WCS2018ルール構築〜ガルーラ+瞑想カプコケコ〜

○ガルーラ いじっぱり きもったま
191-176-101-×-113-136 H.84 A.116 B.4 D.100 S.204
(191-176-121-×-133-146)
おんがえし、れいとうパンチ、ふいうち、ねこだまし@ガルーラナイト


○カプ・コケコ おくびょう エレキメイカ
159-×-107-132-96-200 H.108 B.12 C.132 D.4 S.252
10まんボルトマジカルシャイン、めいそう、まもる@デンキZ


カプ・レヒレ ずぶとい ミストメイカ
176-×-166-128-152-109 H.244 B.124 C.100 D.12 S.28
だくりゅう、ムーンフォース、めいそう、まもる@ウイのみ


○FCランドロス ひかえめ いかく
165-149-111-171-101-143 H.4 B.4 C.244 D.4 S.252
だいちのちから、めざめるパワー(氷)、ストーンエッジ、とんぼがえり@こだわりスカーフ


ガオガエン いじっぱり いかく
201-148-116-×-138-80 H.244 B.44 D.220
フレアドライブ、はたきおとす、とんぼがえり、ねこだましとつげきチョッキ


カミツルギ しんちょう ビーストブースト
157-202-152-×-91-138 H.180 A.4 B.4 D.252 S.68
リーフブレードせいなるつるぎつるぎのまい、みきり@マゴのみ


6/30の第36回がにゅーオフで予選4-4の予選落ち。
シーズン10のWCSレートでレート1862の最終8位。
7/29の第13回ぽちゃオフで予選4-1のベスト24。
この構築の詳細を教えたSORIAさんがアレンジした構築で第13回ぽちゃオフで予選5-0から準優勝。


SORIAさんの記事:【ぽちゃオフ準優勝構築】コケコツルギ軸ダブル猫コントロール



【構築概要】
いわゆるガルーラスタン。ガルーラは7世代で親子愛の弱体化を受けて攻撃性能が落ちましたが、それでも広く満遍なく相手を削る能力は備わっています。また、展開作りや切り返しに便利な猫騙しを習得できるポケモンの中ではやはりスペックは高い方です。
その猫騙し要員としての役割は特性威嚇に加えて耐性が優秀なガオガエンにお株を奪われつつありますが、この構築ではガルーラとガオガエンを両方採用して猫騙しサイクルを回しつつ、その隙に積み技を使ってアドバンテージを稼いでいく戦術を基軸にしています。


【構築詳細】
6月の全国大会でガルーラ構築を本命として考えていたものの、良い形にまとめることができずに断念したため、ある程度納得できる形になるまでは継続してガルーラを使おうと考えていました。
「ガルーラ、カプ・レヒレランドロス、炎枠」に加えてサンダー・カミツルギクレセリアを組み合わせる形を試していて、対雨・対ジャラランガを考えるとカミツルギクレセリアをはずせず、追い風サンダーを採用できないために全体的に後手に回りやすいことが気になっていました。しかし、全国大会でカプ・コケコを採用したガルーラ構築を見かけました。それまでカプ・コケコはあまり使いたくないと敬遠していたため候補にすら挙げていなかったのですが、私の考えていた課題を解決することができると考えました。


まずは単純にカプ・コケコの性能です。高い素早さとフィールドを活かした火力で高圧的な並びを形成しやすく、猫騙しを使えるガルーラと並べる組み合わせも悪くないです。これまで一手目はサンダーの追い風やカプ・レヒレの瞑想など展開を行うところから始めなくてはなりませんでしたが、初手からZ技を使う圧力を相手に与えていくことができるので、序盤から後手後手になることを減らすことができます。
また、メガリザードンYに強い点も嬉しいポイントです。これまでメガリザードンを上から縛れるポケモンがいなかったので貰い火ヒードランで炎技を牽制して対抗していましたが、カプ・コケコで上から縛ることが可能になったため、炎技を半減で受けられるガオガエンでもサイクルを回せるようになりました。ガオガエンを採用すると猫騙し要員が2匹となり、後手に回った場合の切り返しも行いやすくなるので、切り返し手段としての追い風を採用せずとも戦えるようになります。
加えてジャラランガに打点があるところも良い点です。ゲンガーやカプ・ブルルに弱いところはカプ・レヒレと共通ではあるものの、ジャラランガへの打点をカプ・レヒレに一任する形を避けられるだけでも嬉しいです。
このような理由で、カプ・コケコを採用すればサンダーとクレセリアに持たせたかった役割を纏めることができると考えました。なので、6匹目には元々採用したかったカミツルギを素直に採用して、サンダー+クレセリア併用時に気になっていたモロバレル+αの並びや雨に強くすることを意識しました。


猫騙し要員を2匹採用して積み技を使いやすい形になったことからカプ・コケコは瞑想型で採用。このポケモンはデンキZをちらつかせることで高圧的に見せることはできますが、Z技を打たないと序盤から圧力を掛けられないことが多く、守るや交代の読み合いが起きやすいので扱いが難しいです。しかし、瞑想を使えば、Z技を打たないシーンでも強い圧力を掛けられるような運用が自然とできます。
因みに、カミツルギも追い風を習得することができますが、猫騙し+追い風の並びは威嚇で攻撃性能を簡単に削がれてしまうため優位には立てず。対雨パーティでもカプ・レヒレが相手のすいすいポケモンを抜く素早さを持っておらず、カミツルギが動ける場面なら相手を削った方が有効に働く場面が多いため、カミツルギを「後手に回ることを避けるための追い風要員」として考えることができませんでした。


【個別解説】

★ガルーラ
<持ち物:ガルーラナイト>
メガシンカのため必須。
<技構成:恩返し、冷凍パンチ、不意打ち、猫騙し>
メインウエポンのノーマル技である恩返しと猫騙しは必須。カプコケコ採用で構築全体としてランドロスの処理が厳しくなったので冷凍パンチ。最後の技は便利な先制技として不意打ちを採用しました。威嚇込みの冷凍パンチではランドロスを6割程度でしか倒せないため、その押し込みの意味でも必要です。
ノーマル技を恩返しにした理由ですが、ガルーラの役割は「猫騙しサポートを何度も回すこと」「手広く大まかに削りを入れること」だと思っていて、反動ダメージで反撃の攻撃圏内に入りやすくなる捨て身タックルは前者の意味で相性が悪く、後者の役割は恩返しでもある程度果たせると考えています。勿論、捨て身タックルでないと一撃で倒せない相手もいますが、威嚇が入ることも多く倒しきれないことがほとんどです。また、そもそも先制して一撃で倒したいポケモンの筆頭であるカプテテフに先制できる素早さ設定にしていません。加えて素早い相手に対しては恩返し+不意打ちという形で足りないダメージを補うことができることもあって、捨て身タックルのメリットを活かせないと考えました。
守るはできれば欲しいのですが、カプコケコと繰り出す以上冷凍パンチの重要度は高く、ノーマル・氷で範囲の狭いガルーラに守るを持たせるよりは範囲を広げた方が使いやすいと感じました。因みに、カプコケコではなくクレセリアを採用していたときはカミツルギバンギラスを意識してドレインパンチを持たせていました。
<実数値:191-176-121-×-133-146 H.84 A.116 B.4 D.100 S.204>
C147カプコケコのフィールドZ10万ボルト耐え(15/16)。A216ランドロスの馬鹿力耐え(15/16)。A197メガメタグロスアームハンマー耐え。ガオガエンの蜻蛉帰り+不意打ちでH155-B90ルンパッパを高乱数1発(min153ダメージ)。素早さは性格補正のないランドロス抜き+2。
カプテテフやランドロスに確実に先制できる素早さ振りも魅力ですが、先手を許すポケモンにあっさり倒されてしまうようでは使いづらいと感じたので程よく耐久振り。素早さは144からどれだけミラーを意識するかですが、メタグロスの「175-198-171-×-145-145」という配分を見据えて146に設定しました。


★カプ・コケコ
<持ち物:デンキZ>
瞬間火力の出せるデンキZ。カプコケコのデンキZは耐久調整の指標にされやすいですが、瞑想を合わせることでその調整を崩すことができます。
<技構成:10万ボルト、マジカルシャイン、瞑想、守る>
2枚猫騙しと相性が良く高圧的な展開を作りやすくする瞑想、メインウエポンの10万ボルト、サブウエポンのマジカルシャイン、大事に扱うための守る。
サブウエポンはそこそこ自由度が高いですが、ジャラランガへの打点をカプレヒレに依存しないために採用している節もあるので、素直にフェアリー技を搭載しました。瞑想を積めば強い範囲攻撃になるので使い勝手は悪くないです。めざめるパワー氷があると拘りスカーフでないランドロスを自ら処理できるようになるので、こちらも有力です。
<実数値:159-×-107-132-96-200 H.108 B.12 C.132 D.4 S.252>
素早さ最速。Z10万ボルトでH175-D151カプレヒレ1発。A197メガメタグロスの地団駄耐え(14/16)。Dランク+1でC192メガゲンガーのヘドロ爆弾耐え(15/16)。
瞑想を積んでも反撃を耐えなければ意味がないので、最低限の火力を確保した後に耐久振り。A198メガメタグロスは威嚇を入れれば地団駄+バレットパンチを耐えることができます。Z10万ボルトは耐久調整の指標になりやすいため何かで少し削って射程圏内に入れる動きを取ることが多く、火力を削った弊害はそれほど感じませんでした。
当初は素早さを少し落とすことも考えていたのですが、メガゲンガーに対して「相手がCSベースならランドロスで縛れる」「大地の力を耐える配分は素早さを落としているのでカプコケコで先制できる」という状況を作るために最速にしました。また、ガルーラと並べだときにダウンロードで攻撃が上がることを意識しています。


カプ・レヒレ
<持ち物:ウイの実>
耐久重視の配分にしたため場持ち性能を上げるために回復量の多いウイの実。
木の実がギリギリ発動しないHPのときに、ガルーラの不意打ちで能動的に発動させることもできます。
<技構成:濁流、ムーンフォース、瞑想、守る>
ジャランガへの打点になるムーンフォース。2枚猫騙しと相性が良く火力不足を補うことができる瞑想、大事に扱うための守る。最後の技は便利な範囲攻撃として濁流を選択しました。
濁流を選択した理由は、モロバレル+αの並びに圧力を掛けられるようにしたいことが大きいですが、カミツルギを採用したためかモロバレル自体はあまり選出されませんでした。特攻が高くないせいでランク+1の75%濁流で無振りランドロスを倒すことができない弊害があるため、水技は熱湯を採用しても良かったかもしれません。
<実数値:176-×-166-128-152-109 H.244 B.124 C.100 D.12 S.28>
A182カプ・ブルルウッドハンマー耐え(15/16)。C222メガゲンガーのヘドロ爆弾耐え(15/16)。ムーンフォースでDランク+1のH151-D126ジャラランガ1発(14/16)。残り素早さ。
ジャラランガ系統を強く意識した配分。2枚猫騙しで瞑想を積む機会を作りやすいと判断して火力を大きく落としても問題ないと判断しました。物理耐久に厚くしたことでメガメタグロスアイアンヘッドを2発耐えることができます。


★FCランドロス
<持ち物:拘りスカーフ>
構築で重たいメガゲンガーに上から圧力を掛けるための拘りスカーフ。
ただ、拘りスカーフ自体はあまり強いと考えておらず、Bo3形式のぽちゃオフでは型を判別されると扱いづらいと考えたためヤチェの実を持たせて採用しました。
<技構成:大地の力、めざめるパワー氷、ストーンエッジ、蜻蛉帰り>
メガゲンガーを縛るための大地の力、相手の交代を見てから交代できる蜻蛉帰り、構築で重めなランドロスに対するめざめるパワー氷。最後の技は対ウルガモスを見てストーンエッジを採用しました。
味方に浮いているポケモンがおらず物理技メインの構成は使いづらいため特殊型にしました。ヘドロ爆弾はカプ・ブルルを倒せる技として欲しいですが、メガゲンガーとの組み合わせを考えると交代されたときにランドロスが置物になってしまうため打てる場面が多くないと思い、他の技を優先しました。ガルーラに格闘技がなくてバンギラスの処理が厄介なため、馬鹿力も欲しい技でしたが必要な火力を確保できないため不採用でした。
ヤチェの実を持たせて使った場合は「蜻蛉帰りが守る」「リザードンに先制できないのでストーンエッジを不採用」「代わりに打ち分けできるなら強いヘドロ爆弾」で採用しました。
<実数値:171-149-111-171-101-143 H.4 B.4 C.244 D.4 S.252>
めざめるパワーでH165D100ランドロス1発(11/16)。C182カプ・テテフのフィールドサイコキネシス耐え。
スカーフを持ったカプ・ブルルより先に動いてゲンガーにダメージを入れられるように素早さ振り。特殊ランドロスは弱点を突いて火力を出すポケモンなので、弱点を突けない相手に対して置物になりにくいよう火力に多く振りました。


ガオガエン
<持ち物:突撃チョッキ>
交代から繰り出すことが多いので耐久を底上げする突撃チョッキ。
半分回復木の実を持つことも多いポケモンですが、その場合は少し削れてZ技圏内に入ってしまうことも多いです。守るを持たせることで少し解決できますが、この構築では蜻蛉帰りが重要だと考えていたので守るを採用できず、Z技を直撃しても攻撃を耐えられるように素の耐久を向上させる突撃チョッキに軍配が上がりました。
<技構成:フレアドライブ、叩き落とす、蜻蛉帰り、猫騙し>
採用理由の一つでもある猫騙し、蜻蛉帰りは耐性のないガルーラを場に繰り出しやすくして猫騙しでテンポを整える動きを目指すために必要です。残る技はメインウエポンのフレアドライブ、カプコケコにとって厄介な拘りスカーフをドロップさせられる叩き落とすを採用しました。
突撃チョッキで採用しているので補助技は入らず。猫騙しと威嚇によるサポートが主な役割なので、格闘技などで攻撃範囲を広げることはしませんでした。
<実数値:201-148-116-×-138-80 H.244 B.44 D.220>
A222メガラグラージの雨滝登り耐え(14/16)。C172ランドロスの大地の力2発耐え(255/256)。雨フレアドライブでH135-B152カミツルギ1発(12/16)。
交代で繰り出す動きを考えて全て耐久振り。構築に素早さ操作技がないことから素早さには努力値を振らず、トリル下で攻撃を受けてから蜻蛉帰りをする場面も考えて意図的に下げることもしませんでした。最遅クレセリア-1なのでトリックルーム時に少し役立つ可能性があります。


カミツルギ
<持ち物:マゴの実>
ルンパッパのZ技を受けた後もラグラージに役割を持てるようにするため半分回復木の実。
耐久振りも相まって蓄積でカミツルギを倒そうとする動きにとても強くなります。
<技構成:リーフブレード、聖なる剣、剣の舞、見切り>
ラグラージを倒すためのリーフブレード、雨ナットレイカミツルギへの打点となる聖なる剣、大事に扱うための見切り。
最後の技は2枚猫騙しとの相性が良く、有利対面からの切り返しをさせづらくするために剣の舞を採用。有利対面でも相手が無理やり動いてきた場合に致命傷を受けることも多いポケモンですが、ほとんどの努力値を耐久に割いていることから致命傷になりづらく、低リスクで積み技を使いながら相手の交代にも対応できるのが強いです。
追い風が欲しいと思う場面はそれほど多くなかったのですが、スカーフアーゴヨンを含む雨パや砂パに対してはあると便利だと感じました。カミツルギが通りづらい試合でも瞑想カプレヒレで詰めを狙える展開はそれなりにあった気がします。
<実数値:157-202-152-×-91-138 H.180 A.4 B.4 D.252 S.68>
C156ルンパッパの雨Zハイドロポンプ耐え(15/16)。性格補正のないカプレヒレ抜き。ランク+1聖なる剣のB111ガオガエンへのダメージを見て残り攻撃。
性格を意地っ張りにするとH202B111ガオガエンをランク+1聖なる剣で倒すことができますが、対雨が最も大きい役割だったので、Z技を耐えることを優先しました(意地っ張りでも「C156手助け雨ハイドロポンプ耐え」「C156雨Zハイドロポンプを守るで受けた後に+C156雨ハイドロポンプを耐える」は実現できる)。


【構築総評】
中速のポケモンが多い中で素早さ操作技もないという不安がありましたが、猫騙し2枚を上手く回すことで良い感じに戦えました。
特に、瞑想カプコケコが強力で、デンキZが「高い制圧力を持つものの守るで防がれたり交代で受けられたりすることが多い」点で相手の選択との噛み合いになる使いづらさがありますが、Z技を残しながら瞑想することで次のターンにより強固な場面を作ることができます。また、リザードンやカプレヒレが稀に強気に動いてくる場合も特殊耐久を上げているため攻撃を耐えることができるためリスクを抑えることもできています。ガルーラ+瞑想カプコケコの組み合わせは以前からいましたが、威嚇ガオガエンを組み合わせることで瞑想を積んだカプコケコを存分に活かせるのが強いと感じました。
逆に猫騙しや瞑想カプコケコを通しづらい相手は厳しいです。メガゲンガーメガエルレイドなど取り巻きにカプブルルがいることも多く、カプレヒレカミツルギも通しづらいです。また、全体的に草タイプの処理が面倒なので、先述のカプブルルをはじめカミツルギラランテス辺りも厳しい相手でした。