2017年夏ドラマの感想。

2017年夏ドラマの感想。


僕たちがやりました
「ウチの夫は仕事ができない」
「警視庁いきもの係」
「伊藤くんAtoE」



○「僕たちがやりました
【主演】
窪田正孝永野芽郁
【あらすじ】
それなりの友人とそれなりに楽しく過ごす…理想とも言えるそこそこの人生を送っていた主人公。ある日友人が不良高校からひどい仕打ちを受けて、その仕返しとして彼らは不良高校に簡単な爆弾を仕掛けて驚かせる計画を企てる。しかし、それがなんと死者が10人も発生する想定外の爆発事件となってしまった。そこそこの人生から一転して事件の関係者として疑われる身になった彼らは逃亡生活を始める。
【感想】
主演の窪田正孝が好きで、あらすじも面白そうだと思ったので視聴しました。
結構面白かったです。逃げ回るだけじゃ10話ももたないと思っていましたが、自ら犯人を名乗り出る人物が現れて疑いが晴れたり、それが逆に罪の意識を再認識させる形となり苦しむなどしっかり展開が進んでいくところは良かったです。キャラクターについても、やたらと騒ぐのが好きだったり馬鹿な感じには共感しづらい部分がありますが、その言動はまだ成熟していない彼らの身の丈に合っているようでリアリティがありました。
罪悪感を晴らすために自殺を図るも未遂に終わり、そこで生まれ変わったつもりでキャラクターを変えるも友人になった市橋(元々仕返しするつもりだった相手)を追い詰めて自殺させる結果になったり、罪から逃れようとしても何も良い方向には進まず。最終的には逮捕されることを望みましたが、結局逮捕されたら罪の意識が消えるのかと言えば、それはまた別で。出所を待つと言ってくれた幼馴染も妊娠して幸せな家庭を持とうとしている無常な10年後という終わり方も良かったと思います。
デスノートのときも思いましたが、黙ってれば好青年なのに顔面歪ませて狂気じみた役柄を演じられる窪田正孝がすごく良かったですね。しかも、彼が下心丸出しのセリフを言っても厭らしさを感じさせないのはずるいの一言。


○「ウチの夫は仕事ができない」
【主演】
錦戸亮松岡茉優
【あらすじ】
ルックス・学歴・収入と三拍子揃った主人公。妻は彼のことを「仕事ができて優しくて頼りになる理想の夫」だと思っていたが、実は会社ではミスを繰り返すお荷物社員だった。退職を考えていた主人公だが、妻の妊娠をきっかけに仕事ができないことをカミングアウト。それでも彼のことを受け入れてくれた妻や生まれ来る子供のためにもできる男を目指す物語。
【感想】
主演の2人が割と好きであること、「仕事ができない」の「できない」が何を指すのか気になったことから視聴することにしました。テーマは「働く男性が仕事・家庭とどうやって向き合うか」だと勝手に思っています。
全体としてはイマイチ。最初は文字通りに「(能力がなくて)仕事ができない」主人公が徐々に仕事がこなせるようになり、最終的に「(家庭を大事にしたいから)仕事ができない」という意味合いに変わります。一種の理想的な夫婦像である2人にほっこりしつつも、とんとん拍子で進む仕事や終盤の夫の豹変などはちょっと現実離れしていて、せっかくのリアリティあるテーマなのに絵空事とか綺麗事としてしか映らないような印象を受けました。
「仕事ができる」という表現もやはり難しいですね。最初に「上司への報告をせず独断で動く」ミスで失敗したのに、2回目もそれを続けており、たまたまクライアントからそこを評価されて事なきを得ただけなので、ただ運が良かっただけで何も変わっていません。また、「誠実だが要領が悪い」主人公と対比で「仕事の要領のために依頼人に嘘をつく」同僚がいましたが、彼のそのスタンスを「仕事ができる」と表現していいものでしょうか。結局「要領は悪いが真っすぐで誠実なのがアイツ(主人公)のいいところだ」と上司は評価しており、何が変わったから仕事ができるようになったかよく分からないままでした。
そうえいば劇中ではやたらミュージカル風の演出が用いられていて「輝け〜シャイン♪」という歌詞がありましたが、この「シャイン」は「社員」と掛けているんですかね・・・?(


○「警視庁いきもの係」
【主演】
渡部篤郎、橋本環奈
【あらすじ】
捜査一課の鬼刑事として活躍していた主人公だが、ある日銃弾を受けて負傷。なんとか復帰を果たすものの捜査一課ではなく通称・警視庁いきもの係に配属となり、そこで人間より動物のことばかり優先して考える動物飼育の専門の女性巡査と出会う。いきもの係の業務は逮捕・拘留された事件関係者のペットを一時的に保護することだが、ペットが現場に残したヒントから事件の真相を突き詰めていくという物語。
【感想】
橋本環奈に興味があったので視聴を決めました。「千年に一人の逸材」と言われるルックスもそうですが、個人的には彼女の声が好きで、映像作品であれば動く彼女を楽しむ(?)ことができそうです。
すごく面白いと感じることはなかったものの、観ていて心温まるドラマで良かったです。警察物と考えると推理は全く凝ったものではありませんでしたが、この作品は動物をテーマにしたアットホームなドラマであり、警察はあくまで物語の舞台でしかありません。毎回出てくる動物とそれにテンションの上がる橋本環奈を愛でつつ、オヤジギャグや子供みたいな屁理屈ギャグを微笑ましく眺める、家族でも楽しめるようなドラマだったと思います。
配役に関してもバランスが良かったと思っていて、三浦翔平や石川恋のような容姿端麗な役者、お茶目な演技でホームドラマ感を演出する浅野温子、など全体的に好感度が高いキャラクターが多かったです。極めつけは主演の渡部篤郎で、かたや女子大生と恋に落ちる初老役を別ドラマで演じてるとは思えないほどチャーミングな側面が目立ち、橋本環奈の存在感と相対しない絶妙な立ち位置が良かったです。
唯一気になった点と言えば、主人公とヒロインの関係性。主人公は動物が大好きなヒロインに徐々に影響されていく様子が描かれていましたが、逆側はあまりありませんでした。最後に「人間に興味がある」と言っていたので彼女なりに影響はされているのでしょうが、どういう部分で影響を受けたのかが個人的には分かりにくかったです。



○「伊藤くんAtoE」
【主演】
木村文乃
【あらすじ】
主人公はドラマ脚本家。5年前に書いた恋愛ドラマが大ヒットを記録したが、以降はヒット作を出せず崖っぷち。しかし、彼女の信仰的なファンは多く、開催したトークショーで行った恋愛相談企画にも多数の回答が募る。その中で彼女はある4人の女性の共通点に気付く。それは彼女たちが相談している男の苗字が全員"伊藤"であること。その偶然に何かを感じた主人公は、彼女たちを企画当選者として4人の女性に話を聞いていく。
【感想】
主演の木村文乃が好きであること、ストーリーが面白そうなこと、から迷わず視聴を決定。既に同キャストによる映画化が決まっている作品でもあるため、"伊藤"に振り回される4人の女も佐々木希志田未来池田エライザ夏帆と結構豪華な面々が揃っています。
内容はまあまあ期待通りというところでしょうか。"伊藤"に振り回されて傷ついた彼女たちが最後に少し前へ踏み出す…という形式はありがちですが、それゆえ無難に面白かったです。ED及び劇中歌は全てスピッツの楽曲でしたが、ドラマの世界観ととてもマッチしていたと思います。
女性A,B,C,Dの順にそれぞれ2話ずつスポットを当てていく形式。物語の中ではあくまで主人公は彼女たちの話の聞き手であるので、主人公が想像した"伊藤"と彼女たちのやり取りをドラマ演出として描きつつ、主人公は"伊藤"や彼女たちに棘のある台詞を吐きながら聞き手としてその場に居合わせます。主人公の想像であるため"伊藤"は彼女の身近な人物を当てはめて進むため、田中圭らが同一人物である"伊藤"を演じる面白さもあります。
気になったところは主人公周りで2つありました。1つは彼女が吸う煙草、毒を吐く女の象徴アイテムなのかもしれませんが、木村文乃が演じるからこそのギャップで考えるなら不要で、煙草を持たせたいならもっとそれが似合う役者が良かったような気がします。もう一つは名前・莉桜の漢字。煙草を持ち毒を吐くプライドだけ高い女、とは漢字が合ってないように思いました(これは偏見)。
映画の番線目的のドラマだったと思うのですが、尺が映画の2倍あるドラマを既にやってしまた後でそれ以上に満足度の高い作品に仕上がるのかどうか、やや気がかりではあります。