「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」の感想。

12/22公開の映画「仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER」を観てきたので感想を。


○大雑把な感想
・ジオウに時空を越えられる設定があり、過去ライダーが集合になる映画にありがちな設定や結末にご都合主義な部分はあった
・色々な要素を詰め込もう努力した部分は多々感じたが、映画としては結構見づらいかもしれない
・ただ映画としてのメッセージが、今の自分に響いたものがあったので個人的には良かった


20作全部観てる人間として感想を書くので過去作のネタバレも多少含みます。



○あらすじ
普通の高校生・常磐ソウゴは学校からの帰り道に突然タイムマジーンに追いかけられる。これはゲイツツクヨミが彼を探していただけなのだが、そこに突然現れたアナザー電王に襲われて、ソウゴは自分が仮面ライダージオウである記憶を失くしていたことに気付く。一方、天才物理学者の桐生戦兎はアナザーダブルに狙われる少年と出会い、ビルドに変身してクローズと共に戦う。しかし、そこにエボルトとの戦いで命を落としたはずのグリスとローグがなぜか現れる。
また、そんな彼らの前に平成仮面ライダーについて詳しい青年が現れるが、彼の足元からは大量の砂が零れ落ちていた。


○序盤の情報整理
あらすじを見ても分かるように登場人物が結構多く、話を整理するまでに少し時間がかかりました。
ジオウ側のキャラ、ビルド側のキャラ、映画のキーマンとなる少年と青年、そして敵として登場するアナザーライダーとタイムジャッカー。ジオウが時空転移する設定なので、まずは一緒に出てきたビルドがどの時点での世界なのかを考えなくてはなりません。そして、少年は仮面ライダークウガを知っており、青年は平成20ライダーに詳しい設定。アナザーライダーはある時代で生まれて本当のライダーがいた歴史を書き換えるため、なぜ彼らに過去のライダーの記憶があるのか・・・など今までの映画よりも考えなくてはいけない情報が多いです。
何かがおかしい世界、を存分に活かしたコメディ展開は非常に良かったと思うのですが、もう少し落ち着いて見たかった気もします。


○ストーリーの説明
備忘用に書きますが、違っていたらごめんなさい()
結局ソウゴや戦兎がいたのは「仮面ライダーがコンテンツとして放映されている世界」でした。しかし、それは私たちがいる現実世界とも少し違っていて「仮面ライダーが架空の存在でありつつも、実は世界のどこかいる…世界」というのが厳密なところです。
映画のキーマンとなる青年は、仮面ライダークウガが初めて放映される日に産まれてから平成ライダーを観続けて育ちますが、あるとき彼の前にイマジンが現れます。ライダーが架空の存在だと思いつつも彼らに憧れを抱く青年は「本物の仮面ライダーに会うこと」を望み、ソウゴや戦兎がこの世界に呼び出されたのは、契約のために青年の望みを叶えようとしたイマジンの仕業でした。しかし、アナザーライダーがいる世界で彼らを呼び出せるのは青年と一緒にいた少年が特異点だったことが関係しています。この少年の正体は、クウガ放映日の前日にタイムジャッカーによって2018年の世界に連れ去られた青年の兄でした。平成ライダーの存在を撲滅しようとするタイムジャッカーはそのために特異点の少年を狙っており、「どんな世界であれ目の前で苦しんでいる人々がいるなら、それを守るために戦うのが仮面ライダーだ」というストーリーになっています。


○説明を踏まえた上でストーリーについて
平成ライダーの集大成を意識して色々な要素を詰め込もうとした努力は伺えましたが、おかげでストーリーがややこしくなってしまったので、もっとシンプルだった方が良かったのかなと思います。
視聴者各々に当時ヒーローだった世代ライダーがいて、それが架空の存在であったことを大人になるにつれて知ったとしても、私たちにとってのヒーローであったことは変わりない・・・というのが大きなメッセージだと思っていて、そのために「仮面ライダーが架空の存在であるような世界」が舞台になったのかなと思います。
ただ、現実的な思考をする大人は世界設定の整合性の方に目がいきやすかったり、その設定に気付いてもクウガのベルトやイマジンが存在している世界でもあるところを中途半端だと感じてしまうと、舞台に移入した視点では見づらいのかなと思いました。その意味では架空を切り離して現実世界を舞台にしてしまうのも面白そうでしたが、子どもたちに憧れのヒーローのいない夢のない世界を見せることになってしまうので、それは難しそうですね。
ジオウが時空転移システムで過去に戻って歴史を書き換える話なのに、電王の世界に存在する「時間干渉による影響を受けない」特異点が絡むことで設定がややこしくなってしまいましたね(そういうコラボレーション自体は面白いと思うのですが…)。


佐藤健の出演
この作品の一番の見どころと言っても過言ではないでしょう。電王の主人公・野上良太郎佐藤健本人が10年ぶりに演じます。映画公開までシークレットだっただけに、すごいサプライズ演出でした(なお私は公開翌日にブラウザニュースでネタバレをされました)。
ライダー作品に出演した俳優がそれをあまり語りたがらないことも多く「出演は黒歴史」説など憶測が飛び交うことがあり、佐藤健もそういう噂がされていました。しかし、実際はそんなことはなく、今年の電王イベントでは佐藤健に電話を繋いだら「今度から俺も呼んでよ!」と返すほど思い入れがあるようです。電王は時空を超える設定や声優とスーツアクターだけで主要キャラのイマジンを動かせることから本編終了後も映画が扱われていましたが、そこに佐藤健が出演するのは観る側からしても感慨深いものがあります。
登場した野上良太郎はずっとウラタロスが憑依していたので、気弱だった良太郎自身が10年でどういう成長をしたかを見ることはできませんでしたが、戦兎に合わせて「愛と正義を守るために戦う」という言葉が自然と出てくるのはウラタロスくらいしかいないので、その点演出は納得できました。


○感想
そういうわけで、ストーリーは盛り込み過ぎてイマイチで、佐藤健のサプライズが一番の見どころであるというのもどうなのかという思いがありました。
ただ、サプライズ展開からの「人の記憶が時間を作る」という電王の世界観であるメッセージがあらためて響きました。私は平成ライダーは20作全部観ていて、クウガとビルド以外は2周以上視聴していてそれぞれのキャラ・世界観・BGMなどに思い入れがたくさんあります。しかし、ライダーの歴史は未来へ進んでいく一方で、20作品もあるとその思い入れの一つひとつは少しずつ薄れていってしまいます。そういう漠然とした思いが心のどこかにあったので「(彼らのことを)覚えているだけでいい」というメッセージはそれに対する一つの答えだと思って心に響きました。


○小ネタ
・俳優が迫真の演技を見せる中、緊迫感が足りない少年の演技(お馴染み)
・青年が猿渡に「キバの音也?」と話しかけるシーン、ノリツッコミでやってほしかった(
・アナザーライダーにあっさり負けるグリス、本編もそうだったけど全然見せ場がない
・再び虚構のヒーローであることを突きつけられる戦兎(何度目だ・・・)
・ソウゴが推理するシーン、ドライブのBGM流してるのに「脳細胞がトップギア」的なセリフ言わないのか。。
・でも後でダブルアーマーに変身したときには「さあ、お前の罪を…教えて」とは言ってる
・ウォズが星の本棚ごっこしてたけど、本家そのものなのは微妙な気がする
大東俊介は良かった、ライダーの排除が目的でしたが、良い意味で視聴者の延長みたいな存在
・アナザーダブル普通に倒しちゃったけど、どの時代で生まれたんだろう・・・。
・クライマックスに呼び出したら簡単に登場する歴代平成ライダーたち
・雑魚キャラ相手とはいえそれぞれ見せ場を作り、(おそらく本編から抜粋した)声を入れていて良かった
・こういう努力、ディケイドのときはできなかったのかな・・・。
・今のCGでの龍騎のファイナルベント良かった
・アナザークウガを倒した瞬間に開放された少年、目の前に20人の平成ライダーが並んでいて生涯忘れない思い出になりそう