「20代にしておきたい17のこと」を読んだ感想。

「20代にしておきたい17のこと」を読んだので感想。

 

出版は2010年で著者の経歴はちゃんと調べていないものの、同様の自己啓発本をいくつか書いていてそこそこ有名な方のようです。

読んだきっかけですが、「30代に入る前にやっておきたいこと」を聞かれたときに「そういう類の本あるけど読んだことないな」と思ったことです。この手の本を読んでも特に参考にはならないだろうと思っていましたが、読んだこともないのにそう決めつけるのは良くないです。

ということで、本屋の検索機に「20だい」と入れて出てきたものが今回ピックアップされました。

 

 

 

○所感

やっぱり面白くもないし参考にもなりませんでした!(

冒頭が「この本を手に取ってくださり、ありがとうございます。あなたとこういうかたちで出会えて、とてもうれしく思います。」から始まるのですが、ここで馬鹿らしさを感じながら笑ってしまいました。

総括して印象的なのは話に具体性が全くないことです。例えば、最初のテーマは「失敗したことのない成功者はいない、ので失敗を恐れず挑戦してみよう」という内容なのですが、そもそも何を持って成功とするのか定義されていません。また、物事に挑戦することの重要性は言うまでもないと思いますが、そのための取り組みについても特に記載はありません。話の中で例を挙げることもあるのですが、どこかズレていることが多いとも感じました。

そういう書き方も踏まえて、この手の本は漠然とした不安を持つ読者が読んでなんとなく分かったつもりになるためのものじゃないかと思いました。世の中にはそういうひともいるので需要はあるのかもしれませんが、彼らはその本を読むことで具体的な道筋を立てるプロセスを学ぶわけではないので、結局時間が経てばまた漠然とした不安が訪れるだけです(ビジネス的にはリピーターでいてくれて嬉しい話)。

 

○おもしろポイント

・全部書く気力はなかったのでいくつかピックアップ

・「歳を重ねると物事に対する感度が鈍感になります」「友人が娘の部屋の壁をピンクに染めたところ、思ってたいピンクと違うと泣いて嫌がってました」(要約)…って、色々おかしいだろそれは。

・「一流の物に触れておくこと」の重要性を説いているけど、良いものの定義が分からない。絵画とか書いてあるけど大抵の人は良いか悪いかを世間的評価でしか判断できない。

・「住環境もとても大事です。風水なども参考にして…」大事だけど、そういう意味じゃないでしょ。。

・「10代の頃、坂本龍馬に憧れて剣道を始めました。でも、21世紀は、もう剣道じゃないだろうと思い、…」剣道に失礼過ぎる。

・高齢者に聞いた若いうちにやりたかったことの回答の多くが「死ぬほどの恋をする」…らしいが「死ぬほどの恋」の定義をください、やったことないんだったらますます曖昧でしょうに。

・「『親友』の定義は、いま持っているものをすべて投げ出してもいいから、その人のところに駆けつける、その人を助ける、というようなことができるかどうか」はい曖昧

・「たとえばら1万円だったら貸せる、でも、それ以上はちょっとできない…というのが普通の友だちの関係です」これは爆笑ポイント

・「でも、電気もない村で暮らしていると、『仕事で結果を出せなくても死ぬわけじゃないし、困ったら、ここに戻ってきて仲間に入れてもらおう』」社会的には文明の有無で優劣があるのは事実ですが、そこに属する人間まで格下に見ている気持ちが伝わってくる

・本文からの引用をいくつか書き出してみて気付いたけど、微妙な読点の数が多い。。

 

 

○私が考えた「20代のうちにしておいた方がいいこと」

これを書かないと「ただ首を傾げてるだけで、じゃあお前はどうすればいいと思うんだよ」と言われそうなので。

そもそも、物事を始める上で早いに越したことはなくても遅いからダメということは基本的にはありません。また、20代という表現もキリの良い区切りなだけで、30歳になった瞬間に何かが劇的に変わるわけではないので、どうしても20代というものはないでしょう。そのときにやりたいことをやって生きるのが良いと私は考えています。

それを踏まえて20代にしておいた方がいいことを考えた結果「10代のときにはなかなかできないこと」「今後どういう生き方をするにしても必要になりそうなこと」に至りました。本に書いてあった内容もそういうことなのかもしれませんが、読者がその前提を共有できているとは限らないため、具体的に書き下すのが望ましいと思います。

10代と20代で最も異なるのは「身体の潜在能力の成長が止まること」だと思います。平均寿命から考えると、それまで生きてきた時間より長い未来が待っているはずなのですが、歳を重ねると体が疲れやすくなったり物覚えが悪くなったり…かなしいことに老いは誰にも訪れます。

そんな中でどうやって自分の能力を上げていくかというと「経験をしてそこから学ぶ」しかありません。経験を財産として貯蓄して必要なときにすぐ出せるような引き出しを作っておくことで、課題と対面したときに速やかに対処することができます。ということで、私の考える20代のうちにやっておきたいことは「経験から学ぶ意識を作る」「様々な経験をする」になります。

具体的に、経験をするためには行動を起こす必要があります(行動を起こさないのも経験の一つだが、そこから学べる範囲には限界がある)。そして、行動を起こすためには「お金、時間、人脈」のおおよそ3つの要素が必要だと考えます。そのためまずはお金を稼ぐのが手でしょうか。お金を稼いで行動を起こすことを繰り返して色々な経験をして、時にはうまくいかないこともありますが学びを得るために必要な経費だったとして次に活かしていけばいいと思います。そうやっているうちに、何が自分の幸せを作るのか、そのために何が必要かが分かっていくような気がしています(経験則)。

・・・色々書きましたが、やりたいことをやって生きるのが一番いいと思います。ただ、その中でそういう意識があると良いのかなと思うことを書きました。

 

 

◯まとめ

話に具体性がないなと思いつつ、自分でも実際に考えてみると「明日から使える取り組み」レベルにまで落とし込むのは難しいと思いました。ただ「どんな経験でもそこから学べないなんてことにはさせない」くらいの意識を持って試行錯誤することは大事だと思います。

そういう意味では本人の考え方次第なので、漠然と不安を抱えている方は、別の本を読んで新しい考え方を身に付ける方が建設的じゃないかと思いました。