2018年冬ドラマ感想

2018年冬ドラマの感想。

秋ドラマは何も観ておらず今季もあまりチェックしないまま観始めましたが、2作品とも結構面白かったです。


「3年A組~今から皆さんは人質です~」
トクサツガガガ

 

○「3年A組~今から皆さんは人質です~」
【主演】
菅田将暉
【あらすじ】

高校で卒業間近の生徒を受け持つ担任教師が校舎を爆発させて生徒を人質に立てこもる事件を起こす。このクラスには半年ほど前に自殺した生徒がおり、生徒たちには「なぜ彼女は自殺したのか」という課題が与えられる。そして、クラスの総意としてまとめた回答が間違っていた場合には、生徒を1人殺害することを担任が宣言する。

【感想】

タイトルが秀逸でした。放送されるドラマのチェックをあまりしていなかったのですが、このタイトルを見ただけで「学校が舞台で非日常的な事件性を持つ物語である」ということが伝わります。ということで、あらすじをあまり知らないまま興味を持って視聴を始めました。

全体通して非の打ち所がなく面白かったです。毎週少しずつ真相を明らかにすることで興味を引きつつ、各生徒の何気ない一挙一動が重なりあって取り返しのつかないことになったことを気付かせていく内容で、ミステリーを題材にした学園物というバランスが良かったです。学園物を観る上で「そんなすぐにひとの考え方が変わるのか」というのが結構気になるところなのですが、人質監禁という極限状態にあることが説得力を持たせていました。

おおよそ予想ができたように実際には生徒を殺害しておらず、担任の目的は「生徒たちを正しい方向へ導くこと」「自殺に追いやった要因の一つであるフェイク動画の黒幕をあぶりだすこと」「彼女が自殺した本当の原因に立ち向かうこと」でした。自殺の本当の原因は事情を知らない者によるSNSに蔓延る悪意にまみれた誹謗中傷で、同じような被害者を生まないために、不特定多数の人の興味を引くことができる立てこもり事件を起こして訴えかけるというのが彼の狙いでした。

そういうわけで、「見えている部分が全てではない、その裏に何があるか、それを知らずに行動するとどうなるか、をちゃんと考えよう」という昨今のSNSの使い方に警鐘を鳴らすかのような内容でした。生徒の言動には少し幼稚な部分があったりもしましたが、少し考えれば分かるようなことで炎上するケースは実際に最近よく目にすることも多いため妙に合点がいきました。

最終回にSNSのライブ機能を使って視聴者に向けてそういうメッセージを発信するのですが、彼のセリフにあったようにこれが届くひとはごく一部なのでしょうね。それでも一人ずつ少しずつ変わっていくしかないと思うので、メッセージもすごくリアリティを感じました。私は主人公の考え方が好きだったから作品自体を面白く感じていたのだと思うのですが、最後に同じようにフェイク動画の被害にあった心を傷めていた元恋人から感謝の言葉を掛けられたときに「自分のためだよ」と答えた姿がとても良かったです。

 


○「トクサツガガガ
【主演】
小芝風花
【あらすじ】

主人公は子ども向け戦隊ヒーローにハマっている特撮オタク。普段は会社員として働いているが、彼女が特撮オタクであることは誰も知らない。そんな彼女の日常に訪れるピンチを特撮と絡めながら乗り越えていく様を描いた物語。
【感想】

積極的に視聴したいわけではなかったものの、他に観るドラマもほとんどなかったのでひとまず観てみました。 興味の半分は特撮、もう半分は倉科カナ、です。因みに、朝ドラや大河ドラマも観ないため、NHKのドラマをちゃんと観ること自体が初めてでした。

全体を通して見ると 結構面白かったです。序盤は世間体を気にしたり現実逃避するコオタクあるあるが少し空回りしているようにも見えましたが、仲間が増えてコミカルな掛け合いも増えたり彼女のバックボーンを汲んだ上で「好きなものは好き」というメッセージ性もしっかりあり、特撮シーンの画も含めて作りは結構しっかりしていたと思います。演者も主演の小芝風花の演技がとても良く、倉科カナ木南晴夏など周りもコミカルにも対応できるので安定感がありました。

彼女の気持ちを少し理解すると、ゴールデンボンバーが歌う主題歌の「ガガガガガガガ」がとても響きました。劇中の特撮作品の主題歌という設定であるためそれを意識したようなメロディで、主人公の切実な気持ちを表現している歌詞がとても良かったです(因みにPVも良かった、ストーリー性のあるPVが好きなので)。

ただ、最終回前に自ら母親に絶縁を宣言したのに最後は歩み寄ろうと思えたところが少し疑問でした(少し歩み寄る展開自体は良かった)。主人公は否定をされ続けているつもりでしたが、裏を返せば母親の好きな物を否定していることに気付いたことが歩み寄ろうと思える理由だったと思うのですが、そもそも「もう親じゃない!」「ずっと嫌いだった!」という言葉を吐ける相手に対して、わざわざ歩み寄ろうと思えるのはやや不思議でした。それが家族、と言われればそうなのかもしれませんが。

あとエマージェイソンの最終回は良かったですが、20年近く前の作品であることを考えると画質が良すぎましたね・・・(こまかい)