ゲーム「デスカムトゥルー」の感想。

「デスカムトゥルー」というゲームをプレイしたので感想。
物語の核心に関するネタバレはしないように書きます。

 

「これは映画か?ゲームか?」というキャッチコピーで2020.6.25に発売されたゲームで、主演の本郷奏多をはじめ実際の役者がキャラを演じる世界の中でプレイヤーが選んだ選択肢によって進行していく、実写ムービーのアドベンチャーとなっています。
また、ゲームとしては激安価格の1,980円で販売されています。

 

○あらすじ
主人公は目を覚ますとなぜかホテルの一室にいた。しかも、自分に関する記憶が思い出せず、室内を散策するとお風呂場には手首を縛られて意識を失った女性、更にテレビをつけると自分が連続殺人犯として指名手配になっていた。あまりの情報に頭の整理がつかない中、部屋の外からドアをノックする音が聞こえて、覗き穴を見るとそこには警察官が立っていた・・・。

 

○大雑把な感想
・初回クリア、スキップしながらの2周目シナリオ回収、で約2時間半
・普通に面白かった、好みの問題もあるが下手な映画よりは全然良い
・「映画か?ゲームか?」→映画寄り、選択肢以外ゲーム要素はほぼない
・そう考えるとボリュームもプライスも適正だと思う
・ゲーム要素は薄いものの、ゲームとしての設定に意味を感じる造りもあって感心
・映画同様に尺が短いので、物語のディテールに拘る人には向いてなさそう

 

 

○きっかけ
このゲームの最大の特徴は実写ムービーゲームというジャンルだと思いますが、そこへの興味というよりも単純に好きな要素がいくつも重なっていたのが大きいです。
ダンガンロンパという16人の高校生が学校に閉じ込められてコロシアイを行うゲームが好きなのですが、今回のシナリオはそのシリーズでおなじみの小高和剛であり、タイトル通り死を扱うダークなストーリー展開が期待できます。また、本作のあらすじを調べたところ記憶喪失やタイムリープという個人的に好みの設定が多く、ただただ期待値が高かったです。
ゲームやアニメでも画のテイストが大事だと思いますが、実写ムービーを演じるのが本郷奏多栗山千明と昔から好きだった役者であることも重要でした。加えて、ハードがNintendo Switchに対応していたので、簡単にテレビ接続して大きい画面でプレイできることも後押しになりました。

 

○ストーリーについて
あらすじで分かっていた通り「死ぬ度に時間が巻き戻る、何かを成し遂げるためにそれを繰り返す」という個人的に好きな展開だったので、普通に面白かったです。
ただ、コアなファン層より広く遍くプレイしてもらうことを目指した造りのように感じました。例えば、死んで時間が巻き戻る際にループ前の情報を引き継げるわけですが、そこには当然死の経験もあります。たいていが惨い死に方をするのですが、その恐怖や胸糞悪さは描写されません。また、これは具体的に書けませんが物語の核心を説明する際に「裏社会」「謎のコンピュータウイルス」「AIによる自動化」くらいそれっぽさを持つチープな表現が多めです。この辺りの点から細かいことは気にせず雰囲気を重視した世界観作りの意図を感じ取りました。
なので、大筋としては良いものの、細かい設定や描写などを気にする人にとっては少し辛い面はあるかもしれません。


○実写
あまりない試みなので、そこへのチャレンジングな取り組みとしては面白かったです。
物語の進行をプレイヤーに選ばせることで主人公の視点へと移入させたり臨場感を出すことができるのは、映画として見たときには良い点だと思いました。特に、クライマックスでの究極の選択をプレイヤー自身にさせる部分は非常に面白く、その形式によってマルチエンディングを用意できるというのも魅力と言えると思います。
一方でゲームとして見た場合に、達成感を味わえる要素がなかったのは気になるところでしょうか。選択肢を選ぶとはいえ分岐や選択肢の数自体が多いわけではないので、誰でも簡単にエンディングには辿り着けてしまいます。また、メイキング映像などの特典の解放がやりこみ要素としてあるものの、これも全ての分岐を辿るだけなので収集としてはやや物足りないでしょうか。とはいえ、下手にミニゲームをつけても陳腐なものになり蛇足となる可能性はあったので、無理に盛り込む必要もないというところでしょうか。
というわけで、映画とゲームの融合的な新しいジャンルとしての境地を見た気がしますが、今の段階だと映画の延長程度の位置でしかないので、今後ゲーム要素も上手く取り入れてジャンルとして発展していけば面白そうですね。

 

○その他
・正義感の強い王道主人公、という本郷奏多にしては珍しい(?)役柄
ダンガンロンパの舞台でも同じように主人公の苗木誠を演じているが、それも十神百夜の方が絶対似合っている(
・そう思いつつ、新鮮な演技を見れるのが面白かった
・本編でもメイキングでもいいから、もう少しかわいらしい演出が欲しかった(
・ヒロインのキャラ設定は主人公と歳が近い感じでも良かったのではなかろうか
・せっかく栗山千明を起用するなら、もう少しミステリアスでカッコいい演出ができた気がします
・メインの衣装と髪型がカッコ悪いと思っていたので、そうでない回想シーンはだいたい素敵でした
森崎ウィン、キャラのシャツの柄がダサすぎてエリート設定が頭に入ってこなかった(
山本千尋、ストーリーへの絡みが薄いのがちょっとかわいそう
梶裕貴、ナレーターみたいな声だなと思ったら声優だった(
・佐藤二郎が嫌いなわけではないが、佐藤二郎のコメディは好きでない(
・でも、たいていはそれを期待した上での配役だろうから仕方がない
・主人公がヒロインを運ぶときお姫様だっこじゃなくておんぶなのがシュール(
・映像を眺めていることの方が多く、操作がないと画面が暗転してしまうことがあるのがイマイチ(
・展開に影響を与えない選択肢を選ばせることに意味をあまり感じなかった(