「WCS2009ルールの構築叩き台10選」「WCS2010ルールの構築叩き台10選」をやっていたので、2011版もやろうと思いました。
どこに需要があるのかは分かりません()
WCS2011のルールは「BWで新登場したイッシュ図鑑のポケモン限定のダブルバトル」です。全国各地でオフライン大会を行う形式でしたが、3月の震災の影響(?)もあって日本大会は中止となってしまいました。
そのため、非公式大会で結果を残したパーティやジャンルとして存在していた構築タイプを私なりに考察したものを10個載せるという形を取っています。
【No.1 エルフーンテラキオン:袋叩き】
【No.2 ボルトロステラキオン:スタン】
【No.3 ボルトロスワルビアル:スタン】
【No.4 モロバレルブルンゲル:スイッチトリパ】
【No.5 アーケオステラキオン:ビートダウン】
【No.6 ボルトロスゾロアーク:起点作り+積み】
【No.7 ムシャーナランドロス:純正トリパ】
【No.8 コジョンドギガイアス:手動砂パ】
【No.9 トルネロスブルンゲル:手動雨パ】
【No.10 ウルガモスオーベム:シンプルビーム積み】
ポケモン | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 | 持ち物 |
---|---|---|---|---|---|
エルフーン | 草結び | 袋叩き | 追い風 | 日本晴れ | 気合の襷 |
テラキオン | 岩雪崩 | インファイト | 挑発 | 守る | 岩のジュエル |
シャンデラ | オーバーヒート | 火炎放射 | 熱風 | シャドーボール | 拘りスカーフ |
モロバレル | ギガドレイン | ヘドロ爆弾 | キノコの胞子 | 怒りの粉 | オッカの実 |
【説明】
エルフーンの袋叩きでテラキオンの正義の心を発動させる現在でも有名なギミック。素早さの高い2匹で瞬発的に火力を引き出して何も対策していない相手を簡単に壊滅させることができるので、このルールにおいてもまず一番最初に意識する必要のある組み合わせと言える。当時のエルフーンは遺伝経路の問題で、嘘泣き・アンコール・草笛などの補助技と袋叩きを両立することができないため、袋叩きが決まらない場合に別展開に持ち込みづらく、構築難易度が高くなっている。
【解説】
エルフーンは弱点が多いので行動保障を得るために気合いの襷持ち。有用な補助技を持てない分これで火力に努力値を割くことで、なるべく攻撃にも参加できるようになる。テラキオンを失った後もシャンデラとの並びで火力を出せるよう日本晴れを採用。攻撃技を草結びにしているのは無振りテラキオンを高乱数1発で倒せることが理由で、テラキオンやシャンデラの攻撃が通りづらい地面・水タイプに弱点を突くことができるので相性は良い。
テラキオンは袋叩きを受ける関係で気合いの襷を持つことはできない。ランク+4の岩雪崩は中耐久のポケモンにすら耐えられるので、その調整を崩すために岩のジュエルを持たせているが、格闘+飛行の並びに強く出れるヨプの実も候補。挑発は主にトリックルーム対策で、エルフーンに猫騙しが飛ぶことが多そうなのでテラキオンに挑発を持たせている(テラキオンに猫騙しが飛んできてもエルフーンの袋叩きをテラキオンに決めていれば、次のターンにテラキオン守る+エルフーンをモロバレルに交代で戦える)。
シャンデラは先発のどちらかが倒れた場合のアタッカーとして採用、エルフーンと並べて日本晴れから攻めるかテラキオンと攻撃的な並びを形成するため、攻撃回数を増やすために拘りスカーフを持たせた。炎のジュエルとトリックルームを持たせれば、トリパ対策のモロバレルを能動的に活かせたり追い風が切れるタイミングでの失速を防げるので、こちらも強力。
最後のモロバレルはトリパを誤魔化すために採用。キノコの胞子で相手を眠らせつつ、こちらのメインアタッカーを怒りの粉で守るのが役割。シャンデラが拘りスカーフで相手シャンデラに苦労するためオッカの実を持たせて、攻撃範囲を広げるためヘドロ爆弾を採用している。因みに、残念ながら再生力は未解禁。
対策筆頭の組み合わせでありながら4匹の構築にまとめるのが難しいためか「これがテンプレ」という構築は存在しなかったように思える。
ポケモン | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 | 持ち物 |
---|---|---|---|---|---|
ボルトロス | 10万ボルト | めざめるパワー飛 | 電磁波 | 守る | ヨロギの実 |
テラキオン | 岩雪崩 | インファイト | 電光石火 | 守る | 気合の襷 |
サザンドラ | 流星群 | 竜の波動 | 悪の波動 | 大文字 | 拘りスカーフ |
ランクルス | サイコショック | シャドーボール | 気合い玉 | 守る | 火炎玉 |
【説明】
柚樹さん考案。このルールにおける最もスタンダードな構築。素早さの高いボルトロスとテラキオンで上から攻撃を仕掛ける展開をベースにしつつ、電磁波や岩雪崩が運要素も味方につけやすい点で有利に試合を運びやすい。後発にはテラキオンと格闘弱点以外の縦の相性が良いサザンドラに加えて、これらのポケモンが苦手な格闘タイプに強いランクルスを採用して、トリパや天候パーティに対しても凌げるような組み合わせになっている。
【解説】
ボルトロスは最速で耐久調整を施した型(サザンドラの流星群に照準を合わせるのが定番)。めざめるパワー氷はランドロスとサザンドラに有効だが、4匹の組み合わせ的にはローブシンやモロバレルにダメージを稼げる飛行タイプが良い。ヨロギの実はテラキオンのストーンエッジ対策。
テラキオンは弱点の多さとインファイトによる能力下降を考えると、気合いの襷が最も安定する。タイマンが強いので後発に置いて死に出しさせたい気持ちもあるが、相性補完からこの4匹を選んだ場合はテラキオンを先発に置かざるをえない。電光石火はミラーを筆頭に気合いの襷を持ったポケモンを処理する技として便利だが、ギミック系統の構築に強くなれる挑発も有力な候補。
サザンドラはテラキオンの弱点である水・草・地面・エスパーに交代で繰り出すことができるので相性が良い。このルールは鋼タイプがナットレイとギギギアルしかおらずドラゴン技の一貫性が非常に高く、単純に威力の高い流星群が強力。耐久値が高いポケモンも少ないので、拘りスカーフを持つことで「ボルトロステラキオンを拘りスカーフで対策するポケモン」に強くなれる。大文字はナットレイとバイバニラを意識している。
ランクルスはここまでで対策が薄いローブシンを意識して採用。特性マジックガードを活かして火炎玉を持たせることで、対策が難しいモロバレルや電磁波ミラーに対して強くすることができる(防塵でキノコの胞子を防げるようになるのはまだ先の話)。気合い玉はズルズキン・サザンドラの対策で当たったときのアドバンテージを考えると下手にめざめるパワーを採用するよりも良さそう。モロバレルに交代で繰り出す動きや威張るが飛んできやすいことを考えると、火炎玉よりラムの実を持たせる方が良いかもしれない。エスパー技がサイコショックなのはウルガモスの蝶の舞を考えてのこと。
ポケモン | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 | 持ち物 |
---|---|---|---|---|---|
ワルビアル | 噛み砕く | 地震 | 挑発 | 守る | ヨプの実 |
ボルトロス | 10万ボルト | めざめるパワー飛 | 電磁波 | 守る | ヨロギの実 |
ブルンゲル | シャドーボール | 冷凍ビーム | トリックルーム | 守る | オボンの実 |
ローブシン | ドレインパンチ | マッハパンチ | 岩雪崩 | 見切り | 食べ残し |
【説明】
rouさん考案。攻撃的な環境のイッシュダブルにおいては珍しい受け回しを基本にしたスタンダード構築。ワルビアルとブルンゲルが草弱点以外の縦相性が良く、威嚇によって耐久を安定させたボルトロスの電磁波を軸にペースを握っていく。電磁波が通りづらい砂パ・雨パに対してはブルンゲルのトリックルームを使ってスイッチトリパの動きを取ることもできる。
【解説】
ワルビアルはこのルールで貴重な威嚇要員(他にはムーランドしかいない)。格闘・虫・水技はブルンゲルで受けることができて、ブルンゲルの弱点である電気・ゴースト・悪はワルビアルが受けることができる。トップメタのテラキオンに弱いため持ち物はヨプの実、モロバレルの対処がかなり厳しいため挑発を持たせている。
ボルトロスは電磁波による素早さ操作がメインの役割、威嚇と合わせて多くのポケモンに電磁波を撒くことを狙う。めざめるパワー飛行はモロバレルやローブシンを見据えての採用、こちらもテラキオンに対して強いわけではないので持ち物はヨロギの実が無難。
ブルンゲルはワルビアルの威嚇を使い回すための交代先であり、トリックルームによる第二の素早さ要員。交代で繰り出すことが多くなるのでしおふきは採用せず安定した削り手段となるシャドーボールと一貫性の高い冷凍ビームを採用している(吹雪もあり)。威嚇や交代先を用意しやすいことから自己再生との相性は良さそうだが、ワルビアルが地震を打つときに守れないと困るので守るを採用。
ワルビアルとブルンゲルではサザンドラが非常に辛いため、最後の1匹にはローブシンを採用。ドラゴン技に耐性はないものの特殊耐久を高めることでジュエル流星群を耐える耐久は確保できて、ドレインパンチの餌にしたりマッハパンチで縛ることで味方を動きやすくすることができる。電磁波を合わせて粘り強く戦うため持ち物は食べ残し。サブウエポンの岩雪崩は格闘を半減する飛行タイプへの打点で、こちらも電磁波との相性は悪くない。
ポケモン | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 | 持ち物 |
---|---|---|---|---|---|
モロバレル | ヘドロ爆弾 | キノコの胞子 | 怒りの粉 | 守る | バコウの実 |
ブルンゲル | しおふき | 冷凍ビーム | トリックルーム | 自己再生 | 水のジュエル |
ズルズキン | 噛み砕く | ドレインパンチ | ビルドアップ | 見切り | ヨプの実 |
ボルトロス | 10万ボルト | めざめるパワー氷 | 電磁波 | 守る | オボンの実 |
【説明】
ライトさん考案。全国ダブルでも猛威を奮ったモロバレル+ブルンゲルのタイプ相性に優れた組み合わせ。怒りの粉+しおふきという攻撃手段が単純ながら強力で、ブルンゲルの攻撃があまり有効でない場面でもトリックルームを使うことでモロバレルがキノコの胞子を振りまく形で脅威を与えていける。後発は積み技持ちズルズキンとボルトロスを採用して、別の展開手段を設けてトリックルームに依存しない戦い方ができるようにしている。
【解説】
モロバレルはブルンゲルを補佐するポケモンとして採用。飛行技が一貫している構築なのでバコウの実を持たせて一撃で倒されることを防ぐ。挑発やアンコールが厄介なエルフーンをブルンゲルのジュエルしおふきと合わせて倒すために攻撃技はヘドロ爆弾。また、モロバレルを最速にしてトリパミラーを対策しているところがポイント。最速でも素早さは90しかないので、素早い相手に有利に戦うためにトリックルームを使っても十分先手で動ける。
ブルンゲルは範囲攻撃で弱点を突かれることが多くないのでこの指止まれとの相性は良い。強い範囲攻撃を打つ動きとトリックルームで切り返す柔軟な動きを可能にする意味で、持ち物の水のジュエルが非常にマッチしている。また、自己再生のおかげで攻守のHP管理がしやすくなっており、モロバレルで相手を眠らせる動きとの噛み合いも良い。冷凍ビームはモロバレルとの並びで苦手なサザンドラへの打点として採用。
後発1匹目のズルズキンはブルンゲルに次ぐ攻撃の軸となるポケモン。モロバレルで相手を眠らせたりブルンゲルの範囲攻撃で負荷を与える隣でビルドアップを積む動きが強力で、ズルズキンの弱い部分である火力を補いながらドレインパンチで粘り強く戦うことができる。頻出のテラキオンやミラーを意識して持ち物はヨプの実。
ボルトロスは強力な飛行打点を持つトルネロスの対策として採用。トリックルームが切れた後の仕留め役や電磁波でのサポートを中心としながらも、悪戯心のおかげでトリックルーム中にも仕事ができる点が強力。オボンの実は単純に場持ちを上げる持ち物。めざめるパワーは氷と飛行の選択で、サザンドラ・ランドロス・ズルズキン辺りが重たいことを考えると選択は難しい。
相手としてはブルンゲルがスカーフのパターンも考慮しなければならずミスリードを誘いやすかったり、耐久の低いポケモンがおらず2種類の素早さ操作・範囲攻撃+積み要員と柔軟に戦うことができる上に、命中100未満の技が一つもないという非常に完成度の高い構築と言える。
ポケモン | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 | 持ち物 |
---|---|---|---|---|---|
アーケオス | 岩雪崩 | アクロバット | 挑発 | 守る | 飛行のジュエル |
テラキオン | 岩雪崩 | ストーンエッジ | インファイト | 地震 | 拘りスカーフ |
モロバレル | ギガドレイン | キノコの胞子 | 怒りの粉 | 守る | ラムの実 |
ランクルス | サイコキネシス | シャドーボール | 気合玉 | トリックルーム | 命の珠 |
【説明】
高速岩ポケモン2匹を初手に並べたビートダウン系の構築。このルールは鋼タイプや威嚇持ちが少ないので岩雪崩の通りは非常に良く、火力の高い岩雪崩を連打することで怯みも狙いやすいので有利に試合を進めやすい。追い風や天候技で切り返される場合の対策に後発はモロバレルとランクルスを置いてトリックルームで切り返すことを狙う。
【解説】
アーケオスはイッシュダブルにおいて強力なポケモンの1匹で特性の弱気のせいで扱いづらさを感じる部分こそあるものの、発動しても高い素早さから岩雪崩を打っているだけで置物になりづらい。また、テラキオンと並べたときに苦手となる格闘タイプをアクロバットで早急に処理できる点も優れている。
テラキオンは拘りスカーフを持たせて採用。テラキオンより素早さが高く汎用性もある拘りスカーフ持ちはほとんどおらず、アーケオスが苦手なボルトロスやサザンドラのような高速以下のスカーフ持ちを上から縛ることができる。弱点こそ多いものの種族値は高いポケモンなので、「A194ランドロスの地震耐え、ヨロギHP振りボルトロスを岩雪崩で2発、最速ランドロス抜き」を両立できる。
モロバレルはテラキオンやアーケオスが苦手な水・電気に耐性があり、トリパを誤魔化すポケモンとしても機能する。先発2匹が水タイプを苦手とするので攻撃技として草技は採用しておきたい。持ち物は悩ましいがモロバレル入りのトリパに対抗できるようラムの実。
ランクルスはトリックルーム要員として採用。アーケオステラキオンの対策手段として素早さ操作での切り返しが最も無難だが、攻撃寄りなルール故にそれに対してターンを凌げる耐久耐性を併せ持つポケモンが少ないため、トリックルームで対策の対策を行う。自己再生を持たせても良さそうだが、トリックルーム下ではモロバレルと並ぶことを考えると攻撃範囲を広げる方が良さそう。
ポケモン | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 | 持ち物 |
---|---|---|---|---|---|
ボルトロス | 10万ボルト | 電磁波 | 威張る | 守る | 電気のジュエル |
ゾロアーク | 投げつける | 不意打ち | 挑発 | 置き土産 | 黒い鉄球 |
ローブシン | ドレインパンチ | マッハパンチ | 岩雪崩 | 見切り | ラムの実 |
シャンデラ | 熱風 | シャドーボール | 小さくなる | 身代わり | 食べ残し |
【説明】
見せ合いなしという性質を活かして特性イリュージョンのゾロアークを採用した構築。シャンデラに化けることで猫騙しや格闘技を誘いづらく、イリュージョンが解けるまでに奇襲を決めやすい。意表を突く能力こそ高いものの、ゾロアークの単体性能が特別高いわけでもなく、イリュージョンが解けた瞬間に後発のポケモン1匹まで明かしてしまうので、構築難易度は高い。
【解説】
ゾロアークはアンニュイさん考案の鉄球投げつける型で採用。特殊悪技はサザンドラが耐久調整の指標になることが多く強化アイテムを持っても攻撃を耐えられることが多いため、最も火力の高い物理技で1匹落とすことを狙う。不意打ちはボルトロスのジュエル10万ボルトと合わせてテラキオンを倒すために採用。投げつけるを使った後は挑発と置き土産で後続の起点を作ることを目指す。
ボルトロスは起点作り要員として採用。めざめるパワー飛行+鉄球投げつけるでモロバレルを倒すことはできるが、構築としてボルトロスへの負担が大きいので守るを採用(そのためゾロアークに挑発を搭載した)。威張るは電磁波と合わせた起点作りにも向いているが、マッハパンチを選んだローブシンに先制して打つことで優先度+1の強力な技を繰り出す動きが可能。
シャンデラは先発での起点作りから積み技を使うポケモンとして採用。BWから上昇率の上がった小さくなるを駆使して全抜きを目指す。攻撃範囲を重視して熱風とシャドーボールの2ウエポンを採用しているが、ノーマルタイプが少ないルールなので熱風を切って守るを採用するのも悪くはない。
ローブシンはシャンデラの苦手なサザンドラ・テラキオンに強いポケモンとして採用。ラムの実を持たせることでボルトロスの威張るを受けて攻撃する展開パターンも可能になっており、ゾロアークでエスパータイプなどに奇襲が成功した場合は、こちらの展開も強力。因みに、鉄の拳は解禁されていないので特性は根性が無難。
今回は、イリュージョンが解けた後の後発バレに対応すべく起点作りの方針を選んだが、耐久がないボルトロスに色々と詰め込んでいるので、やや無理が生じているように感じる。
ポケモン | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 | 持ち物 |
---|---|---|---|---|---|
ランドロス | 地震 | 岩雪崩 | 大爆発 | 蜻蛉帰り | 拘りスカーフ |
ムシャーナ | 威張る | 手助け | 神秘の守り | トリックルーム | メンタルハーブ |
ズルズキン | 噛み砕く | ドレインパンチ | 岩雪崩 | 猫騙し | ラムの実 |
シビルドン | ワイルドボルト | アクロバット | 電磁波 | 守る | 飛行のジュエル |
【説明】
ムシャーナを起動役としたトリパ。他のトリックルーム要員と違って、トリックルーム時にモロバレルに先制して神秘の守りを使うことができるのが魅力。ムシャーナが初手の猫騙しに弱いが、ランドロスと並べて手助け+大爆発の選択肢を取ることもできる。後発には神秘の守りを活かしたアタッカーになれるズルズキンとシビルドンを採用。
【解説】
ムシャーナは構築の要となるトリックルーム要員。モロバレル対策に神秘の守りを採用して、それを能動的に活かせる威張るで味方の火力を強化する動きを取る。威張る+神秘の守りが準備を要するギミックであるため手助けを合わせて採用。これにより、瞬発的に火力を出す手段を持たせつつ、守るを不採用にしたことによる対猫騙しを後述のランドロスで解決する。
ランドロスは守る不採用のムシャーナをサポートするポケモンとして採用。トリックルーム後の展開から高速猫騙しは採用しづらく、この指止まれも猫騙しには機能しないので、特性テレパシーを活かして手助け+大爆発でムシャーナが苦手なポケモンを先に倒すことを狙う。また、拘りスカーフを持たせることで袋叩きテラキオンもある程度対策ができる。蜻蛉帰りは初手でムシャーナをズルズキンに交代して悪技や挑発を受けながらムシャーナを繰り出すことで猫騙し+トリルの形に持ち込むために使う。
ズルズキンはトリックルームのサポート兼アタッカー。猫騙しに加えてメインウエポン2つに範囲攻撃と欲張った技構成になっている。神秘の守りがなくとも即座に威張るを受けられるよう持ち物はラムの実。特性の威嚇がないので物足りなさはあるが、自信過剰なので威張るで強化して相手を倒す動きと相性が良い。
シビルドンはズルズキンで処理しづらいローブシンやモロバレルをジュエルアクロバットで即処理できるポケモンとして採用。トリックルームが切れる場合を見越して電磁波を持たせた。最後の技は飛行技を半減するボルトロスを意識してワイルドボルトを採用したが、威張るを採用してタイマン性能を上げてもいいのかもしれない。
大爆発ランドロスとの択掛けをすることで初手から後手にならずに済むものの、化身フォルムのランドロスの火力が足りてないので綺麗な回答になっていないのが課題(地震でテラキオンが乱数1発だったり手助け+大爆発としてもHP振りモロバレルまでしか倒せない)。
ポケモン | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 | 持ち物 |
---|---|---|---|---|---|
コジョンド | ローキック | アクロバット | 猫騙し | ワイドガード | 飛行のジュエル |
ギガイアス | 岩雪崩 | 大爆発 | 砂嵐 | 守る | さらさら岩 |
ドリュウズ | 地震 | シザークロス | 岩雪崩 | 守る | 気合の襷 |
ランドロス | 地震 | 岩雪崩 | 封印 | 守る | ヤチェの実 |
【説明】
マリンさん考案(たぶん)。砂かきドリュウズ・砂の力ランドロスの2匹を攻撃の軸にしたいわゆる砂パ構築。このルールに特性砂起こしのポケモンは存在しないので、砂嵐を技として使う必要がある。精神力コジョンドと頑丈ギガイアスの行動保障がついた初手で猫騙し+砂嵐から展開。ワイドガード+大爆発で相手を削りながら後発に繋ぎ、ドリュウズ+ランドロスの並びから相手を制圧する。
【解説】
砂嵐の起動役としてギガイアスを採用。今でこそ特性が砂起こしだが、特性の頑丈を盾にさらさら岩を持たせるポケモンとして適正がある。砂嵐を発動した後は大爆発で素早く退場して後続に任せる。また、素早さが遅いことは対トリックルームで重宝して、岩雪崩で怯みを狙いながらトリックルームを凌ぐことになる。
コジョンドは砂嵐起動のサポート要員として採用。ドリュウズが苦手な格闘タイプや地面技の通りにくい草タイプを処理できる飛行のジュエル+アクロバットを搭載。砂嵐を発動できたら後続に早く繋ぎたいので行動保障の気合の襷は特に必要ない。ローキックではテラキオンを一撃で倒せないが気合の襷持ちも多いため、無理に1発で倒すことよりも素早さ操作ができることを重視している。ワイドガードは連続で使用できないものの、相手の範囲攻撃から味方を守りつつ、味方の地震や大爆発に巻き込まずに動くために必要な技。
ドリュウズはこの構築のエースポケモン。弱点を突かれることが多いため気合いの襷を持たせて行動回数を稼ぐことを狙っている。シザークロスは地震を無効化して岩技が等倍のサザンドラを意識して採用している。
ランドロスは飛行タイプなのでドリュウズが地震を打ちやすいだけでなく、特性が砂の力なので自身も砂嵐の恩恵を受けられる(霊獣フォルムも夢特性の力ずくも解禁されていない)。ドリュウズがボルトロスを1発で倒せないため、めざめるパワーで倒されることを防ぐべくヤチェの実を持たせている。また、封印については砂持続ターン中に相手を倒し切るために守るを封じる技でもあるが、相手のランドロスやドリュウズが全く使い物にならなくなるのでミラーマッチで有用な技でもある。
中身を知っていれば対策を練ることはできるが、見せ合いなしの環境で当時多かったボルトロス+テラキオンのような電磁波スタンに対して非常に刺さる構築として画期的な構築であった。
ポケモン | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 | 持ち物 |
---|---|---|---|---|---|
トルネロス | アクロバット | 追い風 | 雨乞い | 守る | 飛行のジュエル |
ブルンゲル | しおふき | ハイドロポンプ | シャドーボール | 冷凍ビーム | 拘りスカーフ |
ガマゲロゲ | ハイドロポンプ | 波乗り | 気合玉 | 守る | 命の珠 |
ナットレイ | パワーウィップ | ジャイロボール | 宿り木の種 | 守る | ヨプの実 |
【説明】
水技を中心に相手の殲滅を狙ういわゆる雨パ。このルールには特性雨降らしのポケモンが存在しないので、雨乞いを技として使う必要がある。特性すいすいのポケモンもガマゲロゲしか存在しないが、ボルトロスの電磁波で素早さを奪われないところは高速アタッカーとしての適性がある。
【解説】
ブルンゲルは雨乞い+しおふきという形で雨の恩恵を瞬発的に活かせるポケモンとして採用。スカーフブルンゲルは最速エルフーンと同速で素早さを不安に思うかもしれないが、このルールでエルフーンより素早さの高いポケモンはアギルダーしか存在しないため十分素早さが高いと言える。トリックがあればトリックルームパーティに対しても対抗しやすいが、当時は教え技がない。
ブルンゲルとの初手で雨乞い+しおふきの選択ができるように悪戯心のトルネロスを雨乞い起動役として採用。攻撃技としては暴風も候補だが、苦手なモロバレルを早急に処理できるようにアクロバットを選んだ。アクロバットの関係で飛行のジュエルを持たせているが、気合の襷や湿った岩を持たせたい気持ちもあるので、特殊型を選択するのも手である。
特性すいすいのガマゲロゲはこの構築のエース。貯水ブルンゲルと並べて波乗りでHPを回復させながらしおふきを打つのが理想の攻撃展開。気合い玉は苦手なサザンドラやナットレイへの対策、命の珠を合わせてサザンドラをほぼ1発で仕留める。冷凍ビームを覚えるなら味方との連携で倒す動きがしやすいが習得できないので仕方がない。
最後のナットレイはトリパの時間稼ぎ用に採用。苦手な炎技から身を守れる点では雨の恩恵を受けるポケモンで、雨乞いや追い風を活かして相手を倒した後にナットレイの優秀な耐性で詰めるという形で勝ち筋を明確にできる。鉄の棘のおかげで、ヨプの実があれば気合の襷テラキオンにもタイマンで勝つことができる。
雨乞い+しおふきではボルトロスを倒せないため、アシッドボム+しおふきが可能なアギルダーも雨乞い起動役として候補に挙がる。しかし、エルフーン構築の追い風に対してこちらも追い風で切り返すことが重要だと思いトルネロスを選択した(先発ボルトロスに対しては、ブルンゲルをガマゲロゲに交代+雨乞いとすればスムーズに雨展開に移れる、追い風で切り返されることもなさそうなのでトルネロスが雨乞いだけして倒されても何とかなりそう)。
ポケモン | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 | 持ち物 |
---|---|---|---|---|---|
ウルガモス | オーバーヒート | 怒りの粉 | 神秘の守り | 守る | 気合の襷 |
オーベム | サイコキネシス | シンプルビーム | トリックルーム | 守る | 黒い鉄球 |
ムシャーナ | アシストパワー | バリアー | 瞑想 | 月の光 | メンタルハーブ |
ママンボウ | 熱湯 | 水浸し | 自己暗示 | 眠る | カゴの実 |
【説明】
ミーサさん考案。オーベムのシンプルビームでムシャーナの特性を単純に変えて積み技を使うギミック構築。BWから小さくなるの回避率上昇が2段階になったものの、このルールで小さくなるを使えるのはシャンデラ系統しかいない。回避率を上げない場合は急所が気になるものの、ムシャーナのメインウエポンがアシストパワーなので素早く火力を引き出すことはできる。
因みに、当時のココロモリは夢特性の単純もスキルスワップもないので、シンプルビームを覚えたタブンネかオーベムを使うしかない。
【解説】
ウルガモスは怒りの粉でトリックルームをサポートするポケモンとして採用。モロバレルと比較すると適度に耐久がないおかげでサポート後の積み展開に繋ぎやすいところが良い点。めったに打つ機会はなさそうだが、挑発を使う悪戯心のポケモンの処理を早めるためにオーバーヒートを採用している。神秘の守りはモロバレルを見据えた上での技。
オーベムはウルガモスのサポートからトリックルーム発動後にムシャーナにシンプルビームを当てるポケモン。タブンネなら癒しの波動も使えるが、挑発を受けても戦える火力があり怒りの粉を使うモロバレルにも強めなオーベムを選択。ムシャーナにトリル下で先制するため黒い鉄球を持たせる。
ムシャーナは構築の軸で、基本的にムシャーナでの全抜きを目指すことになる。メインウエポンが積みランクに依存するアシストパワーである関係で挑発を打たれると何もできなくなるため、メンタルハーブを持たせている。
最後に採用したママンボウには自己暗示を採用しているが、最も重要な役割は「アシストパワーの通らない悪タイプに対して水浸しを使う」ことである。あくまでムシャーナをサポートするためのポケモンであり、残数で不利になる(ムシャーナが集中されたりシングルダメージを受ける)ことを避けるために自己暗示や眠るを採用している。因みに、特性が癒しの心なので運次第であるが状態異常の対策もできる。
トリックルームからムシャーナを展開するのでシュバルゴが採用された構築にはほぼ勝つことはできない。また、積み技要員としてビルドアップ+度忘れのズルズキンを採用する形もある。
・・・・・・・・
【その他紹介できなかったポケモン】
ジャローダ:テラキオンより素早い草タイプ。特性の天邪鬼は未解禁なので火力不足。
ダイケンキ:数値水準の高い水タイプ。耐性が光る場面は少ないが、水技と氷技の通りは良い。
ゼブライカ:避雷針。トルネロスと並べてしっぽを振る+アクロバットが強いらしい。
チラチーノ:ボルトロスに先制して岩のジュエルロックブラストで倒せる(スキルリンクはない)。お先にどうぞも面白い。
アバゴーラ:頑丈を盾に殻を破るを積む。アクアジェットも偉い。ボルトロステラキオン辺りに強い。
バイバニラ:氷の通りがとても良いので強い。苦手なシャンデラに素早さが1負けているところが少し辛い。
オノノクス:ランク+1プレートダブルチョップで無振りテラキオンを1発で倒せる、襷テラキオンに強い貴重なポケモン。
シュバルゴ:虫技がサザンドラランクルスに刺さる。トリックルームへの依存度が高いところが難しい。