一塁には駆け抜けるのと滑り込むのとどちらが良いのか

一塁への駆け抜けと滑り込み(ヘッドスライディング)のどちらが早いのか。
実際に検証を行っているわけではないので、個人の感想です。


内容をまとめると、以下のような感じです。
・そもそもこういう議題が挙がる時点でほぼ大差はない
・ショットガンタッチのように、おそらく理論上は頭から滑り込んで手を伸ばす方が僅かに早そう
・ただし、スライディングには技術が必要なので、それがなければ駆け抜けの方が早そう
・ヘッドスライディングは駆け抜けに比べると野手と接触して怪我をするリスクが高い
・これらを踏まえた上で駆け抜けるか滑り込むかの選択をしたい
(・「私は怪我を避けたい」「そもそもヘッドスライディングが下手」で駆け抜けでした)




野球が分からない人はこの記事を読まないと思いますが、どういうときにスライディングをするのかを一応説明しておきます。
野球はランナーが塁を回るゲームです。塁間を移動している間にボールを持った野手にタッチされるとアウトになり、アウトにならないのはベースに接触している瞬間だけです。なので、目指すべきベースに野手がいてそこにボールが送られてくる以上、タイミングが際どい場合はタッチをされるまでにベースに到達して且つ接触した状態を維持する必要があります。そのために素直に立ち姿勢のまま減速をすると到着が遅れて本末転倒なので、ここでスライディングが必要になります。
しかし、バッターボックスから一塁へ走るときだけはルールが違ってベースで止まる必要はなく、ファールグラウンドの方向に走り抜けていいことになっています。どういう過程でそのようになったか分かりませんが、そういうルールがあることから一塁での判定が際どいものになるときには「ベースを走って駆け抜ける」「頭から滑り込む」の2つの選択肢が議論されることが多いです。
因みに、「頭から滑り込む」ですが、スライディングは大別すると「脚から」「頭から」の2つに分けることができます。「脚から」の場合は効率的な減速を目的にしており、先述したベースで止まる必要がある場面で使うことが多いです。一方「頭から」の場合は地面に接触する前に伸ばした手でベースをタッチすることを目指しているので、今回のようにベースで止まる必要のない場面で使うことが多いです。


では、ここからが本題です。
一般的には、駆け抜けた方が早いと言われているように感じていますが、私は必ずしもそうではないと思っています。


いきなりですが、ショットガンタッチと呼ばれる競技をご存知でしょうか?身体能力を競うTV企画でよく見かけますが、ある上からボールが落下してくるポイントまでダッシュをしてボールが床に落ちる前に接触できたら成功で、その距離の長さを競う競技です。このゲームは低い位置でタッチする方がボールが落ちてくるまでの時間を長くできるので、ボールと接触するポイントは地上に近い方が良さそうです。実際に参加選手はほぼ頭から滑り込んで伸ばした手でタッチをします。
これを一塁ベースへの到達に置き換えると、ベースも地面に接触しているためショットガンタッチで落ちてくるボールを低いところで迎えるのと変わりないように思えます。打席から一塁までの距離はショットガンタッチ世界記録の距離の2倍ほどありますが、滑るにしろ駆け抜けるにしろベースの直前まで必要となる動きはさほど変わらないでしょう。


そういうわけで一塁ベースに早く到達するのはヘッドスライディングだと思います。しかし、私自身が野球をやっていたときはベースを駆け抜けていました。
その理由はいくつかありますが、まず1番妥当な理由は「ヘッドスライディングが上手くなかったから」です。これは単純で土のグラウンドでは滑り込んだときに摩擦による減速がある(TVで見るようなショットガンタッチ会場より起こりやすい)ので、絶妙なタイミングで上手く姿勢を作って滑り込む技術を持っていないと減速する分で駆け抜けより早いアドバンテージを失ってしまいます。
別の理由としては怪我のリスクがあることです。一塁ベースには当然野手がおり、ボールが逸れるなどイレギュラーな動きをされると接触する可能性があります。駆け抜ける場合には一塁ベースを踏んで抜けていく間だけですが、ヘッドスライディングの場合は塁に留まるのでプレーが終わるまでの間となり時間的にも長いです。接触する部分で見ても駆け抜けはせいぜい上半身同士でぶつかる程度ですが、滑り込む場合は踏まれる(相手の体重が乗っかる)ので、接触した場合の負荷も滑り込む場合の方が大きそうです。
最後にもう一つ理由がありますが、これは個人の趣味嗜好の問題で「一塁にヘッドスライディングをする行為がかっこいいと思えなかった」ことです。闘志をむき出しにしてがむしゃらに戦う姿勢がかっこいいと思う人もいれば、表情を変えず冷静を保っている姿勢がかっこいいと思う人もいるわけで、私は後者寄りでありヘッドスライディングはその美学(?)とはマッチしませんでした。


まとめると「技術のある人が行うなら、ヘッドスライディングの方が早い。ただし、どちらが早いかに大差がない割には怪我のリスクは大きい」ということです。
そもそも「どちらが早い?」なんて話題になるくらいに僅か1/100秒レベルでしか大差がない上にジャッジは審判からどう見えるかで決まるので、私はリスクの大きさから危険回避をしましたが、他人にまでその価値観を無理やり押し付けるつもりはありません。


因みに、野球で学んで試合で使わなかったヘッドスライディングは野球部を引退した後の体育祭の部対抗リレーのアンカーとして1位でゴールするときに演出として使いました((