ナコさんから「6世代伝説戦の構築を考えてほしい」という依頼を受けたので作成した構築です。
他人が使いやすいように構築を組むというのが非常に難しかったのですが、「XYの伝説戦をやってみたいからパーティを貸してほしい」と言われたときに貸し出せるような仕上がりにはなったかなと思います(そのせいでナコさんにとっての最適かどうかはやや分からなくなっているかもしれません)。
戦績は第20回伝説厨オフでナコさんが使用して6-3で予選抜け、ベスト8。
その後、2回は予選落ちだったのでナコさんの構築として組む意味では失敗と言えるかもしれませんが、私も数戦ながら対戦してみたところ、とりあえずまだ負けていなくて構築の感触自体はそれほど悪くはなさそうです。
〜パーティ〜
ガルーラ、カイオーガ、ファイアロー、ゼルネアス、ディアルガ、モロバレル
○ガルーラ ようき せいしんりょく
191-135-101-×-101-156 H.84 A.156 B.4 D.4 S.252
(191-165-121-×-121-167)
おんがえし、ふいうち、けたぐり、ねこだまし@ガルーラナイト
○カイオーガ おくびょう あめふらし
175-×-111-202-160-156 B.4 C.252 S.252
しおふき、ハイドロポンプ、だくりゅう、かみなり@こだわりスカーフ
○ファイアロー ようき はやてのつばさ
154-133-91-×-89-195 H.4 A.252 S.252
ブレイブバード、ちょうはつ、おいかぜ、まもる@いのちのたま
○ゼルネアス おくびょう フェアリーオーラ
207-×-118-175-119-166 H.44 B.20 C.188 D.4 S.252
ムーンフォース、マジカルシャイン、ジオコントロール、まもる@パワフルハーブ
○ディアルガ ひかえめ プレッシャー
191-×-141-222-121-126 H.124 B.4 C.252 D.4 S.124
りゅうのはどう、ラスターカノン、かみなり、だいちのちから@こだわりメガネ
○モロバレル おだやか さいせいりょく
220-×-104-105-132-39 H.244 B.108 D.156
くさむすび、キノコのほうし、いかりのこな、まもる@オボンのみ
コンセプトは「ナコさんが使いやすい構築」でテーマは「ファイアローが使いたい」というものでした。BW時代にもナコさんの構築を考えたことがあり、毎回多少のチューニングを加えていたものの通してみると元の構築をベースに安定した勝率を出していたことから、その構築がナコさんにとって使いやすいものだと判断。その構築にある考えを元にXY仕様で構築を考えました。
構築の概要はいたってシンプルであり、カイオーガとガルーラorファイアローを並べて初手から相手を大きく削り、そこにゼルネアスを繰り出して先制技や高い打点での縛りやモロバレルの怒りの粉を使いながらジオコントロールで更に優勢を作るというものです。カイオーガかゼルネアスが出しづらいときにディアルガを選出します。
ファイアローが使いたいというテーマがあったものの、作成時の私がファイアローをあまり評価していなかったことから、無理なく構築に入りそうだったら入れることを考えてコンセプト重視で構築を作成。
特性精神力の猫騙しが使えてゼルネアスに隙を見せないガルーラ、トリックルーム下でも耐性で無理やり耐えて打ち合える拘り眼鏡ディアルガ、この2匹の苦手な格闘に対して強く一貫性のとりやすい拘りスカーフゼルネアス、火力の高いプレートカイオーガ、カイオーガやディアルガの素早さを補助する追い風要員としても使えるファイアロー、水耐性とトリパ対策でほとんど選出はしないモロバレル、という経緯で6匹を決めました。
しかし、これでは相手の鋼タイプに対する処理速度が気になり、拘りスカーフゼルネアスがかなり使いづらい気がしたので方針を大きく変更。カイオーガに拘りスカーフを渡してゼルネアスはジオコントロールを使う型にしました。こうすると、カイオーガが単体で動きやすくなりゼルネアスもパワーを引き出せるのでモロバレルも選出する価値をかなり見出せそうです。
>ガルーラ
メガシンカ前の精神力による猫騙しとメガシンカ後の火力と攻撃範囲が優秀なポケモン。選出して暇することがほとんどない点と初手で不利な対面となっても猫騙しで建て直しが図れる点がナコさんの構築向きだと思います。メガシンカ前はゼルネアスに先手をとられてしまう点は気を付けたいですが、それでもカイオーガに同速勝負は仕掛けられます。
技構成としては猫騙しは確定。メインウエポンでありゼルネアスへの高い打点にもなるノーマル技を入れて、ノーマル技で攻撃できないバンギラスやディアルガに対するけたぐりを採用。最後の技は何かと便利な先制技として不意打ちを採用。一応、ノーマルと格闘でダメージを与えられないゴーストタイプへの打点にもなることもあります。耐久調整をして場持ちしてもらうことを重視しているのでノーマル技は反動のある捨て身タックルではなく恩返しに。
努力値配分は、メガシンカ後にゼルネアスに先手を取れるようにするために最速にすることはまず確定。次にメガガルーラは高めの耐久水準を持っているものの気合いの襷などを持つことができず先手で一撃で倒されてしまうのが怖いので耐久に配分。C202カイオーガの雨75%しおふき耐えの特殊耐久とガルーラがA177メガガルーラのけたぐり耐えの耐久を確保して、残りの努力値を攻撃に回しています。メガガルーラの恩返し+ファイアローのブレイブバードで相手のHPゼルネアスを倒す連携や不意打ち+ブレイブバードでカイオーガを倒すことを考えるとこれ以上は攻撃を極端に削れなさそうです。
因みに、いまは「182-164-121-×-132-167」のC222カイオーガの雨ハイドロポンプ最高乱数以外耐えをオススメしています。
>カイオーガ
普通の拘りスカーフカイオーガです。ナコさんが素早さ操作技から水のジュエルなどを持たせてしおふきを打つ制圧力のカイオーガに慣れていたため、しおふきによる制圧ができず丁寧な受け出しも求められる拘りスカーフカイオーガを扱えない気がしましたが、そのような扱い方ができなくても強いくらいにスペックの高いポケモンなので、むしろ対戦をしながら扱い方を覚える方が今後構築の幅が広がって良いのではないかと思い採用しました。
技構成としては、まずゼルネアスに先手で強襲できるハイドロポンプとカイオーガ対策の雷は必須。次に範囲攻撃で一掃する際に便利なしおふきを採用。ファイアローやメガガルーラやメガクチートなどが先制技を使って無理やりカイオーガの前で動こうとする立ち回りをしてくる際に範囲攻撃として使える濁流を最後の技として採用しました。冷凍ビームもあると便利なのですが、採用した技4つの優先度が高くて入りませんでした。
努力値配分は特に捻りもなく特攻と素早さにすべて振り切りました。特攻は200程度ないとミュウツーを一撃にすることができません。性格補正を特攻に掛けて残った努力値で耐久調整をする案もありましたが、拘りスカーフカイオーガがより強化されている中で一方的に先手をとられる方がまずいと思ったので素直に素早さも最速にしました。
>ファイアロー
今回の構築のテーマポケモン。ファストガードの存在により猫騙しや先制技は安易に打ちづらくさせており、先制技となるブレイブバードと伝説ポケモンの火力で圧倒的な縛り範囲を実現します。エルフーンの悪戯心に先制するために素早さに性格補正をかけたかったので、青空プレートでは火力が足りず命の珠を持たせることにします。
技は先制技となる高火力のブレイブバード、ディアルガの中途半端な素早さをサポートする追い風、トリックルームや電磁波といった補助技を防ぐための挑発までは確定。最後の枠はファストガードか守るとなり、個人的にはファイアローが守るを使っている間に隣で削ることによってファイアローの縛り範囲に入れる立ち回りがしたいと思ったので守るをオススメしましたが、ファストガードが役に立つ場面もあるので一長一短。フレアドライブも欲しかったりしますが、挑発がないとルギア相手がかなり厳しい気がします。
努力値配分は命の珠を持たせていることから攻撃と素早さにすべて振り切りました。命の珠のブレイブバードで無振りゼルネアスを半分削ることができるので、取り巻きで半分削っておけばジオコントロールを使われてもストッパーとして機能します。
>ゼルネアス
ガルーラカイオーガファイアローなど上から無理やり縛っていく立ち回りが得意なパーティなのでそれに追い打ちを掛けられるようにジオコントロールを使うゼルネアスを採用しています。最も基本的なジオコントロールを使う構成なので持ち物はパワフルハーブ。
その最も基本的な構成にしたがって、積み技のジオコントロールと積んでから相手を一撃で仕留められるムーンフォース、隣との並びでダメージを効率良く稼げるマジカルシャイン、大事に扱うための守るで技を埋めています。ジオコントロール後のムーンフォースの火力は拘り眼鏡ディアルガの流星群をも上回るほどでほとんどのポケモンが一撃で倒せるので絶対に採用したいです。フェアリー技を半減にしてくるポケモンでも相手からの火力が高くなければ押し切ることができます。
上記の数値は理想的な個体を採用できたときのものになりますが、素早さを最速にしてC222カイオーガの雨75%しおふき耐えとA205メタグロスのコメットパンチ耐えを確保して残りを特攻に振った形です。理想的な個体を用意するのは難しいですが、ある程度なら能力値が低くても問題ないスペックはあると思います。
>ディアルガ
水技に耐性を持つドラゴンタイプの中でもフェアリー技を等倍で受けることができるのでゼルネアスなどに隙を見せにくいです。優秀な耐性のおかげで即死しにくく、特に先述したようにトリックルームなどを使われても構わずに無理やり打ち合える能力を持ったポケモンはあまりいません。打ち合いに勝てるように持ち物は金剛玉・拘り眼鏡・突撃チョッキになりますが、動いた1回で大きく削りを入れればメガガルーラやファイアローで縛る展開を作っていけることから持ち物は拘り眼鏡としました。守るがすごく欲しい気もしますが、ナコさんが5世代で拘り眼鏡ディアルガを愛用していたので、この方が扱えるのではないかと思ったこともあります。
技はまずフェアリータイプがいなければ一貫性がとりやすく安定感のある竜の波動、フェアリータイプ対策でないと困る場面が存在するのでラスターカノンまではほぼ必須。しかし、これらの技はあまり一貫性がなくどの技で拘るかに迷いやすいため、残る技は一貫性のとりやすさを重視して選びました。まずはゼルネアスカイオーガに一貫する技として雷を選択。これは鋼タイプやホウオウなどと意外と一貫性がとりやすくなっており、ディアルガの優秀な耐性から電気技を一貫させる立ち回りができるのが良いです。最後の技はナットレイ対策に仕方なく大文字を覚えさせていましたが、ナットレイも意外と悠長に宿り木の種を撒いたりしている余裕はありませんし、下手に炎技で拘って不利になる方が困りそうだったので、素早さが遅いのを良いことに上から半減技でもなんでも無理やり押し込んで突破する方針にすることにしました。というわけで、4つ目の技にはディアルガゼルネアスの並びに一貫する大地の力を採用しました。伝説戦では地面技が一貫しやすくなっていることが多くこれもディアルガの優秀な耐性から打てるのが魅力です。メガクチートやギルガルドへの打点になるのも嬉しいです。
努力値配分はまずカイオーガに強くするためにC202カイオーガの雨75%しおふき2発耐えの耐久を確保。次に特攻に振ってH175D160カイオーガを雷で一撃で倒せるようにしたいですが、雷の威力が落ちたこともあり特攻にすべて注ぎこむことに。残りは素早さに配分してなるべく先手が取れる相手を増やすことにしました。最低ラインは追い風状態でスカーフゼルネアスを抜ける125になるでしょうか。
>モロバレル
草毒の耐性によるクッション役。この構築では水・電気・草・格闘・フェアリーを受けられる点が非常に嬉しいです。また、トリックルームパーティはモロバレルを対処するのが面倒なので選出段階で掛けられる圧力も強く、出し間違えても怒りの粉で伝説を守る最低限の仕事はできます。持ち物は集中攻撃を受けても攻撃を耐えられるように瞬発的な回復力のあるオボンの実。特に、グラードン相手に機能してくれるはずです。
技構成はカイオーガを中心に高い威力で通りやすい草結び、トリックルーム下で相手の妨害として使えるキノコの胞子、隣のポケモンを守るための怒りの粉は確定。最後の1つに当初はヘドロ爆弾を入れてフェアリーや草タイプに打点を持てるようにしていましたが、モロバレルで怒りの粉を有効に使える場面を作るために「守る+隣を倒してもらって死に出し」という立ち回りがしたいと思ったので守るを採用しました。
努力値配分はBW時代の流用配分で、C202カイオーガの拘り眼鏡雨75%しおふきで最低乱数を引かない限りオボンの実が発動して2発耐えるようになる特殊耐久、物理耐久はA222グラードンの75%地震2発耐えとなっております。この耐久でA172メガクチートのじゃれつく+アイアンヘッドやA154C202メガユキノオーの75%吹雪+氷の礫などをオボンの実で耐えることができるようになっているので、そこまで問題はなさそうです。素早さ39は間違って追い風状態で出てしまったときに最遅トゲキッスやメガクチートなどを抜いて上からキノコの胞子を打てるようにしつつ、最遅ドサイドンより遅い状態を保てるように、という意味合いですがそれほど重要ではありません((
基本的な選出は
1.ガルーラカイオーガ + ファイアローゼルネアス
2.ガルーラカイオーガ + モロバレルゼルネアス
が主になるでしょう。構築概要でも書いたようにガルーラカイオーガで荒く削ってゼルネアスの苦手な相手を縛りつつジオコントロールを積んで畳みかけていきます。ジオコントロール使用後のゼルネアスはムーンフォースを半減されてもほとんどのポケモンを2発で突破できるほどに制圧力は凄まじいので、相手にゼルネアスの処理速度が速いポケモンがいてそのポケモンの攻撃から守り切れない場合以外は基本的に選出することになります。
ディアルガを出す場合はどの技で拘るべきかを見極める必要性があり、ファイアローの追い風を絡めて不一致技で一貫性をとる動きをとりやすくしたり交代先にモロバレルを用意して打ち逃げがしやすいようにしたいです。
構築で苦手になるのはメガクチートとグラードンでしょうか。メガクチートはモロバレルをうまく使ったりしながらカイオーガやディアルガで大きな打点を稼げるのでまだマシな方ですが、グラードンに関しては地震が5匹に一貫しているだけでなく、セットで選出されやすいクレセリアが繰り出す素早さ操作技が電磁波・凍える風・トリックルームのどれかを見極めることが困難であり安定した選出がしづらいという点でも分が悪いです。
融通を利かせられそうな点は以下の3点でしょうか。
・ファイアローの守るをファストガード
・モロバレルの持ち物をオボンの実からバコウの実
・ディアルガの持ち物を拘り眼鏡から突撃チョッキなどに(未定)
反省点としては、ナコさんに構築案を渡しながら使い方を詳しく説明しなかったことから認識にズレがあったことでしょうか。
先発になることが多いガルーラカイオーガの感触はBW時代のナコさんの構築に近いものだったと言えるでしょう。後続に置くゼルネアスの起点を作るのはBW時代の構築にはない動きですが、ナコさんはシングルバトルで「先発のポケモンで場を整えて、後続の積みの起点を作って一気にぶち抜く」構築を好んで使っているので、その思考とうまくマッチさせれば扱えるものになるかと予想をしていました。
一番大きかった認識のズレは、その後続に置くゼルネアスに対するものでした。上に書いたように「相手にゼルネアスの処理速度が速いポケモンがいてそのポケモンの攻撃から守り切れない場合以外は基本的に選出する」ことを前提にして作成しましたが、ナコさんの話を聞くと「技がフェアリー技しかないから半減の相手が多いと出しづらい」という点であまり信用ができず選出しないことが多かったようです。
また、モロバレルに関してもゼルネアスを守れる点を個人的にはかなり信用していたのですが、後手に回るのが動きづらい(怒りの粉を使うのがメインになるので後手でも問題ないと思っていたのですが、その点でのズレがあった)ようです。
バトルビデオを撮っていれば立ち回りを見て認識のズレに早い段階で気付けたかもしれませんが、仕方がありませんね。。