2014年のプロ野球日本シリーズ第5戦の感想

10/30に行われた2014年の日本シリーズ第5戦の感想。


と言っても試合を観たのは7回からです((
それまでの試合は第1戦のハイライトと第3戦の中盤からしか目にしてなかったのですが、日本一を決めるかもしれない試合が0-0と緊迫していたので見入ってしまいました。
私はどちらの球団を応援しているということもなく、強いチームが強い実力を見せつけて順当に勝つ試合の中でどのようなプレーや采配が行われているのかを見るのが好きです。この試合もそのような視点で観戦していたので、その場面でどのようなことを考えながら観ていたか素人ながらの考えを綴ってみたいと思います。


阪神メッセンジャーソフトバンク摂津の先発で始まり6回まで0-0。
7回表にソフトバンクは継投に出て森を投入。メッセンジャーは7回裏も続投でいまだ無失点。0-0の状態が続く中で、ソフトバンクは8回表に五十嵐を投入。五十嵐が無失点に抑えた後の8回裏に先頭の1番柳田がヒットで出塁、2番明石が送りバントと3番内川のヒットでチャンスを広げて、5番松田のタイムリーでソフトバンクが待望の先制点。9回表はその1点を守り抜くためにサファテを投入しますが、乱調でピンチを招きます。それでも最後は守備妨害もあってソフトバンクが1点を守り抜いて勝利という展開でした。




7回表でここまで0-0。ソフトバンクは好投していた(らしい)先発の摂津に代えて森を投入。
摂津の投球は見ていなかったものの、ゴメス福留関本だけで6三振を奪っているくらいには阪神打線はタイミングが合っていないことが伺えました。そんな摂津を6イニングで降板させるのは6,7戦目のことを見据えてのことだと思われますが、少し意外でした。ソフトバンクのリリーフ層が厚いからこそできる采配だと思いますが、勇気のある采配ですね。
代わった森も福留にヒットこそ打たれましたが、いいピッチングをしていました。特に、西岡を三振させたボールが素晴らしかったです。
7回裏に関しては、阪神先発のメッセンジャーの球数が100を越える中で下位打線を打ち取ったことしか覚えてません。


8回表、0-0の均衡が続く中でソフトバンクは勝利パターンの一角を担う五十嵐をリリーフとして投入。素人の目からすると、7回の森のピッチングと延長戦展開を見据えると、ここで五十嵐を投入するのは早いような気がしますし、そもそもなぜ交代を考えたのかという意図が個人的には分かりませんでした。結果的には、五十嵐が3人でピシャリと抑えたことで裏の先制に繋がったので勇気ある判断が良かったと言えそうです。
五十嵐の投球を見るのはヤクルト時代以来だったのですが、速球で押せ押せのピッチングをしていた当時と比べると投球モーションを使い分けて打者のタイミングをはずさせるという技術を身に着けていたのが印象的でした。クイックで投げているときはコントロールが安定していないようにも見えましたが、相変わらずスピードは速いので以前よりも非常に打ちにくい投球をするように見えます。打線が下位だったとはいえ、すべてゴロでアウトをとっていたのもなにか新鮮でした。


そして、均衡を破ることになった8回裏。100球を越えて球威の衰えてきたメッセンジャーから先頭の柳田がヒット。内角に甘く入ったところをしっかりとらえたというところでしょうか。前のイニングは下位打線相手だっただけにこの回は誤魔化しも効かないように見えるので、リリーフを送るならこのタイミングが良かったかなと思います。阪神の方がリリーフが薄いのでメッセンジャーになるべく投げられるところまで投げてほしいという思いもあったかと思いますが、この回に点をとられて負けても延長戦にもつれこんで点をとられても負けは負けで、延長戦にもつれこんだ場合は阪神の方が不利だと言えるので早い段階で勝負を決める意思の表れとしても、この場面で交代が良かったと考えます。


2番の明石が送りバントを無事に決める。「無事に」とは言いましたが、安心して見ていられる感じではありませんでした。1,2球目はバントを小フライにしてファールにして失敗していましたが、どちらも見送ればボールにもなりそうな高めのストレートに下からバットを出してフライになっていたのが気になりました。下からバットを出したら当然打球は浮いてしまうので、バントの構えをするときはストライクゾーンの一番上に合わせてそれより高い位置は見送るのが基本ですよね。3球目もなんとか転がしたという感じで、ピッチャーのメッセンジャーがバントに対してダッシュしていなかったので二塁での刺殺が間に合わずにバントが成功した形です。
バントを決めた後の明石の表情からは安堵を非常に感じたので、日本一を決める大舞台で絶対に送りバントを決めないといけない場面でかかる重圧はやはり凄まじいものがあると思いました。
バント処理に関しては、メッセンジャーと関本のコミュニケーション不足なのかメッセンジャーの怠慢なのか分かりませんでした(1,2球目のバントの構えを見る限りメッセンジャーダッシュしていた)が、これも続投の弊害だったのかもしれませんね。


そして、3番の内川がきれいにライト前にはじき返すヒット。打ちそうだと思ったら打ちました。もうさすがとしか言えません。ライトの福留が強肩だったこともあり二塁ランナーは三塁でストップ。
0-0で一死二塁という場面でしたが、阪神サイドとしては1点とられたら負けと見立てても良さそうな場面なので内川を敬遠して塁を埋めてからイ・デホをゲッツーで仕留めるような戦略があっても良かったのではないかと思ってみていました。
一死一・三塁という状況で4番のイ・デホ。外野フライでも1点入る場面でとにかくゲッツーだけは避けたいという状況。1球目のストレートがフライを打つには絶好のボールだったような気がするのですが見送り。カウントが厳しくなったらゲッツーを打たされることもありえるのではないかと思いましたが、低めの変化球に手を出して三振。得点の欲しい場面でしたが、ソフトバンクとしては後ろにまだ松田がいるのでゲッツーに終わらずに済んだだけ良かったとも言えます。


そして、5番松田のタイムリー。場面を見たら当たり前なのですがソフトバンクが勝てるかどうかはやはり松田が打てるかどうかが大きく関わっていると思っていたので、松田がここで凡退することがあればこの日の勝敗だけでなく今後のシリーズにも大きく影響するのではないかと思っていました。
1球目は高めのストレートを空振り、2球目はより高めの球でボール、3球目は真ん中に入った球でしたがこれも空振り。テレビ解説でも話をされていましたが気合いは十分ながら空回りしているような感じが見受けられました。阪神バッテリーは4球目にフォークを選択しましたが、思ったよりも手前でワンバウンドするような球になったので松田は手を出さず。5球目に高めストレートをファールの後、6球目も低めのフォークを冷静に見逃し。これでフルカウントとなりました。メッセンジャーのこのボールを見る限り、かなり限界が近かったのではないかと思います。カウントを稼ぐ際に投げたストレートも仕留めに行ったフォークも制球が甘く、なんとかこのカウントに持ち込んだ印象です。そのバッテリーが7球目に選択したのはカーブですが、松田はこれをなんとかファールにして凌ぎました。
結局、投げる球がなくなってしまったバッテリーはストレートを選択しますが高めに浮いたところを松田に見事にとらえられてしまいました。ストレートもフォークも不安定な中でカーブを選択した決断は素晴らしいと思いましたが、6球目を見送れる冷静さを取り戻していた松田が一枚上手だったというところでしょうか。先に早めに交代させた方が良かったのではと書きましたが、メッセンジャーも苦しいながら粘りの投球を続けて素晴らしいピッチングだと思いました。
ただ、ひとつ気になったのは先制点を許した直後にピッチャーを交代したところです。リードしている場面でない限りは打たれてからの継投は時既に遅しということが多いと思っているので、打たれたら代えるつもりでいたのならやはり早めに代えても良かったのではないかと思います。


ようやく9回表に来ました((
無失点に抑えれば日本一が決定するという場面でソフトバンクは守護神のサファテを投入。第3戦でサファテのピッチングを見ていたのですが、少し安定感に欠ける面があって阪神の上位に回るこの回は1点のリードでは不安だったため、8回に好投していた五十嵐を続投させても良いのではないかと思っていました。
サファテは先頭の上本に対してフォアボール。フォアボールの内容も制球が安定していないことが分かるようなものだったので暗雲が立ち込めてきました。続く鳥谷からは三振を奪いましたが、ゴメスに対してもストレートのフォアボール。
阪神はここで一塁ランナーのゴメスに代走として田上を送りました。リリーフが手薄な阪神が勝つためにはサファテの不調をついてこの回に同点ではなく逆転しなくてはいけないと思っていましたが、その意図が現れた采配だったと言えます。


続く福留もフォアボールで一死満塁となって、この試合で摂津から2本のヒットを打った6番の西岡を迎えます。制球の安定していないサファテは西岡に対してもボール球を2つ投げるところから始まりましたが、3球目のボール球に西岡は手を出してファールとなります。ストライクゾーンにボールを投げられないサファテからしたらボール球でストライクをとることができたのは心理的にも非常に大きかったのではないでしょうか。
最終的には内角のボールを西岡が引っ張りますがファースト正面で前進守備のファーストがホームでランナーを刺殺、そのままファーストへ転送されますが送球が打者走者の西岡に当たってボールが転々としました。これが守備妨害と判定されて西岡がアウトになったため試合が終了しました。
ここでの西岡のプレーですが、故意にラインの内側寄りに走っていたのではないかなと思います。西岡も打った瞬間にゲッツーになって試合終了になることが想定できたでしょう。しかし、スイングして打球が転がった事実は変えることができないため、そんな状況で彼ができることと言えば相手のエラーを誘発するようことだけでしょう。特に、左打席に立っている打者は真っ直ぐ走り出すと最初からラインの外側を走るようにできているので、わざわざラインの内側寄りを走っていたことには、そのような背景があるのだと思われます。そんな努力の結果は実らないどころか守備妨害をとられる形になってしまいましたが、最後まで諦めずにできることをしようとした判断能力と勝利への執念が伺えるプレーだったと思います。


という形でソフトバンクは日本一を手にしました。意外な展開が幕切れで話題を呼びそうですが、7回から見ていただけでも緊迫して非常に面白い試合であったと思います。
記事にしてしまうと結果論だと言えますが、こうしてみると継投が後手に回りがちな阪神に対して7回からの早めの継投がソフトバンクの勝利を呼び込んだように思えるので、素晴らしい采配だと感じました。


野球を観る機会が少なくなっていますが、近年の投手戦は「ピッチャーが素晴らしくて点が入らないのではなく打線が点を取れていないだけ」という印象を持っていたり、シリーズの開幕投手が両チームとも外国人選手であったことだったり、と違和感を感じていました。
そんな中で、このような非常に面白い試合を観戦することができてすごく良かったです。