ランクマッチ・シリーズ10使用構築~トルネオーガ+眼鏡レジエレキ~

〇レジエレキ ひかえめ トランジスタ
157-×-78-166-79-236 H.12 B.60 C.244 D.68 S.124
かみなり、ボルトチェンジ、エレキネット、エレキボール@こだわりメガネ


〇ウーラオス ようき ふかしのこぶし
175-182-120-×-81-163 A.252 D.4 S.252
あんこくきょうだ、インファイト、ふいうち、みきり@きあいのタスキ


カイオーガ ひかえめ あめふらし
175-×-113-220-160-142 B.20 C.236 S.252
しおふき、ねっとう、れいとうビーム、まもる@しんぴのしずく

 

トルネロス おくびょう いたずらごころ
159-×-92-165-107-179 H.36 B.12 C.156 D.52 S.252
ぼうふう、こごえるかぜ、おいかぜ、まもる@ソクノのみ

 

ガオガエン わんぱく いかく
201-136-132-×-121-93 H.244 A.4 B.76 D.84 S.100
フレアドライブ、とんぼがえり、ねこだましすてゼリフ@オボンのみ

 

アマージョ いじっぱり じょおうのいげん
149-187-119-×-119-124 H.12 A.236 B.4 D.4 S.252
グラススライダー、トリプルアクセル、とんぼがえり、まもる@たつじんのおび

 

 

【構築概要】
伝説枠にカイオーガを採用した追い風構築。
悪戯心で追い風を使えるトルネロス、女王の威厳で先制技を封じられるアマージョのサポートを合わせてカイオーガのしおふきを通す戦い方をメインに据えます。この2匹の攻撃相性も良いとはいえカイオーガに火力を依存するのは心許ないので、もう1枚のエース級アタッカーとして拘り眼鏡レジエレキを採用しています。

 

【構築経緯】
「いまどき『カイオーガをお膳立てして通す』構築が強いのか」という疑問からスタート。
カイオーガは高い特攻と特性を活かした水技による攻撃が強力です。その中でも最も強力なしおふきは威力がHPに依存するので、カイオーガが相手より先に動ける状況を作りたいです。ところが、現環境ではレジエレキ・ゴリランダーの存在からそれを容易に行うのは難しく、特にこの2匹は使用率も最上位なので、ほぼ全ての試合でサポート枠の選出が必須になります。
上手くカイオーガを通すことができたとしても周りをそのサポートに寄せているので、選出トータルでのパワーに安定感があるとは言えません。そのため、カイオーガと同時に選出して活躍できる準エース格のポケモンは必要だと考えました。

 

ひとまず従来のカイオーガを通す戦術を基本に考えるとして、トルネロスアマージョを採用しました。
トルネロスは悪戯心で追い風を使えるので起動の安定感が高く、アマージョは女王の威厳でカイオーガをグラススライダーから守ることができます。この2匹はカイオーガの水技が通りづらい草タイプや水タイプに打点を持てることもあって、サポートの側面だけでなく攻撃範囲の相性も良いです。

 

カイオーガと同時に選出する準エース格のポケモンですが、拘り眼鏡レジエレキを採用することにしました。
ここまで採用している3匹は素早さが中速気味で耐性も揃っているわけではない部分が弱みですが、レジエレキが先制して相手を一撃で倒したりエレキネットで素早さ操作をすることで味方の行動保障を作る動きに繋がります。雨パーティに電気タイプを採用すると威力の高い雷を積極的に採用できるのが強みで、拘り眼鏡を持たせれば無振りザシアンや黒馬バドレックスを一撃で倒すこともできます。
レジエレキを拘り眼鏡で採用したときに気になるポイントは「守るを使えず先制技で縛られやすい」「地面タイプのポケモンに隙を見せやすい」の2点です。前者はアマージョ、後者はカイオーガの存在による選出抑制、という形で既に採用しているポケモンでカバーできているので、拘り眼鏡レジエレキを強く使える点もこの組み合わせの魅力の一つだと思いました。

 

こうして基本選出ができました。
残り2匹で「対トリックルーム」「対グラードン」「対ゼルネアス」「対ドラゴン伝説」の要素が欲しく、トリックルームグラードンを凌ぐ手段としてガオガエンを採用。残る要素を満たすためにハッサムメタグロス・エースバーン辺りを候補に挙げていましたが、どれもしっくりきませんでした。
そんなときにマッスルさんが既存5匹+ウーラオスの形でランクマッチで優秀な戦績を収めていることを知りました。ウーラオスを採用してゼルネアスをどう対処するかが分からなかったのですが、一旦真似して使ってみることにしました。

更に8月末にはkazukiさんも同じ6匹でレート2000を達成していました。

【S21ダブル】最終18位/2003【カイオーガ】 - みかずきのまい (hatenablog.jp)

自分が使用感をイマイチに感じていた部分を解決できる要素がいくつかあったので、理由を自分なりに咀嚼した上で積極的に参考にして、今の形になりました。

 

【個別解説】

★レジエレキ
<持ち物:拘り眼鏡>
レジエレキの火力を最も引き出せる拘り眼鏡。
電気技で拘ることや守るを使えない弱点はアマージョカイオーガでカバーできているので、相性は良いです。

<技構成:雷、ボルトチェンジ、エレキネット、エレキボール>
ザシアンや黒馬バドレックスを一撃で倒せる雷、範囲攻撃で中速の味方の素早さサポートにもなるエレキネット、レジエレキを温存しながら拘り眼鏡で大きな削りに期待できるボルトチェンジ。最後の技は追い風と相性が良いエレキボールを採用しました。
最初は安定感のある10万ボルトを採用していたのですが、火力が中途半端なので不採用。耐久が心許なく相手を倒しきれないと返り討ちに遭うので、高威力を出しやすいエレキボール雷か味方を動かせるエレキネットで拘りたいです。
エレキボールは追い風下で素早さ157以下のポケモンには威力120以上で入るので、安定して高威力を出せます。

<実数値:157-×-78-166-79-236 H.12 B.60 C.244 D.68 S.124>
A244ザシアンのランク+1巨獣斬耐え。C152レジエレキの拘り眼鏡雷耐え(15/16)。素早さはランク+1カイオーガ抜き。残り特攻。
雷で無振りザシアンを一撃にできるため、可能な限り特攻を伸ばしました。

 

★ウーラオス
<持ち物:気合の襷>
耐久に不安が残るので確実な行動保障を作るために気合の襷。

<技構成:暗黒強打、インファイト、不意打ち、見切り>
確定急所で一貫性の高い暗黒強打、悪タイプへの打点となるインファイト、先制技の風致、大事に扱うための見切り。
一撃ウーラオスの基本的な技構成ですが、格闘打点は対ナットレイ、不意打ちは終盤の対レジエレキなどで重宝します。

<実数値:175-182-120-×-81-163 A.252 D.4 S.252>
素早さ最速のAS振り切り。
キュレムルナアーラなどの伝説を相手にしてほしいので、素早さは最速にしました。

 

トルネロス
<持ち物:ソクノの実>
レジエレキの電気技で即死するのを避けるためにソクノの実。
エレキネットやボルトチェンジを受けた後にゴリランダーのグラススライダー圏内に入るのを避けたいので、余っていても気合の襷にはしなかったと思います。

<技構成:暴風、凍える風、追い風、守る>
採用理由である追い風、カイオーガの苦手な草タイプを強襲できるタイプ一致の暴風、追い風を使うタイミングを上手く図るための守る。最後はトルネロス+カイオーガの並びでレジエレキの気合の襷と拘りスカーフの両方をケアできる凍える風を採用しました。トルネロスが倒される間際に追い風を使うことで、他のポケモンが存分にそのターンを活かせるのが強いので、追い風を遅らせたい場面での素早さ操作技としても優秀です(ついでにレジエレキのエレキボールの威力底上げとの相性も良いです)。

エアスラッシュは命中に安定感はあるものの、威力が低くカイオーガと並んだ際に草タイプを処理しきれないため不採用。雨乞い・挑発など他にも便利な技はありますが、カイオーガが拘りスカーフでない限りはこの4つが一番優先度が高いと思いました。次点があるなら身代わりが欲しかったです。

<実数値:159-×-92-165-107-179 H.36 B.12 C.156 D.52 S.252>
素早さ最速。A200ウーラオスの水流連打耐え(約90%)、A222グラードンの命の珠75%岩雪崩耐え(15/16)。C152レジエレキの雷をソクノ込み耐え。C217黒馬バドレックスの命の珠75%アストラルビット耐え(15/16)。暴風でH179-D119アマージョ1発(14/16)。
耐久に少し不安は残りますが、有利な盤面で相手を倒しきれない方が問題なので火力を重視した配分にしました。

 

カイオーガ
<持ち物:神秘の雫>
持ち物のない雨75%しおふきでは無振りザシアンすら確定で倒せないので、火力を補うために神秘の雫。

<技構成:しおふき、熱湯、冷凍ビーム、守る>
メインウエポンのしおふき、草タイプに対する打点となる冷凍ビーム、立ち回りに柔軟性を持たせるための守る。最後の技はワイドガードにも防がれず命中が安定している熱湯を採用しました。
雷は水タイプへの打点になりますが、レジエレキやアマージョで削れるようにしているので不採用。根源の波動はHPに関わらず安定した火力を出せるものの命中不安が大きく、基本的にはしおふきを通せる場面を作り終盤は熱湯で詰めていけるので不採用にしました。

<実数値:175-×-113-220-160-142 B.20 C.236 S.252>
素早さ振り切り。A222ザシアンのランク+1じゃれつく耐え(15/16)。残り特攻。
素早さに性格補正を掛けないとエレキネットで最速ザシアンを抜くことはできませんが、特攻に性格補正を掛けないとHP振りザシアンには雨しおふきを確定で耐えられてしまうので、性格は控えめ。追い風下でレジエレキに先制したいので素早さは振り切りました。
当初はゴリランダーのグラススライダーや控えめレジエレキの10万ボルトを耐えるように耐久に振っていましたが、それらを被弾する状況になっている時点で苦しいので、被弾しないよう対面を上手く作ることを意識して火力重視の配分にしました。
特に冷凍ビームの火力が高いことが重要で、隣の攻撃と合わせて草タイプを倒せる場面が多くなり、返しで致命傷を受ける機会を少なくできます。

 

ガオガエン
<持ち物:オボンの実>
交代で出せる場面を増やすために回復手段となるオボンの実。
トリックルーム+モロバレルの構築に強く出るために防塵ゴーグルと迷いましたが、あまり見ない伝説ポケモンを相手にする際にガオガエンを絡めて誤魔化すことになるので、その際の繰り出し能力を重視しました。

<技構成:フレアドライブ、蜻蛉帰り、猫騙し、捨て台詞>
サイクルを回す上で便利な蜻蛉帰りと捨て台詞、終盤の詰め等で便利な猫騙し、最後はメインウエポンとしてカイオーガが苦手な草タイプへの打点になるフレアドライブを採用しました。
後続への繋ぎ方として、パルキアイベルタルは弱らせるのが嬉しく、気合の襷を盾に打ち合ってくる相手やミミッキュに対してはダメージを与えたいので、蜻蛉帰りと捨て台詞を両方採用しました。

<実数値:201-136-132-×-121-93 H.244 A.4 B.76 D.84 S.100>
A222グラードンの75%断崖の剣耐え。A222ザシアンのじゃれつく2発耐え(250/256)。最遅パルキア-1。残り特防。
ザシアン・白馬バドレックス・グラードンに繰り出すので物理耐久を重視した配分。ガオガエン猫騙しミラーに勝てることは重要だと思ったので素早さも少し速めに設定しました。

 

アマージョ
<持ち物:達人の帯>
雨しおふき+蜻蛉返りでゴリランダーを倒せるようにしたく、火力を補うために達人の帯。
最初は耐久を安定させるための突撃チョッキでしたが、相手を倒しきれずに返しの攻撃を受けるよりも相手を倒しきってしまう方が結果的に耐久が安定するので、火力を求めることにしました。命の珠は耐久を削ってしまうのがイマイチで、拘り鉢巻きは火力を最低限にしても十分な耐久を得られず守るも使えないのがイマイチでした。
相手にゴリランダーがいる場合に選出することがほとんどなので、巨獣斬に余裕ができるグラスシードも候補でしたが、基本的には先制技を一瞬シャットアウトしたら場に残るより後ろに繋ぎたいので、あまり有効に使えないと思いました。

<技構成:グラスライダー、トリプルアクセル、蜻蛉帰り、守る>
カイオーガの苦手な草タイプに打点を持つためのトリプルアクセル、水タイプを強襲する草技の何か、ゴリランダーへの安定した打点となり対面整理にも便利な蜻蛉返り、大事に扱うための守る。草技はパワーウィップと選択ですが、ゴリランダーがいる相手に選出することが多いので、構築の素早さを補う先制技として活用できるグラススライダーを採用しました。
アマージョとゴリランダーが対面した際にゴリランダーを温存されてアマージョを失うと困りますが、蜻蛉帰りを使えばゴリランダーが居座った場合に倒せて交代した場合にアマージョを温存できます。他に欲しい技は火力の高いパワーウィップ、ザシアンの身代わりを安定して破壊できるけたぐり、でしょうか。

<実数値:149-187-119-×-119-124 H.12 A.236 B.4 D.4 S.252>
素早さ振り切り。C222カイオーガの冷凍ビーム耐え(255/256)。A189アマージョの拘り鉢巻き蜻蛉帰り耐え(255/256)。フィールドグラススライダーでH207-B111カイオーガ1発。
トルネロス同様に、耐久に不安は残りますが相手を倒しきれない方が問題なのでASベースの配分。ザシアンの巨獣斬を耐えないことやトルネロスの暴風を耐えないことが気にはなります。

 

【構築総評】
「苦労してまでカイオーガを通す価値があるのか」という懐疑的な気持ちから入った割には、それなりに納得感を持って戦える形まで持っていくことはできました(だいぶ真似してますけど…)。
良かった点は、拘り眼鏡レジエレキがパーティとマッチしていると自分でしっかり気付けて採用できたことです。基本選出でシナジーのあるエース級のポケモンを2匹できるようになったことで、一番最初に疑問だったカイオーガを通す価値を見出すことができました。また、ほぼ毎試合相手にレジエレキとゴリランダーがいる中でカイオーガを通すのは至難の業だと思っていましたが、逆に言えば選出されるポケモンが分かりやすいので、相手の型の違いはあれど組み立てがしやすいこともメリットになると思いました。
逆に悪かった点は、当初カイオーガアマージョを耐久振りで使っていたことです。ダブルバトルにおいて、役割遂行のために苦手な相手からの行動保障を持たせることは重要ですが、少なくとも今回はメンバー全員の耐久が十分に安定しているわけでもなく、どちらかと言えば前のめりな構築になります。そういう構築では受けに回るより先に相手を潰す戦い方をしなくてはいけないので、攻撃的な型をチョイスすべきでした。また、対ゼルネアス構築の相性は絶望的で、ここを無策のままにすることには少し気持ち悪さが残ります。
同じ6匹でも型を変えるだけで取れる立ち回りが変わって、ひいては構築の強さが変わる…というポケモン構築や努力値配分を考察する醍醐味を再確認できる良い機会でした。

 

【感謝】
マッスルさん:6匹参考にさせてもらった、彼が勝ち続けていなかったら自分で使ってみようと思わなかったです
kazukiさん:記事を大変参考にさせてもらった、最初はプレイングスキルの差だと思っていましたが、単純な考察量の差も全然違うと認識できたのは良い機会でした

【余談】
結果的に対ゼルネアスを切った形になっていますが、この「不利な相手の対策は諦めて、他でトータルの勝率を稼げるようにする」方針はあまり好きではありません。
その理由は大きく2つあって、1つ目は「打率.300以上が優秀と言われる野球選手が凡退するまでは10割を目指すように、そもそも目の前の試合を簡単に負けにしたくない」という個人的な姿勢のもの。もう1つは「一部ポケモンの対策を諦めた構築作りが習慣化すると、改善の余地に気付きにくくなる」という取り組み姿勢的なものです。
ただ、そうは言っても全ての相手に対応できる完璧な構築を組むことは非常に難易度が高いので、短期的に結果が欲しい場合や完成形を目指すアプローチ(経過段階)としてはありだと思います。
この辺りは各人の立場や取り組み方も異なるので、それによって個々人が自分に合った方針立てをすれば良いと思いますが、やりこむ前から切る相手を作ってもいいと思っているのは姿勢として私の好みでないというわけです。