^136(37^45)
【コメント】
どちらも確定1発はとれないが、竜の舞を使う場合は捨て身タックルなら無振りメガボーマンダを一撃にできる。ステルスロック込みの捨て身タックルでも乱数なことを考えると、タイマンは竜の舞からスタートする方が良さそうだが、ステルスロック込みでも竜の舞+恩返しならさすがにボーマンダを倒せる。
そもそもボーマンダ同士で打ち合うのかという問題もあるが、ミラーを仕掛けなくてはいけない場面はありそうなので、捨て身タックルに軍配が挙がるか。
○B183スイクン(HP:175^207)
- A197恩返し:81^96
- A197捨て身タックル:94^112(31^37)
【コメント】
恩返しでは確定3発、捨て身タックルでは乱数2発。特に、捨て身タックルの場合はステルスロック1回込みでほぼ倒すことができる。
捨て身タックルを採用する価値がかなりあると言える。
○B151ナットレイ(H:149^181)
- A197恩返し:99^117
- A197捨て身タックル:115^136(38^45)
【コメント】
HP振りナットレイなら恩返しでも確定2発。ただ、捨て身タックルの場合は反動ダメージと鉄の棘と合わせてHPを6割ほど削られてしまう。竜の舞+捨て身+ステロダメージでHP振りナットレイは倒せるので捨て身にも軍配は挙がりそうだが、ナットレイが物理耐久を高めている場合はあやしくなってくる。
○B176エアームド(HP:140^172)
- A197恩返し:42^50
- A197捨て身タックル:49^58(16^19)
【コメント】
D122エアームドへのC124大文字のダメージが86^102となるので、竜の舞恩返し+大文字+ステロダメージでほぼ倒すことができる。ゴツゴツメットを持っていることも多いポケモンなので、これは恩返しでも良さそう。
○B211エアームド(HP:140^172)
- A197恩返し:35^42
- A197捨て身タックル:42^49(13^16)
【コメント】
D91エアームドへのC124大文字のダメージが114^136になるので、ステルスロックが1回入れば恩返し+大文字で高乱数になり捨て身+大文字でしっかり倒せる。
特殊技を持っていない場合はもはや突破できないので、どちらでも変わらなさそう。
○B131バンギラス(HP:175^207)
- A197恩返し:57^67
- A197捨て身タックル:66^78(21^25)
【コメント】
A197地震の最低ダメージが114なので、恩返しなら無振りバンギラスが倒せて、捨て身タックルならステロ込みでHP振りまで倒せる。シングル66のバンギラスは拘りスカーフを持たない限りHPに配分していることが多そうなので、無振りバンギラスを倒せる指標はあまり役に立たなさそう。
また、バンギラスのシュカの実を考慮すると飛行技+地震では倒しきれずに返り討ちにされる可能性があるので、捨て身タックル+地震で倒せることが良い点には感じにくい。恩返しでもステロ前提なら恩返し2発+シュカ込み地震+ステロ2回で倒せるので、バンギラスをメガボーマンダに1回しか投げられないで済む。
○B155クレッフィ(HP:132^164)
- A197恩返し:48^57
- A197捨て身タックル:56^66(18^31)
【コメント】
シングル66のクレッフィの配分としては特殊耐久を厚くした個体の方がメジャーかもしれないが、HP振りのクレッフィは飛行技+地震で簡単に倒せるので、ここでは防御に厚い個体を意識。
地震のダメージが96^114なので、恩返し+地震では倒せず、捨て身+地震でようやく乱数という具合である。癒しの鈴でも搭載していない限り、メガボーマンダでクレッフィを倒しきる必要性は高くなさそうなので、恩返しで身代わりを残されない程度の火力があれば十分に思える(電磁浮遊を考慮)。その意味では恩返しで良さそう。
○B170ギルガルド(HP:135-167)
- A197恩返し:43^51
- A197捨て身タックル:51^60(16^19)
【コメント】
地震のダメージが88^104なので捨て身+地震でも倒すことはできない。しかし、ギルガルドから一撃で倒されることも少ないので交代で出てきた場合は竜の舞+地震と選べば良く、これなら恩返しでも倒すことができる。
ギルガルドが命の珠を持っていた場合はシャドーボール+影打ちでメガボーマンダが倒される可能性もあるので、捨て身タックルの反動ダメージを貰わない方が賢明なようにも思える。
○B128Wロトム(HP:125^157)
- A197恩返し:58^69
- A197捨て身タックル:67^80(22^26)
【コメント】
捨て身タックルはステロダメージが1回入ると2発。恩返しでも確定3発のため、ロトムの繰り出しを2回以上許さない点は共通。
捨て身タックルのダメージを考えるとロトムはHP振りに加えて防御を上げたりオボンの実を持たせるのが主流になりそうなので、恩返しでは恩返しでは3発で倒しきれない場合もあるので捨て身タックルを採用する理由になりそうだ。
○B134ボルトロス(HP:154^186)
- A197恩返し:55^66
- A197捨て身タックル:64^76(21^25)
【コメント】
防御に薄いボルトロスは後述の霊獣ボルトロスを参照。防御に厚いボルトロスの場合はHPに多く配分していることが多いだろうが、恩返しで乱数3発、捨て身で確定3発である。
ステロ前提なら恩返し2発+ステロ2回で倒せるので、1回しか繰り出しを許さず火力も十分なように思える。
○B91FCボルトロス(HP:154^186)
- A197恩返し:81^96
- A197捨て身タックル:95^112(31^37)
【コメント】
恩返しで無振りボルトロスが確定2発、捨て身タックルならHP振りまで2発で倒せる。ステルスロックのダメージが入っても確定数は変わらない。
霊獣ボルトロスは拘りスカーフ型を想定しておきたいが、無振り相手であれば竜の舞恩返し+ステロで倒すことができる。
捨て身タックルである必要性はそこまでなさそう。
・・・・・・・・
今回の計算結果から見ると
という傾向が見られるでしょうか。
実際に使ってみても個人的には恩返しで十分だと感じる場面が多いのですが、その辺りの受け取り方もプレイヤーによっては違うかもしれませんね。