茅原実里4thアルバム「D-Formation」の感想

2012年2月29日発売の茅原実里の4枚目のアルバム「D-Formation」を聴いてみて。茅原実里歴はちょうど3年ですが音楽知識は皆無です((



本人のインタビューで語られていることをまとめると
「2年ぶりのアルバムという感じはしなかった。『Sing All Love』でやりたいことをやれた感覚はあって、4枚目のアルバムは原点回帰。『Contact』のようなデジタルサウンドでそれを更に進化させたような1枚にしたかった。テーマは“電脳アリス”で最初の2曲でその流れに落とし込む。1曲目でこれまでとは少し違うんじゃないかと思ってもらえるのではないか。私の中では13曲目の『夢のmirage』までが本編で14曲目の『freedom Dreamer』はエンドロール、電脳の世界に落ちた女の子が現実世界に帰ってくるようなイメージ。」


という感じです。因みに、声優アニメ関連のフリーペーパー(?)の「アニカン」で語られています(CDを購入しようとしたらたまたま置いてあったので)。


とりあえず、一通り聴いて、絶対的な存在感を持つ曲がないと感じました。
ただ、聴いていていい曲だと感じるものは多かったので、それに引き込むための世界観が足りなかったのではないかなと思っています。今までの3枚のアルバムに比べると全体的に統一感がないというか繋がりが断たれているようで、それ故に個々の曲がインパクトを発揮しきれなかったのだと感じています。
私がとりあえず購入したものはDVD Formationであり、よく見ないと気付けないのですがインタビューを見て初めて背中に纏っているものが無機質を表現するケーブルだったことに気付きました。あとは“電脳アリス”と言われた際に、アリスがどういうキャラクターなのかどういう物語なのかがさっぱりであった部分から彼女の表現したい世界がピンと来ない部分こそはありましたが、アルバムはコンセプトを伝えられてからその通りにできているかを聴くものではなく、聴いた個人が感じた世界観とコンセプトがたまたま似通っていれば「あぁ、なるほどね」って思えるものだと思うのでそれに関してはあまり関係ないかもしれませんね。


それでは、個別に見ていきます。


1.D-FORMATION
アルバム「Contact」1曲目の楽曲である「Contact」のようにアルバム「D-Formation」の世界観へと誘うための曲。これをたまたま聴いた方が「初音ミク??」と言っておりましたが、そういうボーカロイド的な要素は多分に含んでいます。個人的には「Contact」のようにもう少し単体でも存在感を発揮できる方が好みでしたが、1曲目としては悪くないかと思います。


2.Dream Wonder Formation
1曲目から繋がってるアレ(名称をなんていうのか知りません)。作曲は菊田大介で歌う彼女も「『D-Formation』の“D”は『Dream Wonder Foramation』の“Dream”だと思っている」という言葉からも分かるようにこのアルバムのリード曲です。私のイメージは“22世紀の遊園地”です。ドラえもんで見るような「ここが22世紀か!」という技術発展を成し遂げた世界の中で人間の動きが自由化されたアトラクションとでもいうのでしょうか。そういう楽しみを生み出す要素を含んだいい曲だと思いました。


3.嘘ツキParADox
初めて聴いたときに抱いた印象はMELLの曲。つまり、I'veらしいサウンドということでしたが、それもそのはずで高瀬一矢が製作に関わっています。ジャケットや2曲目までの色とは違って、イメージする色はまるでアスファルトのような灰色。小さく天井高い部屋で上から半透明な灰色の塊が降ってきて…そうやって呑みこまれていくも手を伸ばせばその塊をすり抜けて部屋の外まで手が伸びる・・・アバウトですがそんなイメージです((
この表現が今の茅原実里だからできるものなのかは分かりませんが、I'veの曲を歌い切ったのは事実ですね。あぁ、ソフトに言えばイメージはぷよぷよでお邪魔ぷよが降ってくるというのでいいかもしれません((


4.Metamorphosing Door
metamorphose」とは「物を変形させる」という意味。今までの曲で1番近いものを挙げるとしたら「Falling heaven's now」だと思います。明るいところへ新たに出ていくというイメージで3曲目で囚われたように感じる部分との関連性が見られます。作詞した人こそ違いますが、ポジティブに感じられる単語が並んでいてキラキラとした感じです。季節的な色はあまり持ってはいませんが、歌詞と今の時期と重なる部分がある人は多いかもしれませんね。
リード曲とは別になりますが、ここまでの流れを踏まえてここからが「D-Formation」のスタートだと私は感じました。



5.Planet patrol
2011年7月6日発売の12枚目のシングル表題曲。今までにない曲調、ジャケットという意味では非常に意外性が高かった楽曲。Cメロはラップに分類されていますが、この程度でラップに分類されるとは知らなかったです。
1年前の「Freedom Dreamer」の直球に対して、変化球のような夏曲だと思います。が、個人的にコンセプトはよく分からず。茅原実里の曲でないと揶揄されたのも聞いたことはありますが、茅原楽曲の中でも異彩を放ってるのは確かです。そういう意味ではアルバム曲として入れる必要はなかったと思います。4曲目がスタートだと感じたのにどこに連れて行かれたのかが分からなくなったのがアルバムとして聴いたときの印象です。


6.KEY FOR LIFE
2011年2月9日発売の11枚目のシングル表題曲。「Defection」と同時発売でこちらはHappy Sideという作り。
コアとなる光が舞い込んできたようなイントロでそこから明るい光が広がっていくような曲でまさにHappyな感じを表しているだけでなく聴いたときにそれを受け取ることができる面を持ち合わせていると思います。
余談ですが、この曲の唯一気になる部分はPVでの茅原の髪型です((


7.この世界のモノでこの世界の者でない
1番ジャケットの画のイメージに近い曲だと思っていたら、作詞作曲した方がこのジャケットを見て書いたそうで((
透明感っていうんですかね。前の「KEY FOR LIFE」とは歌われている内容がかなり変わってきますが、空が広く見えるようなイメージは共通してあるものだと思います。こんな表現しかできず曲に対して申し訳ないです。


8.X-DAY
「雪、無音、窓辺にて」を彷彿とさせるようなセリフ詞の入った電脳チックな曲。前の曲に続き、モノであってヒトでないようなことを思わせるような歌詞が綴られていますが、この歌詞を書いたのが茅原実里だったとは思いませんでした。彼女がこれまでに書いた詞を見ても、こういう歌詞を書けるようになった経緯が分かるわけではありませんが、こういう歌詞を書ける段階まで来るためには、それまでに歌詞を書いた経験も必要なものだったのかもしれませんね。


9.Defection
2011年2月9日発売の10枚目のシングル表題曲。「KEY FOR LIFE」と同時発売でこちらはStylish Sideという作り。因みに、「Defection」というのは欠陥、欠点であったり、離反のような意味も持つそうです。
色は暗いものの深みがあるおかげで明るく見える曲で、アルバムコンセプトよりも現実的な感覚を持ってる場所に位置していると思います。
シングルとして聴いたときから一つだけ気になっていたのは、歌い出しの「漆黒の闇を」の部分で発音が「しっこく」ですが「しいこく」という発音にする方がスムーズに聴けたのではないかと思っています。


10.暁月夜
弦楽器がフィーチャーされた楽曲。よく見てみると楽曲は6分近くあるみたいですが、それを感じさせない激しさを持ったドラマチックな曲だと感じました。これも作詞が茅原実里だと聞いて意外性を感じました。間奏部分などのストリングスの存在感が圧倒的です。このアルバムの中で茅原実里の進化が1番感じられるのはこの曲ではないかなーと個人的には思っております。


11.TERMINATED
2011年10月19日発売の13枚目のシングル表題曲。「TERMINATE」がどういう意味だったか忘れて「ターミネーター」のイメージでしたが「ターミナル」という単語などにあるように「終着させる」っていう意味でしたね。それをちゃんと調べるまではちょっとズレを感じていました。
茅原実里のPVはいつも私がイメージするものと違うというイメージがあったのですが、この曲は最初にイメージしたものとPVの世界が結構一致していました。畑亜貴菊田大介のコンビなのでこれまでの茅原実里楽曲が好きな人は好きになると思います。


12.アイノウタ
明るいようで、少し寂しい面を含んだ曲。これも作詞は茅原実里。「Bye-bye!サヨナラから次の夢が始まるよ」という歌詞がそのまま示してしまっているのですが、「TERMINATED」的に言えば「オワリ ガ ハジマリ」であり、これは終わるようで次が始まる曲。なので、これは電脳世界のアトラクションを楽しんだ女の子が現実世界へ帰るときの歌という意味合いでアルバムのラストに持ってきて欲しかったかなと思います。それと終わりが始まりであることを歌詞が直接的に示してしまっている部分ですが、もう少し暗喩的な表現で示して欲しかったと思います。


13.夢のmirage
作曲は菊田大介。茅原曰くここが「D-Formation」の本編のラストになりますが、「アイノウタ」をラストに持ってきて欲しかった私としてはどういう位置にいるのかがいまいち分からなかった曲。12曲目が電脳世界にバイバイで14曲目が現実なのであれば、この曲は世界を繋ぐ空間を通っているときに回想シーンというイメージでしょうか。どこかに置くのなら個人的には12と13が逆だったらとは思いました…14曲目がない前提になっていますが((


14.Freedom Dreamer
2010年7月21日発売の9枚目のシングル表題曲。夏ど真ん中というイメージでPVも青い空と白い砂浜で撮影されていますが、私が初めて音源を聴いたときにイメージしたのは夏祭りと花火のような感じでした。茅原実里の作詞で、これを見てから「X-DAY」「暁月夜」を見ると成長が感じられるのですが、そういう意味では序盤に置いた方が効果的だったと思います。ただ、序盤に置くとアルバムコンセプトからは思い切りはずれてしまいますので、シングル曲とはいえわざわざ詰め込む必要はなかった気がします。本人もこの曲はエンドロールと語っていますが、ライブではなくアルバムなのでエンドロールとしての意味合いを持たせたいならボーナストラック的(前曲が終わり何も流れない時間を作ってから数分後にいきなりイントロを流すアレ、名称が分かりませんでした)に扱った方が良かったのではないかと思います。


楽曲に対するレビューを書くのは初めてだったので「これはいい」「これはよくない」という感覚を言語で説明するのは大変だと感じました。何のための言語かと言えば他人に自分の感覚を伝えるためなので今後も拙い表現ですがチャレンジしてみたいと思います。