2015.09〜2016.11に観た映画の感想(DVD視聴のみ)

約1年間で20本程度の映画を観て、感想を残しておいたので、それをまとめた記事になります。


「私が映画の内容を忘れないようにするため」なので、感想はネタバレ前提です。
一応、ランク付けをしてランク順に記載することにしました。同ランク内はひとまず視聴順です。



【評価ランク】
■ Sランク…(他人にオススメできる面白さがある、Aランクに比べて個人的に好き)
ボクたちの交換日記
「嘘つきパラドクス」
イニシエーション・ラブ
■ Aランク…(他人にオススメできる面白さがある)
「おんなのこきらい」
デスノート
レインツリーの国
「ビリギャル」
■ Bランク…(個人的には好き)
「ICHI」
■ Cランク…(良くも悪くも普通)
江ノ島プリズム」
「ぼくが処刑される未来」
■ Dランク…(良くも悪くも普通、Cランクに比べて良くない部分が目立つ)
逆転裁判
「100回泣くこと」
ヒロイン失格
「海を感じる時」
インシテミル 7日間のデス・ゲ−ム」
「ニシノユキヒコの恋と冒険」
■ Eランク…(あまり面白くない、このランクを観るくらいなら他の作品を勧める)
万能鑑定士Q モナ・リザの瞳」
「NINJA THE MONSTER」
「JUDGE」
ジョーカーゲーム



○「ボクたちの交換日記」(Sランク)…2013.3.23公開
【主演】
伊藤淳史小出恵介
【あらすじ】
結成12年になる無名お笑いコンビ・房総スイマーズの甲本と田中、夢を追いかける2人の芸人の生活と葛藤と将来を描いた物語。日常ではほとんど話をしない2人が、年齢とともに焦りを感じ始めた甲本が、お互いの本心を語り合うために交換日記を始めようと提案するところから物語は始まる。
【感想】
逆転裁判」の映画DVDをレンタルした際の宣伝で知り、面白そうだったので観てみよう、というのがきっかけ。
期待以上に面白かったです。キャストも意外と豪華で、現実感をちゃんと織り込みつつ物語の王道からは逸れず、エンディングまで綺麗に繋がるストーリーになっています。
序盤は交換日記でのやり取りをアフレコで乗せる手法をとっており、アフレコで軽快に会話を進めながらお互いの生活を描写していきます。これは設定や状況の理解がしやすくて良かったです。無名お笑いコンビと言いながら、2人とも身近に親しい異性がいるので、周りの環境には恵まれているなと思いながら観ていました。
交換日記を始めてからブレイクの兆しを見せるも、甲本が過去のトラウマを克服できなかったせいでグランプリを敗退。田中に迷惑を掛けないようにと甲本から解散を切り出します。甲本は単身の企画で海を渡るも帰国するまで番組の打ち切りを知らされておらず、その1年の間にテレビの向こうには人気を博する田中の姿が・・・。甲本がお笑いで夢を追いかける中、昼夜働いて生計を立てて、彼が外国にいる間に一人で出産して、最後まで彼を応援する妻の存在。この幸福と厳しい現実を感じる中で、彼が芸人を辞めることを妻に伝えるシーンは結構感動しました(正直、ここがクライマックスだと思っています)。
ここから話は一気に17年飛びます。今やベテランの有名芸能人となった田中の元に甲本の娘が現れます。病で倒れた父に会って欲しいと甲本が最後に書き残した交換日記を届けに来ました。勝手にコンビ解散させられた田中はあれからずっと甲本に怒りを抱いていたものの、最終的には病体の甲本に会いに行き、冒頭の交換日記の最初のやり取りをする綺麗なエンディングでした。
個人的に気になった点は2つ。2人がコンビを組むきっかけは高校の文化祭に遡り、クラスの中心的存在の甲本が物静かだけどお笑い好きな田中を誘ったことだったのに、芸人としてネタを書いているのは田中ということ。いつのまにか関係が逆転しているんですね。また、芸人を辞めて普通に働き始めた甲本がその職場の同僚から「売れなかったから"元"芸人なんだよね」と言われて怒る場面。「やったことないやつに何が分かるんだよ!」と怒っていましたが、この時点で田中は売れっ子になっていたので、「田中をバカにするな!」と怒るのかと思っていました。




○「うそつきパラドクス」(Sランク)…2013.9.7公開
【主演】
本山なみ真山明大
【あらすじ】
主人公は会社の同僚に片思いをしているが、彼女には遠距離恋愛中の彼氏がいる。ある日、2人は一緒に残業をすることになるが、その妙な雰囲気の中で浮気寸前の関係まで進んでしまう。そして、2人は「最後までしない」ことを条件にお互いの寂しさを埋める代用品としての関係を始める。
【感想】
茅原実里の「嘘ツキParADox」の動画をYoutubeで探していて、次の動画の再生が勝手に始まった…と思ったらそれが映画丸々一本でそのまま観てしまった・・・というのが最初の経緯で、DVDを借りてちゃんと見直しました。レンタルする際に知ったのですが、R-18指定だったみたいです((
物語に登場する人物は少なく、主人公・片思いしている同僚・その友人・・・この3人で9割以上満たしております。また、漫画原作とはいえ、登場人物の苗字が「八日堂(ようかどう)」「栖佑(せいゆう)」「丸悦(まるえつ)」と全て百貨店・スーパーマーケットを元ネタに設定されているのですが、なぜそのチョイスなのかは不明でした。
主人公の振る舞いが結構身勝手なのが印象的です。最初に浮気寸前の関係になるのも主人公が一方的に仕掛けたものでしたし、名古屋の彼氏から来た電話に「出てもいいですよ」となぜか上から目線だったり。その後も「ホラーも一緒に観れないなんて彼氏失格ですよ」と彼の悪口を言う(その割には恐怖シーンに驚いて自らボディタッチしにいく)、などなど。好きな人と近づけるチャンスならそれが浮気という形でも…というのはまあ理解できるのですが、相手のことをあまり考えず自分の気持ちの押し付けが強く感じます。
そんな身勝手な主人公ながらもヒロインも最終的には好意を持つことになるのですが、あまり上手くいっていない遠距離恋愛の名古屋の彼にも結婚を申し込まれます。ヒロインは結婚を躊躇しており、主人公のことを「好き」という割には「(主人公とは)本気にならない」という最初の約束を忠実に守ろうとします。結局、一度だけ関係を持つことで清算として、朝になったら掃除も片付けも済ませて家を出ていくラスト。ただ、その際にシチューを作り置きしていく行為は清算とは逆の意味を持つ行為であり、ヒロインの複雑な心境を読み取るための大事なポイントのように思えます(尚、私はちゃんと解釈できていない)
途中で「原作にあるから盛り込んだ」と思われるシーンがいくつかあるのですが、少なくともこの映画においては重要な意味を持たなかったので不要だったようにも思えます。ただ、いわゆる濡れ場シーンはギリギリを攻めたリアリティある撮り方になっていたり、全体的に下手な安っぽさなどを感じず結構楽しめる作品でした。
あと強いて挙げるなら、ヒロインを演じる本山なみの喋り方(イントネーション)がどことなく不自然で、「栖佑」という役名も含めて最初は韓国人なのかと思っていました(




○「イニシエーション・ラブ」(Sランク)…2015.5.23公開
【主演】
松田翔太前田敦子
【あらすじ】
時代は1980年代。主人公の鈴木は代役として合コンに呼ばれて、そこで出会ったマユに一目惚れする。奥手で女性経験のない鈴木だが、なんとかデートを取り付けてそれを重ねるうちに、恋人関係に結ばれることになる。そして、映画は後編。鈴木はマユとの関係を優先して地元企業に就職したものの、東京の親会社に派遣されることとなり二人は遠距離恋愛となる。鈴木は毎週末マユに会うために地元に帰る生活を送っていたが、経済的にも精神的にも疲弊を重ねていく。そんな中、鈴木は仕事を通じて意気投合していた同僚の石神から想いを告げられて・・・。
【感想】
「ビリギャル」を観た際の作品紹介で「最後の5分で驚愕のどんでん返し」(曖昧)と謳っていたので、どんな衝撃が待っているのか観てみようと思ったのがきっかけ。イニシエーションは通過儀礼の意味で、「初めての恋愛(普通に恋愛ができるようになるまでの恋愛)」を指すタイトルになっています。
評価ランクから分かるように観た感想としては面白かったです。配役が非常に合っていただけでなく、驚愕のどんでん返しも自分が想像していなかったものだったので普通に驚かされました。
早速、ネタバレをしてしまうと物語前半の鈴木と後半の鈴木は別人で、時系列的には後半の鈴木が東京に異動して数か月後に前半の鈴木の物語が始まるようになっており、マユが二股をかけていたことになります。普通に考えると実写で別人を同一人物のように描くのは難しいですが、前半の鈴木はクリスマスにシューズをプレゼントされて「マユに見合うような男になる!」と決意をして、後半のスタートはそのシューズでランニングする松田翔太演じる鈴木だったため、同一人物が痩せて激変したように思わされてしまいました。2人とも愛称が「たっくん」なので全く疑っていませんでした。
普通は「痩せたからって松田翔太にはならないでしょ!」と思うものの、そこは映像作品のご都合主義でしょうがないと思ってしまっただけにすっかりハマってしまいました。とはいえ、ヒントは色々なところに散りばめられていました。理系出身なのに学科が違う、そもそも性格が結構違う、パンツのタック、妊娠してすぐれない体調、海行って日焼け、買ってもらった服、マユの家にあるアインシュタインの本・・・違和感が残っていたものだけでもこれだけ思い出せるのに、まさか別人だという発想がありませんでしたね(一歩足りない推理力をここでも痛感してしまいました・・・)。
この展開だけでも十分面白かったですが、ヒロインの撮り方が非常に良かったと思います。前田敦子は勝手ながらあまり期待をしていなかったのですが、ナチュラルな女の子の役柄がとてもハマっていて前半・後半・ラストと終始存在感がありました。また、後半で鈴木の想いを揺らす石神を演じる木村文乃もマユとは対照的な精神的に大人な女性の役柄がハマっていました。個人的に好きな女優でもあるので見ていて安心感がありました。
タイトルのイニシエーション・ラブは「後半鈴木との一途な恋愛を経て、前半鈴木に対して余裕を持った状態で恋愛をする」ヒロインのマユを示す言葉でしょうか。キープしつつ本命を狙う行動は理に適っていると思いますが、彼女がなぜ前半鈴木(太った体型・無頓着な身だしなみ・女性経験ナシ)を選んだのかが最初はあんまり分かりませんでした。なので、最初に合コンに来たのも、その中で前半鈴木を選んだのも、格下の存在に余裕ある恋愛をして自尊心を保とうとしているだけという風に映りました。ただ、もう少し考えてみると彼女と前半鈴木の転機は合コンでの無茶振りを(結果的に)助けたところにあることから、彼女はただ「自分を最優先に優しくしてくれる人」を欲しがっていただけなのかと思いました。




○「おんなのこきらい」(Aランク)…2015.2.14公開
【主演】
森川葵
【あらすじ】
女性の価値はかわいいこと」だと信じて疑わず、自分を可愛く見せることを最重点に置くOL主人公。そんな彼女の片思いの恋愛を通して彼女の成長(変化?)過程や女の子特有(失礼?)の「面倒くささ」を描いた物語。
【感想】
他のDVDをレンタルする際にたまたま見つけて、「あたまのなかお花畑」と言わんばかりのイメージを抱かせるこのタイトルだけで興味を持って、内容を全く知らないまま視聴してみることにしました。
内容は大きく前半・後半に分かれています。前半は恋人未満の中途半端な関係の片思い、後半は仕事の関係で再会した専門学校の同級生への片思い。結末としては、どちらも片思いのまま恋は終わってしまいます。「女の子は可愛く見てもらえることに価値がある」という主人公の価値観は終盤まで一貫していますが、「可愛いと思ってもらいたい!」相手が前半は「不特定多数」と後半は「特定の人」で異なっています。
まず、とても感心したのは、前半の主人公の「自分を可愛く見せようとしています」感の完成度の高さです。「黒髪ロング」「童顔」「ノースリーブに膝上ミニスカートの淡色系ファッション」・・・もはや何か危険を察知できてしまうようなレベルで見事に作られていました。職場の女性に対して「私、かわいいですから」「あなたとは違うんです」と笑いながら言ってのけるシーンもありますが、それを不自然に感じないほどの説得力があり、「可愛くないと見てすらもらえない」と立ち振る舞う姿をしっかり再現していたのは良かったです。
印象に残っているのは、後半の「本気で好きでもない女の子に『可愛い』って言うなよ!」というセリフ。最初は「その気にさせないでよ」くらいにしか思っていなかったのですが、前半の立ち振る舞いを考えると「私を『可愛い』と言ってくれる人はみんな私のことが好き」と本気で思っていたように感じました。
タイトルの「おんなのこきらい」は自虐的な意味でしょうか。主人公の女の子からすると「(自分の望む通りに動いてくれない)おとこのこきらい」と言いたくなる作品かもしれませんが、「(男には分からない複雑で面倒くさい気持ちを抱えてしか生きられない)おんなのこきらい」と勝手に解釈してしまいました。自分が可愛いことに自覚のある女の子を主人公に置いてはいますが、「好きな人ができたら女の子は面倒な人間になっちゃうの」と言わんばかりに、どこにでもいる普通の女の子の思いを表現した作品だと感じました。
そういえば、この感想を書く前にネットで少し調べてみたところ、あらすじの部分に過食症と書かれていることが多かったのですが、作品を観ていた中でそれが重要と感じる部分はなかったように思います。




○「デスノート」「デスノート the Last name」(Aランク)…2006.6.17、2006.11.3公開
【主演】
藤原竜也松山ケンイチ戸田恵梨香
【あらすじ】
「そのノートに名前を書かれた人間は死ぬ」という死神のノートを手にした青年は理想とする犯罪のない世界を目指すために制裁として犯罪者を葬っていく。それを連続殺人事件として食い止めようとする警察に協力する名探偵L。この2人の頭脳戦を描いた物語。
【感想】
原作の漫画はまだ読んだことがないのですが、2015年夏のドラマで別設定ながら初めて観たので、映画版も観てみようと思ったのがきっかけ。
設定にいくつか違いはありますが、ノートを手にした主人公がデスノートの魅力に憑りつかれて制裁を開始、Lの存在・第2のキラの登場・2人の戦略など大筋は映画もドラマもほとんど同じでした。なので、ストーリーでどちらの方が良かったというのはあまりなく、ここでは異なる点などを中心に感想を書いていきます。
まず、主人公が天才なのか平凡なのか。ドラマは平凡な主人公が開花していく設定でしたが、映画は主人公が天才な設定になっています。後から作られたドラマがなぜわざわざ凡人設定を選んだのか疑問でしたが、ドラマ視点を持ってから映画を観ると、映画の主人公も特別天才であるようには見えませんでした。
次にドラマにはいなかった主人公の恋人。前半の登場のみで残念ながら「同情を引いてキラ対策の調査に加わるための餌」という役割でした。しかし、彼女が命を落としたときのやり取りが本当の恋人ようであったため、主人公が意図した策略だとは思わず結構意表を突かれました。ただ、意表は突かれたものの「天才ならば恋人の命と引き換えではなく、もっとうまい方法でキラ対策室と接点を持てるようにするのでは」と思ってしまった節もあります。
キラのライバルであるL、ドラマでは山崎賢人演じる完璧・優等生なキャラクターで、松山ケンイチ演じる映画では天才設定にありがちなどこかネジが抜けたようなキャラクターでした。先にドラマを観てしまったせいか山崎賢人が演じるLの方がクレバーなスマートさがあって個人的には好きでした。ミサはキャラクターに違いはありませんでしたが、警察に拘束されたときの演出が映画版の方が緊張感を感じるようになっていたと思います。
最も大きく違うのはエンディングでしょうか。ドラマ同様に主人公は追い詰められてしまうわけですが、死神に「お前には失望した」と殺されてしまうのはあまり釈然としませんでした。「キラは神ではなく、人間で犯罪者」という現実を突きつける場面だったので、キラが命を落とす結末だとしても、同じ人間の手で終わらせてほしいと思いました。ただ、ドラマ版と違って主人公が死んだ後の家族の描写があったのは良かったです。
というように映画とドラマの違いだけ挙げる形となりましたが、普通に面白かったです。映画はドラマと比較すると尺が短いはずなのですが、それでも前後編の4時間で綺麗に収まるのが良かったです。



○「レインツリーの国」(Aランク)…2015.11.21公開
【主演】
玉森裕太西内まりや
【あらすじ】
主人公は中学生のころに読んだ小説の結末を思い出すためにネット検索をしていると、その本の感想を書いたサイトに辿り着く。それに共感を覚えた主人公はサイトの管理人・ひとみにメッセージを送り、その後2人は会うことに。しかし、実際に会ってみると彼女は耳が聴こえづらい障がいを負っていた。障がいを負い目に感じて前向きになれない彼女とそれでも彼女に心惹かれた主人公が寄り添って心を通じ合わせていく物語。
【感想】
主演の2人が結構好きなことから公開時にも興味があった映画なので早速観ました。因みに、「レインツリーの国」はヒロインのひとみが管理するサイトの名前、「レインツリー」はネムノキで花言葉は「歓喜」「胸のときめき」です。
展開としては王道路線を辿った物語で、個人的に好きな要素が詰まっていることもあって面白かったです。2人が心を通じ合わせていく過程を邪魔する第三者が存在しないピュアなストーリーで、エンディングもそれに沿うようなものでした。
ヒロインは耳が不自由ですが人間として対等に人と接したいと考えており、最初に会うときも主人公に耳のことは隠そうとしています。障がいに気付いた主人公はそれを気遣って彼女と接していきますが、それは障害者と見下した自分本位な優しさであって彼女が求める対等な関係ではありません。主人公のこの残念具合は男性テンプレな感じがしてちょっと面白かったのですが、ただ残念キャラなだけでは終わらず、障がいを理由に前向きになれないヒロインの甘えをちゃんと叱ります。主人公にも一応心の傷があり、大きさこそ違えど誰もがそういう痛みを背負って生きている描写が良かったです。
あと個人的にすごく良かったのはヒロインが途中で髪を切ることです。彼女にとってロングヘアは補聴器をつけた耳を隠すためのものでしたが、それを晒して一歩前に踏み出そうとする内面の変化が外見のイメージチェンジに現れる形となるので演出的にも綺麗だと思いました。何より、一番良かったのは、私が西内まりやが好きなので1作品の中でロング・ショート両方の彼女を楽しめるということなのですが((




○「ビリギャル」(Aランク)…2015.5.1公開
【主演】
有村架純伊藤淳史
【あらすじ】
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話中高一貫校で自由に遊んでいた主人公だったが、高校2年の時期に停学処分になってしまう。大人が嫌いな彼女が唯一信用している大人である母親の勧めで、停学中に個別指導塾にやって来た主人公だが、そこで出会った講師にうまく乗せられて慶應大学への進学を目指すことを決意する。
【感想】
「清純派」と称される有村架純がギャルの役を演じるというだけで公開時から興味を持っていました。特に、有村架純が好きというわけではないのですが、映画「JUDGE」を観て彼女が出てる作品を他にも観たいと思って、タイミングが合ったので視聴しました。
全体的な感想としては結構面白かったと思います。原作では偏差値を上げるための勉強法(?)が書かれているのかもしれませんが、この作品は「大人が嫌いな主人公が信用できる大人に出会い変わっていく」ところに注力しています。そのため、バックグラウンドがしっかり描かれていて、物語として楽しむことができました。
個人的に結構好きだったのは家族の関係性です。自分の夢を息子に押し付ける亭主関白の父親、それに苦しむ弟、そういう事情を受け入れる物分かりの良い妹、家族のことを誰よりも思う母親、という構成。弟の挫折がきっかけに、同じく挫折しかけていた主人公は立ち上がり、父親も改心します。改心前は、そもそも母親がなぜ父親と結婚したかも疑問に思うところでしたが、ちゃんとそれを描いていた点も非常に良かったです。また、母親を演じる吉田羊が泣き崩れるシーンは本物の母親さながらのリアリティがあり、出来るサバサバ系女性のイメージを大きく覆されて印象に残りました。
唯一残念なところがあるとしたら有村架純がギャルしてたのが序盤だけだったことでしょうか。中盤以降は「家族や友だちを大切にする思いやりがあり慶應を目指す可愛いらしい女の子」でしかなかったため、そこは少し期待はずれでした。あと気になってしまったのは、有村架純の顔が丸いこと。髪型でうまく誤魔化さないと可愛く見えないほど結構目立つことをこの作品で知りました((




○「ICHI」(Bランク)…2008.10.25公開
【主演】
綾瀬はるか大沢たかお
【あらすじ】
自分に刀を教えてくれた人間を探して旅をする元芸者の市、彼女は浪人侍の十馬と出会う。彼らを襲撃した厄介者を市が斬り捨てるが、宿場町の組みは十馬が斬ったものと勘違いして、彼を用心棒として雇うことに。そして、宿場に万鬼党が襲来、市は自分が探していた男が万鬼党の宿敵だったことを知り、一人で万鬼党の元へと向かう。
【感想】
座頭市の主人公を女性に置き換えたリメイク版。座頭市と言われても盲目の剣客くらいの知識しかなかったのですが、綾瀬はるかが演じているなら様になっているだろうと思って興味があった・・・のはかなり昔のことで、それを突然思い出したの視聴することに。
評価ランク通りに、個人的には結構面白かったという感想。全体を通して起承転結がしっかりしていることから観やすかったです。綾瀬はるかはおしとやかだったりおっとりした役柄が多い印象ですが、個人的にはこの作品のように澄ました佇まいの方が好きです。事前に期待していた通りに、凛としていてかっこいい姿が様になっていましたね。
目が見えないから物事の境目が見えない、芸者の一座を追い出された過去を持ち、人と関わり合うことを避ける市。そんな市の刀さばきに惹かれて付き纏う十馬。彼のお節介(?)なところが市に変化をもたらすのですが、十馬がただのお調子者なだけでないのは良かったです。彼は武家の跡取りで剣術の腕は市と対等以上なのですが、幼少のトラウマから刀を抜くことができませんでした。彼が彼女に影響を与えただけでなく、彼も彼女の影響を受けて一歩踏み出すというストーリーがあって良かったです。
評価がこのランクに収まるのは、なんとなく盛り上がりに欠ける印象があるからでしょうか。シンプルで不足している部分こそないまとまり方ではあったものの、期待や予想を越えるような何かがあまりなかったように思います。




○「江ノ島プリズム」(Cランク)…2013.8.10公開
【主演】
福士蒼汰、本田翼、野村周平
【あらすじ】
幼いころからずっと一緒だった幼馴染の3人だったが、2年前にミチルは留学・病弱だったサクは他界。そんな昔を忘れられない主人公の修太はサクの三回忌にサクの家で見つけた胡散臭い時計でタイムトラベルをして、サクが命を落とす1日前に戻ってしまう。「留学するミチルが2人に何も告げずに去ろうとしていた」「それを知ったサクが彼女を追いかけようとした」「修太がサクの自転車を借りていたからサクは病弱な身体で駅まで走った」というのが彼の死因になっていたことから、主人公は罪悪感を持っていた。その償いをするために、過去に囚われたままだった主人公が元の世界に何度も戻されながらもタイムトラベルを繰り返して過去を変えようとする物語。
【感想】
メインキャストの3人が2015年の夏ドラマ「恋仲」のメインキャストと全く同じで、それは珍しいと思ったのが観るきっかけ。
なぜタイムトラベルができたのか、過去の時間で衝撃を受けると三回忌の日の朝に戻る、などの設定はご都合主義。元の時間に戻されてしまうので過去を変えようと何度もタイムトラベルを試みます。最終的にはタイムトラベルを繰り返した結果、過去を変えることはできたものの、主人公は2人の記憶から消えてしまいます。そして、ラストシーンは3人が偶然にも邂逅して、思い出のプリズムを持っていた主人公にミチルが話しかける(知らない人に話しかけるの不自然ですが)というものでした。
物語としては特別良くも悪くもないという印象で、若い3人が江ノ島を舞台に青春する様を描いた物語としては楽しめます。世界観が透明感のある主題歌ともマッチしていて良かったです。個人的には、タイトルにある「江ノ島」の要素をもう少し物語に絡めてほしかったというくらいでしょうか。
サクが死ぬ1日前、ミチルは「サクに渡してほしい」と修太に手紙を渡します。自然に考えると、ミチルはサクのことを思っている…となるのですが、その内容は「(ミチルが)留学している間に(ミチルが想いを寄せる)修太のことを支えてほしい」というものでした。この手紙を見たからサクはミチルを追って駅まで走ったわけですが、サクがミチルをどう思っていたのかが結構気になるところですね。もしサクがミチルに好意を寄せているのなら、この手紙を受け取るのはなかなか残酷なことのように思えます。
「恋仲」を観ていたときは野村周平の演技(というか声)に違和感があったのですが、この作品ではあまり感じなかったです。演じているキャラクターが大人ではなく高校生だからなのかと思いますが、その方が合っていたように思います。




○「ぼくが処刑される未来」(Cランク)…2012.11.23公開
【主演】
福士蒼汰吉沢亮
【あらすじ】
「自分にも他人にも世間にも興味がない、ただ淡々と毎日過ごせればそれでいい」と考えていた青年が突然未来から呼び出されて25年後の世界へ連れていかれる。そこでは量子コンピュータが司法を管理する制度がとられており、未来で犯罪を犯す人物を過去から呼び出して処刑することで犯罪を未然に防ぐ未来犯罪者消去法なる法律が存在する。それに則り処刑宣告された主人公が司法制度に疑問を持つ天才ハッカーの協力を得ながら脱獄して立ち向かう物語。
【感想】
東映の特撮作品で活躍した俳優の新たな魅力を探る「TOEI HERO NEXT」シリーズの作品であり、仮面ライダーフォーゼで活躍した福士蒼汰吉沢亮が主演です。
「人間は感情に揺さぶられて誤った判断を下す可能性があるから量子コンピュータで司法を管理する」という割には、実情は今回の物語のように同姓同名の別人を過去から連れてきてしまう不完全さを持ったシステムになっています。しかし、そういう名目があるだけでも罪の抑止力に繋がります。また、死刑制度が廃止されて最高刑が終身刑となった中で、遺族の痛みを和らがせるために設置されたのが未来犯罪者消去法のようです。俳優を映す機会を作るための作品程度にしか考えていませんでしたが、思っていたより背景が考えられていたようです。
主人公は福士蒼汰のイメージとは程遠い気弱な性格でしたが、過去の事件で自責の念を持つ担当弁護士との出会いもあり、最後は勇気を出す主人公に成長して、自らの有罪判決を覆して過去に戻る・・・という成長ストーリーとなっていたので、物語としてはしっかりまとまっていて良かったと思います。特に、ドラマ「恋仲」でも観たようにダメダメだった主人公が一番最後にカッコいい側面を見せるのは、福士蒼汰の元々のカッコよさと演出のギャップですごく良く見えます。
ただ、「司法がどうあるべきか」はテーマの一つだと思っていたのですが、劇中ではシステムはあっさり停止に追い込まれたり、コンピュータ管理の司法が良いと思っていた人物がそもそも実は少なかった、というところは物語のスケールを狭めてしまったようにも見受けられます。




○「逆転裁判」(Dランク)…2012.2.11公開
【主演】
成宮寛貴桐谷美玲斎藤工
【あらすじ】
ゲーム「逆転裁判」シリーズの実写化で世界観はほぼそのまま。弁護士と検事が証拠をぶつけあい3日以内に被告人に判決を下す序審裁判制度を導入、そんな未来で新米弁護士となった主人公・成歩堂龍一の物語。
【感想】
ゲーム「逆転裁判」シリーズをプレイしたので、せっかくなら映画も観てみようというのがきっかけ。物語はシリーズ1作目の1,2,4話を抜粋して2時間にまとめたものですが、やはりまとめきるのは難しいようで中途半端なストーリーになった印象です。
逆転裁判シリーズはプレイヤーが証拠を武器に証人の証言にムジュンを見つけて事件の真相を明らかにしていくゲームで、真相が明らかになるその過程と弁護士・検事による「異議あり!」のぶつけ合いが醍醐味だと思っています。しかし、映画ではゲームと違って視聴者自らが真相を明らかにできるような情報を十分に与えるのは難しいです。そのため、弁護士と検事のバトルを見どころにすべきだと思うのですが、迫力もなくテンポも悪かったので観ていて少々退屈しました。その上で各話から要所を抜粋しているため、それぞれの事件の全容が見えるわけではない・・・というところが中途半端に感じた部分です。
一方、役者演じるキャラクターの方はそこそこ良かったのではないかと思っています。真宵・裁判長・コナカ以外はハマり役だったひとが多いように感じます。桐谷美玲は個人的には好きですが、濃いメイクや華奢な体格をはじめ、無邪気で明るいのが特徴的な真宵とはあまりマッチしていなかったように思います。また、裁判長は原作ではボケ担当でもあり叩く木槌の音を含めて軽やかなイメージがあったので、柄本明だと重くてちょっと違うような感じです。
キャラクターがハマっていただけに練れば良いものになったと思うのですが、映画化の方向性がはっきりしていないように感じました。ゲーム経験者向けだったら事件はこれくらいのまとめ方にして裁判の迫力に力を入れた方が良かったと思いますし、未経験者向けならストーリーをもっと丁寧にまとめ上げる必要がありそうです。
そういえば、法廷開廷シーンは「裁判1日目」などと表示されながら扉が開く演出で、観たときはなぜここがゲームに忠実でないのか疑問だったのですが、後に逆転裁判5をプレイした際に同様の演出がされていたので、後々納得しました。




○「100回泣くこと」(Dランク)…2013.6.22公開
【主演】
大倉忠義桐谷美玲
【あらすじ】
4年前に事故でその直前1年の記憶を失くした主人公の藤井と4年前に癌を患った佳美。かつて恋人だった2人が友人の結婚式で再会する。「はじめまして」と言う藤井に恋人たったこと・病気のことを隠しながら以前と同じように付き合い結婚を約束する2人の物語。
【あらすじ】
他の映画DVDにある宣伝で知ってキャストが結構好きなことから観てみようと思ったのがきっかけ。
一度観て感想を書こうとしたところ何も書けなかったので2回目を観たのですが、結局感想という感想をあまり抱けませんでした。私の感受性の低さなのか「これを観て感動してください」と言われているようで、そう言われてしまうと感動するのは難しく思います。
非常に良かったのは桐谷美玲の演じるキャラクターとその撮り方でした(欲目のある感想かもしれません)。少し気の強い女性の役でしたが、表情・仕草・台詞と非常に合っていたと思います。そして、その役柄で病気を背負っているので強がったり甘えたりするギャップ感を見ることができて良かったです。主演である大倉忠義も色濃くなくバランスのとれた役柄だったので作品の世界観は綺麗だったと思います。
「はじめまして」のお付き合いだったので、主人公が記憶を取り戻したときに「みんなで俺を騙していたのか」と言っていましたが、怒りを覚えるのかちょっと疑問でした。最終的には「病気のことを隠されて騙されていたけれど、それでも彼女が大切」だと思って彼女に寄り添うことを選ぶので、その落差として必要なのかもしれませんが、視聴している側としてはヒロインが「藤井君と付き合うために4年も待っていた」一途な思いを知っているので、それが騙しているという感覚もなく、怒ったことが不自然なように感じました。
キャラクターとして良かったのはヒロインの友人でしょうか。主人公が記憶を取り戻す前は「藤井君はあなたのものじゃないんだよ」とヒロインを諭している割に、記憶を取り戻して怒りを覚えた主人公にはヒロインの一途な思いを伝えるというとても良い人柄でした。
全然関係ないですが、この作品の結婚を見て「結婚前に同棲すべきか」というテーマはよく議論されますが、今回のように準備期間制度を設ければ「結婚前に同棲してみないと分からないことがある」「結婚前に同棲してしまうと新鮮味もなくなりずるずるといく」という両者のデメリットをうまく解決できていると思い感心しました()
ところで、大事でタイトルが「100回泣くこと」なのに対して主人公の最後の台詞が「1回だけ泣いてもいいかな」なのはミスマッチではないでしょうか・・・?




○「ヒロイン失格」(Dランク)…2015.9.19公開
【主演】
桐谷美玲山崎賢人、坂口健太郎
【あらすじ】
「女の子は誰しもヒロイン」・・・主人公もそれを夢見る1人の高校生で、幼馴染の男の子が誰と付き合おうと最後は自分が選ばれると信じて疑わなかった。しかしある日、彼が地味で冴えない女の子と付き合い始め、それが今までとは違う雰囲気であることに焦りを感じる。また、そんな主人公にアプローチを仕掛ける男子が現れ、自分が好きな人と自分を好きな人のどちらを選ぶか揺れる恋愛を、コメディ色強めで描いた物語。
【感想】
ドラマ「好きな人がいること」で主演していた桐谷美玲山崎賢人の2人が主演だったということもあって手に取りました。
あまり面白くなかったというのが率直な感想です。この作品の特徴としては、「これが物語なら私が主人公で間違いない」と思い込んでいる主人公にフォーカスしているところです。主人公は物語の主人公としての自覚があるのでオヤクソクのシーンが存在するわけですが、それをコメディとして活かそうとするところが他の作品にはない要素だと思いました。ただ、個人的にはそれが寒い要素と感じてしまったのが大きいです。
また、ネガティブ気味な印象なのは「坂口健太郎の魅力が全く分からない」ところも大きな理由としてあると思います。前々からずっと思っているのですが、坂口健太郎のカッコよさが全く分かりません。これは個人の嗜好であるため仕方がないと思うのですが、カッコいいと思えない人物がカッコいいキャラぶっているところが身の丈に合ってないように映ってしまうので、無関心よりは不快感を覚えてしまいます。「好きな人がいること」でも見られたような桐谷美玲の大げさなリアクションが結構うるさいところに、坂口健太郎がかっこいいキャラぶって現れるダブルパンチを受けたような感じです。
物語としても序盤はコメディ色強めの展開だったものの、終盤は物語の王道を目指して落ち着くところに落ち着くストーリーだったので意外性もなく。まぶしい青春模様を描く少女漫画原作テンプレ映画は内容が薄いものの、悪いところが目立つわけでもなく雰囲気もきれいなので、それはそれで大事だということに気付きました。
あとは山崎賢人が自分が思っていたほどにはかっこよくないことに気付きました(?)




○「海を感じる時」(Dランク)…2014.9.13公開
【主演】
市川由衣池松壮亮
【あらすじ】
恵美子はと洋は新聞部の先輩と後輩の関係。ある日、彼らは2人きりの部室でキスをする。恵美子は「前から好きだった」と彼に告げるが、洋は「君が好きなわけじゃない、女の体に興味があっただけ」と言い放つ。それでも恵美子は「私を必要としてくれるならカラダの関係だけでもいい」と思っており、体を求める男と心を求める女を描いた物語。
【感想】
一度観たことがあったのですが、眠くて内容をよく覚えていなかったので再度観てみました。原作は当時18歳の少女が書いて話題になった30年以上前の小説で、映画化オファーを断り続けていたにも関わらず「遂に実写化にふさわしいキャストが現れた!」という経緯で映画化されたようです。最も大きな特徴としては、市川由衣がヌードを披露することです。
先述した「体を求める男、心を求める女」という作品のテーマは面白く、物語の展開も個人的には好きでしたが、映画としてはやや微妙。一番気になってしまったのは、「BGMもない静かな雰囲気の作風なのに、台詞がか細くて聞き取りづらい」ことでした。間を長めにとること自体は悪くませんでしたが、物語が時系列通りに描かれているわけではないので、台詞が聞こえないのは結構致命的です。
一度キスをしたことで恵美子にアプローチのスイッチが入りますが、洋は「会えば体を求めてしまうから会わない方がいい」と拒みます。しかし、洋が上京しても恵美子は彼に会いに行き、二人の関係は続きます。洋は次第に気持ちを持ち始めていたみたいですが、それで懐疑の目を向けたりするうちに恵美子は次第に気持ちが離れていきます。そして、恵美子が行きずりの関係を持ったことを洋に話して、洋はそれに激怒。恵美子は一人で「好きでした」と呟くように、最終的に二人の立場は逆転していました。
洋も「気持ちのない相手とカラダだけの関係を続けると自分がダメになる」という自覚はあったみたいですが、あくまで主人公は恵美子なので彼の葛藤が描かれることはありませんでした。また、恵美子の気持ちが冷めるきっかけが分かりづらいと思ったのですが、些細に思うことで冷めるのは一瞬という解釈をするのが正しいのでしょうか。それぞれが変化していくので、「体を求める」「心を求める」の境界線がどこにあってどういうものなのかと考えをめぐらされる意味では面白かったです(結論はまだ出ていない)。
女優が完全ヌードになる映画を初めて観たのですが、ヌードの必要性をあまり感じることができませんでした。いわゆる濡れ場シーンをヌードで撮ることはリアリティのある描写になるのですが、この作品の場合は洋が体を求めるだけを求めて乱暴さを感じるような演出になります。そのシーンを観て、「気持ちがなかったらきっとこうなるのだろう」と思いつつも、本当にそうなるものかが分からなかったので、素直に頷くことができなかったのが正直なところです。だとすると、リアリティを感じられないヌードという滑稽な描写になってしまうように思いました。
ところで、映画冒頭は二人がまるで恋人のように動物園に行くシーンなのですが、これがどの時系列の出来事なのかが最後まで分かりませんでした。




○「インシテミル 7日間のデス・ゲ−ム」(Dランク)…2010.10.16公開
【主演】
藤原竜也綾瀬はるか
【あらすじ】
時給11万2000円。コンビニでたまたま知り合った女性からその話をされた主人公はアルバイトに参加することに。その内容は、24時間監視付きの隔離空間での7日間の生活…そして、各々の部屋には人を殺害するための凶器が備えられており、殺害や死亡には追加報酬が与えられるという。平穏を暗黙の了解としたはずが2日目に1人目の死体が発見されたことにより、10人の参加者によるデスゲームが幕を開ける。
【感想】
主題歌であるMay'nの「シンジテミル」が好きで過去にもレンタルで観たことがありました。ゲーム・ダンガンロンパが「インシテミル逆転裁判を足して2で割ったような」と表現されていたので、プレイを機に改めて見直してみようと思いました。
1回目観たときも同様の感想を抱きましたが、あまり面白くなかったです。推理要素なし、殺し合いとして見ると動機が浅い、最後のネタバレにインパクトがない…この辺りが理由になります。
まず、推理要素は全くありません。別にダンガンロンパと同じことを期待をしているわけではないのですが、館での生活ルールで探偵ボーナス・グッズの説明を入れた意味を感じないところに疑問が残ります。犯人探しをする機会は3回ありますが、1回は何の捜査もなく「なんとなくあやしい」だけで採決を行い、2回目はなぜか捜査を行わず。3回目は感情むき出しのまま殺し合いに発展して終わり、以降は推理する場面すらありませんでした。
推理物として見れないなら、お互いに殺し合いに迫られる感じを見たかったのですが、それもありませんでした。中盤は殺害動機も応酬に過ぎず、追い詰められたというより衝動的に実行したようにしか見えませんでした。時給110万の響きに釣られてやってくる程度の人間しかいないので仕方がないと言えば、そうなのかもしれませんが。
最後に生き残った主人公にヒロインが主催側の職員だったことを伝えるのですが、職員という立場がとても微妙だと思います。職員という立ち位置はやらされている感が強く、彼女自身がどういう意思を持って動いているのかが全く見えなかったのが良くなかったです。
良かった点があるとすれば主題歌とネイルガンを持つ石原さとみの2つです。最近の石原さとみは女子してるイメージが強いので、タイト気味な衣装でネイルガンを持つ姿は新鮮でした(1回目観たときは垢抜けないイメージしかなかったのであまり気に留めてなかった)。




○「ニシノユキヒコの恋と冒険」(Dランク)…2014.2.8公開
【主演】
竹野内豊
【あらすじ】
顔が良い、仕事ができる、自分への好意に少し敏感…そのおかげで色々な女の子に好かれるが、決まって最後は女の子の方から離れていってしまう・・・。そんな不思議な人生を送った主人公・ニシノユキヒコは交通事故で命を落としてしまった。そして、葬式の前日に彼の想い人の娘の前に霊として現れる。ユキヒコの不思議な接触をした彼女は彼の葬式に出向き、そこで彼の人生を彼に恋した一人の女性から聞くことになる。
【感想】
ICHIを観たときの作品紹介で面白そうだと思ったのが視聴するきっかけ。主演の竹野内豊が普通にかっこいいだけでなく、尾野真知子・本田翼・木村文乃成海璃子、と女優陣が意外と豪華でした。
内容や雰囲気は結構好みだったのですが、やたら間が長すぎる撮り方の方が気になってしまったので評価は高くないです。「電話が鳴る→冷蔵庫にビールを取りに行く→一口飲む→電話に出る」みたいな撮り方はキャラクターを映しているので意味がありそうですが、「エレベータホール→ドアが開いて人が降りてくる」のエレベータホールを映すのに体感20秒くらいかけていた気がして、こういう意味が薄そうなところでの間延びが観ていて少し退屈な気持ちになりました。
良かった点は竹野内豊と各女優との配役とお芝居です。尾野真知子は理解力のある大人の女性、本田翼は少し積極的な面を持つ女性、成海璃子は甘えんぼうな女性、木村文乃は冷たく見えて密かに想っている女性、とそれぞれのキャラクターと女優の配役がとてもマッチしていました。そして、余裕のある大人の男性として彼女たちと接する竹野内豊との演技に自然な恋人関係を感じることができました。リアリティがあって微笑ましく観ることができるので、その点は良かったです。
主人公については結構説明不足だった気がします。大人の男性らしく(?)多くを語らないので、どういう考えを持っていたのかが観ている側としては分かりにくかったです。せっかく語り手を別に置いているのだから語り手にもう少し語らせた方が良かったのではないかと思います。「誰が一番好きかを決められなくて、自分を一番好きでいてくれるひとを求めている、だからそれを求める過程として自分に好意を持つ女の子に優しくできる」と解釈しているのですが、だとしても女の子が部屋に遊びに来てるところに別の子が遊びに来て部屋にあげる辺りはどういう心情で動いているのか分からなかったです。




○「万能鑑定士Q モナ・リザの瞳」(Eランク)…2014.5.31公開
【主演】
綾瀬はるか松坂桃李
【あらすじ】
高度な観察眼・論理的思考力を持ち万能鑑定士を名乗る主人公を描いた推理小説万能鑑定士Qシリーズを原作とした映画。この物語はルーブル美術館から日本にやってくるモナ・リザを巡るものとなっております。
【感想】
同じ原作者のドラマ「探偵の探偵」が面白かったので、こちらも観てみようと思ったのがきっかけ。
結論から言ってしまうとあまり面白くなかったです。日本にモナ・リザが来るのでその臨時学芸員になる採用試験を受けるよう依頼を受けた主人公がパリに行き試験に合格して日本で特別講義を受け・・・という流れなのですが、特に事件という事件が起きない時間が長く、退屈しました。
この特別講義も主人公の思考能力を錯乱させて学芸員から脱落させるための罠で、その後の本業の鑑定に支障をきたすようになっていたにも関わらず、終盤でなぜかそれが急に取り戻されていたのもよく分かりませんでした。
キャスティングに関しても少し天然っぽい印象のある綾瀬はるかと高度な思考力を持つ主人公はミスマッチのように思いました。松坂桃李シンケンジャーを演じたときのかっこよさを評価していたのですが、この作品を含めそれ以外だとどこか野暮ったい雰囲気があるように見えてかっこよく見えませんでした。
そんなこともあって、良かったところがあまり思いつかない・・・そんな珍しい作品でしたね。




○「NINJA THE MONSTER」(Eランク)…2015.2.20公開
【主演】
ディーン・フジオカ森川葵
【あらすじ】
舞台は江戸時代、幕府は忍者禁止令を発布したことによりこの世から忍者の存在は消えてしまった。あるとき、藩の救済を乞うため江戸へ向かう姫一行は道中突如現れたもののけに襲われてしまう。彼らを救ったのは姫は助けられるが、その男はこの世から滅んだはずの忍だった。そして、姫は忍と江戸への道中を共にする。
【感想】
レンタルDVDを眺めているときに見つけて、パッケージを見てなんとなく観てみようと思った程度のきっかけ。先に書いた「おんなのこきらい」で主演した森川葵が姫で、ディーン・フジオカが忍者となれば画としては良いものになりそうです。
ということで、観てみたのですが全然面白くなかった・・・。ただ忍として任務をこなす主人公と次第に彼に信頼を寄せていく姫、この関係性も演じる2人の絵面も悪くはないのですが、シナリオに全く膨らみがありませんでした。
忍者という設定が全く活かされていませんでした。姫の連れは皆もののけに太刀打ちできず喰われてしまうので、元忍である主人公がこれに立ち向かう術があるのかと思いきや、うまく逃げて姫を護るだけと忍であることの優位性が何も活かされていません。また、アクションシーンも山賊らしき集団に絡まれて戦うシーンのみでしたが、ここも制圧するまでに意外と時間がかかっていて、たかが山賊連中を相手にするのにその様では忍の凄さが全く伝わってこなかったです。
忍としての回想シーンや過去が描かれるわけでもなく、ただ成すべきことを成すだけというストイック(?)っぽさを描いただけで終わってしまいました。忍者である必要性も分からなければ、非現実的なもののけの存在を持ち出したことも分からなくなっていて、ただ理由なく敵と見なせる存在が欲しいという都合を叶えるための存在としてしか描かれていなかったです。色々とシナリオは練れそうなのに、それが全くされていなくてそこそこ退屈でした。




○「JUDGE」(Eランク)…2013.11.8公開
【主演】
瀬戸康史有村架純
【あらすじ】
キリスト七つの大罪になぞられて、頭に動物の被り物をさせられながら閉鎖的な空間に閉じ込められた7人。彼らに課せられたルールは、制限時間内に最も罪が重いと思う人間に投票すること。多数決で最も票が多かった人物は処刑されて、これを繰り返す。「生き残るためには誰かに投票しなくてはいけない」・・・デス・ゲームに臨む人間を描く物語。
【感想】
なかなか面白い映画に出会えない中、ゲーム・ダンガンロンパは面白かったことから「いわゆるデスゲームが好きなのでは」と思い、たまたま見つけたこの作品を観ることに。因みに、七つの大罪は「暴食」「色欲」「強欲」「憤怒」「怠惰」「傲慢」「嫉妬」です。
全体的な感想としては微妙な印象。首謀者の意図が語られないまま全員死んでしまったので、結局何をしたいのか分からずあっけない終わり方だったように思います。7人という適当な人数と過去の罪からミッシングリンクを期待していましたが、そんな要素もありませんでした。ストーリーは面白くありませんでしたが、良かった点はいくつかありました。
主演の瀬戸康史有村架純の存在は観るきっかけとして大きかったのですが、いざ始まってみると頭に被り物をしていて誰だか全く分からない状態でした。わざわざキャスティングしていることを考えると、被り物は早い段階で取らなきゃいけないところが演出として難しそうですが、七つの大罪と比肩する動物の話で被り物の説明ができるところは簡潔に済ませていたように思います。
また、「死体を回収されない」のが珍しいように感じました。この手のシナリオは、生活を監視する側がゲーム脱落の証として死体を回収することが多いイメージです。密室に加えて手錠がされた状態で処刑されるので、終盤はその場に死体がいくつも転がっており。その角度からの撮り方も多かったです。特に印象に残ったのはたぶん有村架純の役だと思うのですが、転がる死体の素足を撮る角度でした(?)
瀬戸康史は温厚な態度から一転して「憤怒」の二面性を持つ普通の青年として、有村架純も弱々しさの裏に持つ「傲慢」が滲み出るような女の子として、それぞれ期待通りの役回りを観ることができた点は良かったと思います。




○「ジョーカーゲーム」(Eランク)…2012.12.22公開
【主演】
北原里英高月彩良
【あらすじ】
日本学生のIQ低下問題の対策措置として、政府は学生の人間力を高めるためにゲームを導入。そのゲームとは「ババ抜き」で、敗者は矯正施設送りとなってしまう。その制度のテストモデルとして選ばれた高校での3日間の生き残りゲームを描く物語。
【感想】
「JUDGE」同様にダンガンロンパの影響を受けてデスゲーム系統の作品をあたっている間に出会った作品。北原里英はAKBと知っていましたが、高月彩良は知りませんでした。
作品としてはあまり面白くなかったです。ババ抜きは「敗者が1人しか出ないので大人数の集団で生き残りを賭けて行うには適さない」「試合の最終盤でしか心理戦が発生しない」と冷静に考えると当然だと思えるように、ゲームとして適していないように思いました(それをジョーカーゲームと銘打つところもなんだか・・・)。背景が描かれているキャラがほとんどいない上に、主人公は優柔不断なので存在感が薄く、内容も薄かったです。
1日1戦で3日間(施設送りが最低3人しか出ない)、ただジョーカーを他人に押し付け合う世渡りの上手さ・・・とIQ低下問題対策とはいったいなんだったのかと思わせるような内容でした。ゲームに参加する意思のない者は処刑されるルールでしたが、処刑も鈍器を持った人間が突然襲い掛かってくるというアナログな感じでシュールでした。
ゲームの性質として契約システムなるものがありました。要するに他の参加者にカードごとゲームを委託するシステムで、文字通り委託した人間の勝敗は委託された人間に託されます。そして、7人から委託をされた人間は勝利した場合には以降のゲームに参加しなくて良いというルールです。というわけですが、これって契約するメリットがあるのでしょうか・・・。委託される側は以降のゲーム免除というメリットがありますが、委託する側は相手のカードを合わせたら即上がりという場面以外では契約する理由がないように思います。少なくとも劇中では、このシステムは戦うプレイヤーと生き残り人数のまとめた排除にしか使われていなかった印象です。
良かった点は小池唯がショートヘアで出演していたこと。ゴーカイジャーではお姫様のような役柄だったので、ショートヘアで制服を着て少し勝気な主人公の女友達という役柄はイメージが全然違って印象的でした。