2016年夏ドラマの感想

2016年夏ドラマの感想。


「ON 異常犯罪捜査官 藤堂比奈子」
好きな人がいること
「侠飯」
「そして、誰もいなくなった」


正直、「侠飯」以外はイマイチだったので、来期は観る本数を抑えようと思います、



○「ON 異常犯罪捜査官 藤堂比奈子」
【主演】
波瑠、横山裕
【あらすじ】
刑事課に配属された新人・藤堂比奈子。彼女は猟奇殺人の現場捜査にも平然と飛び込んでいく振る舞いを見せていたが、むしろ内心では犯罪者に異常な興味を示していた。彼女がなぜ犯罪者に興味を示すのか、殺人者とそうでない者の境界線をテーマにしながら連続する異常犯罪と向き合う物語。
【感想】
あらすじなど全く見ていませんでしたが、前クールの「世界一難しい恋」からの流れで観てみようと思いました。
食べ物や飲み物に必ず七味をかけて食べる、現場では「この方が記憶できるので」と手書きの下手なイラストを描く、そんな風変りな一面を持った新人・女刑事が主人公。変人的な特徴を持たせないとキャラクターに色付けできないのかと思うと、あまり期待が持てないスタートでした。しかし、束の間に藤堂の同僚が連続殺人事件の被害者となる展開となり、これには意表を突かれました。どうやら事件が起きて推理して犯人を捕まえるだけの普通の刑事ドラマではなさそうです。
ということで、少々期待を持って続きを観ていたのですが、思ったよりも話に抑揚がありません。普通の刑事ドラマではないので推理する要素はほとんどないのですが、各話のエンディングがワンパターンで続く(藤堂と犯人がタイマンになったところに横山裕演じる先輩が現れる)ので、どうしても猟奇的な殺害方法にばかり目が行ってしまいます。自分が殺人を犯すかに興味を持っているものの、メーターではなくスイッチ状態(ON/OFFの2つしかない)だとONになる兆しが見えるわけでもないので、観てる側としては読みづらくメリハリに欠ける印象でした。
最終回は、「殺人スイッチONのきっかけとなる究極の選択を迫られるも、何とか踏み止まる」という結末なのですが、なんで踏み止まったのか説得力に欠ける気がしています。踏み止まるきっかけになったのが遠い母親の言葉と先輩刑事の言葉ですが、彼女自身は感情がない設定なので誰かの言葉で思い止まれると言われても頷けません(そもそも彼女自身が踏み止まりたいと思っていたのかどうか…)。しかも、この後2人の窮地を救ったのがネタキャラ扱いされていた要潤演じる刑事で、すごく良いところだけ持っていかれた感じで逆に思わず笑ってしまいました。
そういうわけで、毎週決まってちゃんと観ていたものの、あまり面白い印象がないまま終わってしまいました。そういえば、最近は関ジャニの番組を毎週録画して観ているのでメンバーについて結構詳しい状態なのですが、今回この作品を観て「横山裕はキレてる演技しかできないのでは」と思わされました。




○「好きな人がいること
【主演】
桐谷美玲山崎賢人
【あらすじ】
パティシエになる夢を叶えた主人公だが、恋愛に関してはからっきし。ある日、勤務先のパティスリー部門がなくなってしまい就職活動を始めるが、その最中に偶然にも高校時代の初恋相手に出会う。そして、彼の経営するレストランの住み込みパティシェとして雇ってもらうことになるが、そこで待ち受けていたのは彼とその兄弟2人を含む4人での共同生活だった。
【感想】
主演が桐谷美玲なので一応観ておくか程度の興味で視聴。ドラマが始まる前にあらすじだけ聞いたときから「面白い展開が期待できない…」と感じていましたが、その期待値より僅かに高い面白さでした。
良かった部分は「三浦翔平がかっこいい」「優男の印象だった山崎賢人が意外とサーフィンが似合うことを知れた」「桐谷美玲がたまにかわいい」くらいでした(野村周平のかっこよさが全く分からないので、そちらに関してはパス)。逆に言えば、これくらいしか良いところがありませんでした。湘南、パティシエ、共同生活、容姿端麗な役者・・・と雰囲気の出る要素を揃えただけで中身のシナリオについては味気なかったです。
ざっくり話を追うと「憧れの先輩と共同生活、先輩の弟と相容れない、なぜかその弟に恋愛感情を持たれる、なぜか憧れの先輩に好かれる、なぜか弟のことの方が好きになる」という流れ。人を好きになることに理由を求めるのはナンセンスかもしれませんが、なぜかそうなるのかがよく分からない部分が多くてご都合主義な部分を感じました。
ラストは「夢のために別れた主人公を空港まで追いかける」とありがちな展開でしたが、今どきは連絡も簡単にとれますし海外行くからお別れというのも古いように感じました。こういうテンプレのドラマチック要素は序盤から積極的に盛り込まれていましたが、単純に「頭が悪いの?」と思うような言葉や非常識な行動の方が目立っていたように思います。ドラマチックにもリアリティは必要で、時代が進んでリアリティ観が変化していく中でドラマチック観は時代に追いついていない乖離が起きているのではないかと思いました。




○「侠飯」
【主演】
生瀬勝久柄本時生
【あらすじ】
大学生の主人公が自宅アパートに帰る途中、アパート前で起こっていた暴力団の闘争に巻き込まれる。その中で銃弾から身を挺して庇ってもらった借りとして自宅で組長とその舎弟を匿うことに。「いつ死ぬか分からないから、いい加減なものを食べたくないだけだ」と料理に強い拘りを見せるヤクザとの共同生活が始まる。
【感想】
ヒロインに内田理央がいるというので視聴することにしました。普通に観ようとすると、いわゆる飯テロ(少しお腹が空く深夜に美味しそうな食事の画像を見せるアレ)の被害を受けるのではないかと思います。私は録画して観ていますし、そもそも飯テロに耐性があるので困らなかったです。
感想としては、普通に面白かったです。就職活動に悩む主人公を描きつつ、後半は「飯にするか」という決まり文句で料理の時間。冷蔵庫のありもので作る実践的な料理と任侠道を通じた組長の教え、で勇気づけられるシンプルなストーリー。友人に共同生活がバレそうになったり、恋の予感を匂わせたり、と進展もあったので毎週楽しむことができました。
目的だった内田理央もとても良かったです。スタイルが良いので夏らしい衣装がとても似合っていて、コミカルな展開も自然に演じつつ、表情豊かな感じにとても癒されました。仮面ライダードライブからちょくちょく見ていますが、グラビアアイドルに任せたいような配役を自然に演じられる貴重な女優さんだと感じます。
そして、最終回ではヤクザが仮の姿で正体は潜入捜査官ということが明かされる意外な展開。全然予想していなかった上に自然な流れで明かされたので驚かされました。ヒロインとの恋愛関係も主人公の妄想止まりでなく確かな予感を感じさせて(でも関係を明にはしなかった)と絶妙な描き方で、最後の晩餐で別れた2人も次の潜入捜査で意外と身近にいるというエンディングで良かったです。
全体的にあまり悪い印象はありませんでしたが、お金持ちの友人役だった戸塚純貴は仮面ライダーウィザードで見ていたときのように何かちょっと癖のある感じが気になりました。




○「そして、誰もいなくなった」
【主演】
藤原竜也玉山鉄二
【あらすじ】
大手コンピュータ会社に勤める研究者の主人公・藤堂新一。仕事は順調、友人にも恵まれ、婚約者がいる…と順風満帆の生活を送っていた。しかし、ある日「お前は藤堂新一を名乗る偽物ではないか」と会社から疑いをかけられ、同姓同名を名乗る別人に人生を乗っ取られてしまう。誰の陰謀で陥れられたのか分からない状況から、本物の藤堂新一としての人生を取り戻すために奮闘する物語。
【感想】
興味はあったものの1話目から録画を忘れてしまい、結局観始めたのは3話の終わりからでした。全体的な印象としては「藤原竜也ミステリーあるある」という感じで、中盤辺りまではそこそこ楽しめました。しかし、終盤に意外性が全くなく、登場したキャラクターの不明瞭になっている部分を回収しきれていない終わり方であまり釈然としませんでした。
主人公の友人である斎藤の死体をリスクを冒してまで持ち出した理由、母のヘルパーである弥生がなぜどうやって殺されたのか、生活を共にしていた馬場が死んだように見せかけてと思いきや本当にあっさり死んでいた・・・この辺りは謎の伏線として用意されていたはずなのに最後まで不明瞭なままです。また、誰が主人公を陥れようとしているのか解き明かすミステリーのはずなのに、ドローンを飛ばす段階で黒幕自らが手を加えた(もはや黒幕という表現がふさわしくない)上に、動機を悟れるようなセリフを敢えて残したり、何を見せたかったかがイマイチ分からなかったです。
良かったポイントを挙げるとすれば、主人公の身近な人間のほとんどが黒幕の企てる復讐劇に全面的にではなく少しずつ協力していたことです。日常的には主人公と親しそうにしつつも、内心では不満や嫌気を指す部分を持っており、彼らのそんな部分を少しずつ利用していくことで復讐劇の足りないピースを埋めていきました。この手の物語はあやしい人物も蓋を開けると白か黒かはっきりしていることが多い中で、ほとんどの登場人物がグレーであることに少し人間味を感じて良かったと思えます。
観た収穫としては伊野尾慧と桜井日奈子でしょうか。伊野尾慧は存在は知っていたものの、ちゃんと見るのは初めてでしたが個人的には好みでした。また、桜井日奈子は存在を知らなくて「これが白猫のCMの女の子か…!」と感心してました。