「意外性のある打者」とは

野球を知っている方であれば、「アイツは意外性がある!」っていう表現を聞いたことがありますよね。この“意外性”という言葉ははたしてどういう意味なのでしょうか。というわけで考察してみたいと思います。



○いがい(意外)
考えていた状態と非常に違っていること。また、そのさま。


考えていた(想定していた)状態と違っていることを打者の表現に用いるということは・・・
「打てると思っていたが、実は打てない」
「打てないと思っていたが、実は打つ」
このどちらかになると思いますが、前者の表現は結果的には打てない表現なので“意外性”というどちらかといえば好評価の表現にはあたらないでしょう。すなわち、意外性のある打者は「打てないと思っていたが、実は打つ」ような様の打者に用いる表現だということが分かります。


では、「打てないと思っていたが、実は打つ」ような打者とはいったいどのような打者でしょうか。
「打てないと思っていた」というのはその打者を見た人の印象であり、この「打てない」という表現には特別な修飾語こそありませんが「(起用し続けても)打てないと思っていた」ではなく「(打って欲しい場面で)打てないと思っていた」という表現になると思います。「(起用し続けても)打てない」というのは起用する前の印象であり、「意外性がある」と推される打者はある程度起用され続けて色々な状況での打席を見てきたらかこそこのような表現をされていると考える方が自然だからです。
ここはやや飛躍している部分があるかもしれませんが、お見逃しを((


「(打って欲しい場面で)打てないと思っていたが、実は打つ」
意外性のある打者がこのような打者だと見えてきました。打って欲しい場面で打てないと思う打者という評価が出来上がるまでどのような印象があるかというと、単純に普段から打てていないということになるでしょう。普段からガンガン打っているような打者であれば打って欲しい場面でも打ってくれるのではないかと期待が持てるので、打って欲しい場面で打てないと思うのはその逆になります。
そして、その普段から打てていない打者が打って欲しい場面では打ってくれるのが意外性のある打者だということになります。


「打って欲しい場面で…打つ」との表現を続けてきましたが、どのような場面で打つのかは具体的に想定していませんでした。
打って欲しいというのは願望であり、その場面で打つことより効果的な攻撃機会にできるということでしょう。得点するゲームが野球なので、効果的な攻撃をするためには出塁する・進塁させる・打点を稼ぐのどれかを行う必要があります。
ここで出塁する・進塁させるの2つは得点を稼げていません。よって効果的に攻撃(すなわち得点)するためには後ろの打者がランナーを還さなければなりません。「打って欲しい場面=出塁・進塁」という想定は後ろにランナーを生還させる期待ができるような打者が控えている状態ということになります。しかし、打線の中でランナーを生還させる期待ができる打者は限られていることが多く、攻撃をより効果的にするためには、その打者の前に出塁する期待ができる・進塁させる期待ができる打者を置くのが最適だと思われます。
意外性のある打者は「(打って欲しい場面で)打てないと思っていた」というようにあまり期待をされていないため、「打って欲しい場面=出塁・進塁」だとは言えないと思います(もしくは打順の配置が良いものではなかったかですが、これでは話が成り立たないので)。よって、意外性のある打者は「打って欲しい場面で…打点を稼ぐ」打者と言えるでしょう。また、打点を稼ぐことが打つことと同じ意味になったので打って欲しい場面というのは得点が期待できる場面という風に言い換えることができるでしょう。


ぐだぐだとつまらないことを書いてきましたが、結論としては・・・


「意外性のある打者→一般的に得点が期待できそうな場面で実際に得点できる期待をあまりしていなかったにも関わらずその場面で打点を稼ぐことができる打者」


ということになるでしょうか。
得点が期待できる場面というと既にランナーが出塁している場面が想定されているので得点圏打率などは良い指標になりそうですが、結果的に打点を稼げばいいので得点圏にランナーがいてもシングルヒット止まりだったりすることもありますし、ランナーがいなくとも本塁打をあっさり打ってしまうような打者もこの定義には含まれていると思います(最初は「得点が欲しい場面で」という表現を用いていたのですが、野球で得点が欲しくない場面というのが存在しないと感じたので曖昧な表現になっています)。
もっとも、「得点が期待できそう」「期待をあまりしていなかった」などは個々人の判断であるため、判断する人の価値観によって定義幅は変わりそうですね((


普段打てないのに打点を稼ぐことができるということは、おそらく打率が低い割には本塁打数が多かったりいわゆる得点圏打率が高い打者のことを指すのでしょう。普段打てないというと打率が悪い印象ばかり思い浮かびますが、「効果的な攻撃として打てない」ということなので、打率の良い7番打者がいたとしても既に中軸がランナーを還した後だったり出塁しても8,9番が凡退に終わった場合などは得点に絡むことが少なく、その程度の期待しか持たれずに「普段打てない」という印象に繋がってしまうかもしれません。
また、その「打てない」イメージを定着がする背景には打順という先入観もあると思います。たとえば比較的打率の良い9番打者がいたとして、出塁すると上位打線に繋がり得点に結びつく可能性は高いです。しかし、打線の上位ではなく下位に配置されているということが上位打者に比べたら打撃に期待がされていないという表れになっていて、打率が良かったり得点に結びつく印象が残ってたりすることのギャップが意外性になっていることもあるかもしれません。


考察を進める上ですっと今回の結論に辿り着いてしまってから、私の脳内の発想展開をつらつらと文章にしたので論理が飛躍している部分がありますが最初の方でも書いたように見逃してください((