ライブ大会「ジャパンチャンピオンシップス2017」使用パーティ〜畳返しドーブルポリゴンZ〜

ドーブル ようき テクニシャン
143-41-64-×-76-139 H.100 A.4 B.68 D.84 S.252
ねこだまし、キノコのほうし、たたみがえし、へんしん@こだわりスカーフ


○ポリゴンZ ひかえめ てきおうりょく
173-×-97-191-96-136 H.100 B.52 C.148 D.4 S.204
10まんボルトれいとうビーム、テクスチャー、まもる@ノーマルZ


ウインディ いじっぱり いかく
181-151-101-108-116-140 H.124 A.60 B.4 D.124 S.196
フレアドライブしんそく、じならし、バークアウト@とつげきチョッキ


カプ・ブルル いじっぱり グラスメイカ
177-166-146-×-134-99 H.252 A.4 B.84 D.140 S.28
ウッドホーン、ばかぢから、ビルドアップ、まもる@たべのこし


ハリテヤマ ゆうかん あついしぼう
219-176-111-×-94-49 A.156 B.244 D.108
インファイト、はたきおとす、ねこだまし、フェイント@オボンのみ


ウツロイド おくびょう ビーストブースト
184-×-78-168-151-170 B.84 C.172 S.252
パワージェム、ヘドロばくだん、めざめるパワー(氷)、まもる@いのちのたま


6/18のJCS全国大会で使用。スイスドロー予選を6-0で1位抜け、準々決勝敗退でベスト8。
原案のカンザキさんがJCS予選B日程で17-2の1691で29位。


カンザキさんのブログ記事はこちらから
【ダブル】スカーフドーブル+ポリゴンZ展開



【構築概要】
Zテクスチャーを使うポリゴンZを主軸にした構築。
基本的な戦い方は、ドーブルのサポートからZテクスチャー。能力ランクの上がったポリゴンZを取り巻きのポケモンで守りながら戦っていきます。ドーブル+ポリゴンZの組み合わせはトリックルームを主軸にした組み合わせが主流なので、選出のミスリードを誘いやすいところがポイントになっています。
ポリゴンZが選出しづらい場合は環境の多くのポケモンに弱点を突いて攻撃できるウツロイドを上手く扱って戦います。


【構築経緯】
2月ごろにカンザキさん原案のバイバニラ+サンドパン構築を使っており、その構築は「高い素早さから火力を振り回して高圧的な立ち回りをする…と見せかけてサンドパンオーロラベールを使う」という初見殺しがコンセプトでした。以降もカンザキさんは初見殺しの考察を続けており、その中でドーブル+ポリゴンZの組み合わせに着目していました。
ポリゴンZは「スカーフ破壊光線」「Z破壊光線」「Zテクスチャー」「トリックルーム」と型が多彩なポケモンで、どれも対処法が異なるので事前に型を見極めることが重要になります。この中でもZテクスチャー型とトリックルーム型はサポート役が必要になりますが、ドーブルと組み合わせたトリックルーム型の方が主流なように思います。ということで、ドーブルと組み合わせたテクスチャー型は比較的意表を突くことができそうです。


しかし、Zテクスチャーを成立させた上で勝つのは意外と難しいです。Zテクスチャー型はトリックルーム型と違って素早さに努力値を割く必要があり耐久がやや疎かになります。そのため、万全のサポートをつけたいですが、Z技枠を消費しつつ1匹を強化するだけの積み技なので、味方全体に効果が及ぶトリックルームと違ってドーブル1匹を犠牲にするコストと見合っていません。
そこで考えたのがスカーフドーブルによる畳返しです。畳返しであればドーブルもポリゴンZもダメージを受けずに積むことができて、終盤にドーブルを再利用するような立ち回りが可能になります。また、この指止まれを意識したフリーフォール+Z技のような対策にも対応することができるようになります(畳返しでZ技を受けると守るを使った場合と同様にダメージが1/4になる)。畳返しには優先度がないので、ドーブルより素早さの高いポケモンの相手が厳しいですが、ドーブル+ポリゴンZの組み合わせはトリックルームが主流なこともあり、ある程度はスカーフポケモンの選出を抑制することができるはずです。


これらを踏まえた上でカンザキさんに提案。「ドーブル、ポリゴンZ、ウインディカプ・ブルルハリテヤマギガイアス」という6匹でしたが、カンザキさんがギガイアスウツロイドに変えた形でまとめてくれました。実際、提案段階でギガイアストリックルーム構築の雰囲気を装うためだけのポケモンだったので、実用的なポケモンに変わったことはプラスです。ウツロイド自身もトリックルームを使うことができるので、偽装要員としては最低限の要素を持っています。
あとは自分が扱いやすいように個々に調整を施しました。6匹の採用経緯は以下のような感じです。


★ポリゴンZ
…構築コンセプト
ドーブル
…ポリゴンZのテクスチャーをサポート
カプ・ブルル
…フィールド要員、ポリゴンZの弱点の地震のケア、ドーブルがキノコの胞子を打ちやすい
ウインディ
…威嚇が優秀、カプ・ブルルと縦の相性が良く、フィールドの奪い合いをしやすくなる
ハリテヤマ
猫騙しを絡めたトリックルーム対策、構築の雰囲気をトリックルーム寄りに仕立ててくれる
ウツロイド
…ポリゴンZが出しづらいときの主力、取り巻きとの相性が良く環境に対する刺さりも良い


【個別解説】


ドーブル
<持ち物:拘りスカーフ>
畳返し+Zテクスチャーをコンセプトにしているため、相手より素早く畳返しを決めるために拘りスカーフ。
<技構成:猫騙し、キノコの胞子、畳返し、変身>
コンセプトである畳返し、猫騙し持ちと対面した際に先制して使う猫騙し、相手を眠らせることで疑似的な猫騙しとして使えるキノコの胞子。
初手で打ちたい技は上記3つで揃っているので、最後の技はドーブルを終盤に温存した場合に打つ技として変身を採用しました。他の候補としてはこの指止まれとフリーフォールがあります。この指止まれはあると便利な技ですが、基本的に残数を減らすのは得策ではなく、一度のこの指止まれのおかげで状況を打開できる場面は多くないと思い不採用。フリーフォールはフィールドの関係でキノコの胞子が打てない場面で使う技として考えましたが、それならば変身で自身が攻撃に転じる方が強いと考えました。変身は基本的には相手に打つことが多いです(味方に打つ試合は基本的に有利なのでそこまでする必要がない)
<実数値:143-41-64-×-76-139 H.100 A.4 B.68 D.84 S.252>
素早さ最速。A182ガブリアスの75%地震耐え、75%岩雪崩2発耐え。C182カプ・テテフサイコキネシス耐え(15/16)。
変身を使うためHPに多く配分したい気持ちもありますが、想定される拘りスカーフ持ちの攻撃をなるべく耐えられるように総合耐久が高くなるように振り分けました。A178ウインディの拘り鉢巻神速耐えが高乱数ですが、拘り鉢巻ウインディを迎える数よりもガブリアスやカプテテフと対面することが多かったので、そちらを重要視しています。


★ポリゴンZ
<持ち物:ノーマルZ>
Zテクスチャーを使うため必須。Zテクスチャーの効果は「攻撃・防御・特攻・特防・素早さを1段階アップ」で、テクスチャーの効果は「自身のタイプを一番上に配置している技のタイプにする」です。
<技構成:10万ボルト、冷凍ビーム、テクスチャー、守る>
メインウエポンの10万ボルト、電気技の通らない地面タイプの弱点を突ける冷凍ビーム。大事に扱うための守るも抜けません。
テクスチャーで電気タイプを選んだのは「威力90の技をメインにしたい」「弱点が少ない」ことが理由になります。エスパーでサイコキネシスをメインにする選択肢もありますが、取り巻きを考えたときに鋼・悪タイプの処理難易度が高く感じたので不採用。
<実数値:173-×-97-191-96-136 H.100 B.52 C.148 D.4 S.204>
性格補正のないフェローチェ抜き。ランク+1適応力10万ボルトでH145D135カプ・テテフ1発。C182カプ・テテフサイコキネシス耐え。防御ランク+1状態でA215カミツルギのZリーフブレード耐え(15/16)。
ドーブルを使ってまでサポートするのでしっかり生き残るようにする必要があり、火力と素早さを最低限に抑えてなるべく耐久を向上させることを考えました。


ウインディ
<持ち物:突撃チョッキ>
原案はホノオZでしたが、ポリゴンZと同時選出する機会が多いこと、カプ・テテフへの立ち回りの安定性を上げるために特殊耐久を高めたいこと、サポート寄りの駒を増やさないよう火力が欲しかったこと、から特殊耐久を大きく引き上げつつ火力を上げる余地がある突撃チョッキ。
<技構成:フレアドライブ、神速、地均し、バークアウト>
鋼タイプへの打点となるフレアドライブ、気合の襷カミツルギやカプ・コケコを処理するための神速。構築で厳しいウツロイドの処理速度を上げる地均し、最後の技はカプ・ブルルやポリゴンZなどの積んだポケモンを手厚くサポートできるバークアウトを採用。
原案は「燃え尽きる、熱風、日本晴れ、守る」の特殊型から入りましたが、神速とバークアウトが欲しい場面が多く、特殊型で炎技一本の選択をとると火力・安定性のどちらかに不安を抱えることになるので、物理型へと変更しました。
<実数値:181-151-101-108-116-140 H.124 A.76 B.4 D.124 S.180>
A233カミツルギのZ聖なる剣耐え、A182ガブリアスの75%地震耐え(15/16)、C182カプ・テテフのフィールド込みZサイコキネシス耐え(15/16)、最速ドーブル抜き。残り攻撃。
JCS予選でも使ったチョッキ型の配分から素早さを2上げてドーブルを抜きました。カプ・ブルルの使用率が高くなると予想していた点とミストメイカーがなく相手ドーブルのキノコの胞子をケアできない点から、ウインディがそれらを抜けるようになることで立ち回りを組み立てやすくなります。


カプ・ブルル
<持ち物:食べ残し>
グラスメイカー・ウッドホーンによる回復と相性が良いため採用。
ビルドアップを積んだときに最も効力を発動できると思いましたが、交代で繰り出す動きや弱点を突かれても立て直しが図れるフィラの実を持たせる方が良かったと後々思いました。
<技構成:ウッドホーン、馬鹿力、ビルドアップ、守る>
ビルドアップ型で採用することにしたので、大事に扱う守ると回復技にもなるウッドホーンを採用。最後の技はカミツルギカビゴンに手を伸ばせてウインディテッカグヤにも等倍で通る馬鹿力。
フィールド奪取のために交代を繰り返すことも多いので積み技を搭載した型とは相性が悪い側面もありますが、ポリゴンZに負荷がかかりすぎることを避けるためにビルドアップ型で採用しました。ポリゴンZが消耗してしまっても、特定の相手を倒してしまえばカプ・ブルルを勝ち筋にする選択肢をとれます。
<実数値:177-166-146-×-133-99 H.252 A.4 B.84 D.140 S.28>
ランク+1ウッドホーンでH183B115ガブリアス2発。A182ガブリアスの毒突き耐え(15/16)。ランク-1の性格補正なしカプ・テテフ抜き。残り特防でC200カプテテフのZサイコキネシス耐え。
攻撃と防御はビルドアップで補えることやフィールド奪取のために繰り出すことから特殊耐久の向上を意識して配分しました。


ハリテヤマ
<持ち物:オボンの実>
猫騙しで切り返すために交代で繰り出す場面が多いので、その動きを安定させるために耐久を底上げするオボンの実。半分回復する木の実は75%削れないと発動しない(75%以上削れると次の75%で倒される)ため、無理やり交代で出す動きを考えるとオボンの実の方が優れているように思います。
原案は突撃チョッキでしたが、ウインディに優先したため別の持ち物を考える必要がありました。
<技構成:インファイト、叩き落とす、猫騙し、フェイント>
メインウエポンとなるインファイト、トリパなどに時間稼ぎをするための猫騙し、構築で重めなガラガラに対する打点となる叩き落とす。最後の技は気合の襷で攻撃を耐えたカミツルギウツロイドを処理するためのフェイントとしました。
カビゴンやポリゴン2をインファイトで一撃にすることはできないので、叩き落とすで持ち物を落としてからインファイトを打つ動きの方が安全な処理がしやすいです。フェイントの枠は毒突きも候補でしたが、ハリテヤマでカプ系を攻撃できるようにして取捨選択の範囲が広げても攻撃できる状況は稀なケースなので不採用としました。
<実数値:219-176-111-×-94-49 A.156 B.244 D.108>
C161カプ・レヒレムーンフォース耐え。A215カミツルギのZリーフブレード耐え(12/16)。残り攻撃。
突撃チョッキを持たせていた頃は特殊耐久を重視していましたが、持ち物を変えたことで耐えられる特殊攻撃が限られてきたので、物理耐久寄りに変更。本来の役割から考えてもカビゴンギガイアスカミツルギを相手にしたいので、その方が良さそうです。
素早さは最遅ヤレユータンの采配を防ぐために遅く設定しましたが、通常時にカビゴンに抜かれることがあるため57に設定すべきだったかもしれません。


ウツロイド
<持ち物:命の珠>
足りない火力を補うために、打ち分け可能で火力が最も出せる命の珠を持たせます。
<技構成:パワージェム、ヘドロ爆弾、めざめるパワー氷、守る>
環境を代表するカプ系統に刺さるヘドロ爆弾、ウインディへの打点となるパワージェム、岩・毒を両方半減する地面タイプへの打点となるめざめるパワー、大事に扱うための守る。
この技構成で広く攻撃範囲をとることができるので、特別他に必要と感じる技はありませんでした。
<実数値:184-×-78-168-151-170 B.84 C.172 S.252>
素早さ最速。A233カミツルギのスマートホーンを威嚇込み耐え(14/16)、残り特攻。
ビーストブーストで素早さが上がるように調整。終盤に削れた相手を倒していく使い方が多く、相手が温存するスカーフポケモンとの関係を逆転させることができます。


【構築総評】
構築として対応範囲が広いわけではないので、完成度という尺度で測ると高いとは言い難いものはありますが、このコンセプトを保った上では良い形に仕上げることができたのではないでしょうか。
現にスタンダード構築に対する勝率は良かったのですが、雨パーティや純正のトリックルームを駆使するギミック入りの構築に対して安定しませんでした。ただ、最初に私がこの6匹の並びを見せられたときに「テクスチャー型だと対応範囲が狭そうだからこれはトリックルーム型」と判断したように、敢えて対応範囲が広くないように見せることで意表を突けることもあると思ったので、その点は短所でもあり長所でもあるという不思議な感じでした。
対戦相手が実際にどう思っていたか分かりませんが、Zテクスチャーだけでなくトリックルームの可能性も捨てられないためか両方に対応できるような選出になっていることが多く、それに乗じて勝つ試合が多かったです。また、畳返し自体も読まれることが少なく、安全にZテクスチャーが決まる場面は多かったです。
カプ・ブルルの型をもう少し強いものにできればという思いはあったのですが、現状の型以上のものを発見することはできませんでした。


【ライブ大会での選出メモ】

○1試合目 vs SNOW さん 勝ち 2-0
自分:ドーブル ポリゴンZ ハリテヤマ ウインディ
相手:ウインディ カミツルギ カビゴン カプ・コケコ (カプ・レヒレ ポリゴン2)


○2試合目 vs HN不明 勝ち 4-0
自分:ドーブル ポリゴンZ カプ・ブルル ウインディ
相手:ファイアロー ガブリアス カプ・レヒレ テッカグヤ (ウインディ カビゴン)


○3試合目 vs そまーる さん 勝ち 4-2
自分:ドーブル ポリゴンZ ウインディ カプ・ブルル
相手:エルフーン カプ・テテフ ウインディ ガブリアス (カプ・コケコ テッカグヤ)


○4試合目 vs わーむす さん 勝ち 2-0
自分:ドーブル ポリゴンZ ウインディ カプ・ブルル
相手:エルフーン カプ・テテフ ウインディ ガブリアス (カプ・コケコ カミツルギ)


○5試合目 vs じーん さん 勝ち 3-0
自分:ドーブル ウツロイド ウインディ ハリテヤマ
相手:カプ・コケコ ウツロイド ウインディ マッシブーン (バルジーナ カプ・ブルル)


○6試合目 vs キノ さん 勝ち 3-2
自分:ドーブル ポリゴンZ ウインディ カプ・ブルル
相手:カプ・レヒレ エルフーン ウインディ 【?】 (ガブリアス テッカグヤ カプ・ブルル)


○準々決勝 vs じーん さん 負け 0-1
自分:ドーブル ウツロイド ウインディ ハリテヤマ
相手:カプ・コケコ バルジーナ マッシブーン ウツロイド (ウインディ カプ・ブルル)


【感想】
端的に述べるなら、「非常に運が良かった。それに頼る部分は大きかったが、運が良いときにちゃんと勝てる構築を選択できた自分の判断も悪くなかった」というところです。
「決勝トーナメント進出時にパーティ情報が公開されるのになぜこの構築を選択したのか?」と言われると「ベターな構築がこれしかなかったから」というのが正直な回答になります。いわゆる初見殺し性能を重視した対応範囲の狭い今回の構築は、日本一を目指すのであれば不向きな構築だと言えるでしょう。しかし、それを達成できるだけの構築を用意できなかったため、目標をべスト4以上入賞に下げて、それを成し遂げられる可能性が高そうな構築を選択した次第です(結局情報が割れた状態では立ち回りと運が物を言うので、決勝トーナメントの1戦はそれが都合良くいくことを願うだけでした)。
大会当日はスイスドロー予選を全勝できましたが、それだけ圧倒的に強かったというわけではなく、ただ私がその中で運が良かっただけの結果だと思っています。実際、決勝戦まで駒を進めたバルドルさんやじーんさんをはじめ、上位に入賞しているプレイヤーやその構築を見るとレベルの差を感じるので、世界大会に向けて何とかレベルを上げられるようにしていきたいです。


構築案をまとめてくれて、最後まで議論に付き合ってくださったカンザキさん、
本当にありがとうございました。