初手「ねこだまし」の使い方

初手「ねこだまし」の使い方。主にダブルバトルについて。
(※2019.11.13に大幅に加筆修正)


【結論】
ダブルバトルにおいて猫騙しという技は「味方の行動保証を作れる」意味で重要である
・貴重な技スペースや行動機会をコストに猫騙しを使うので、アドバンテージを得るための使い方は意識したい
・昨今の「高耐久猫騙し要員の台頭」など、時代や環境が変われば新たな活用方法が見出される可能性はある


ダブルバトルにおける猫騙しは便利な技です。
猫騙しは優先度の高い攻撃技で対象を怯ませて行動不能にできる技です。これがシングルバトルであれば威力40分のダメージが入り相手を怯ませただけでターンが終わってしまいますが、場に複数のポケモンを繰り出せるダブルバトルの場合は猫騙しを使ったターンに味方のポケモンを動かすことができます。ダブルバトルでは時折「縛り」という概念が語られることがありますが、猫騙しは相手を行動不能にして味方の行動保証を作ることができる意味では、縛りを解除するための手段として有効です。
しかし、ただやみくもに使ってもアドバンテージを稼げるわけではありません。特にダブルバトルにおいては「まもる」の使用率が高く、猫騙しを使えるターンに相手2匹両方に守るを使われると味方の行動によってはただターンをやり過ごしただけになることも多いです。猫騙しを採用するにしても「最初のターンにしか使用できない技に貴重な技スペースを割いていること」「猫騙しを使うターンはそのポケモンに別の行動をさせる機会を失っていること」というコストが発生しているため、しっかりアドバンテージを稼げるような使い方をするべきでしょう。


では、どのようにしてアドバンテージを稼げるか、具体例を挙げてみていきます。


猫騙し+場に効果のある補助技
〜具体例〜
マニューラ(「ねこだまし」) + ギラティナ(「おいかぜ」)
ハリテヤマ(「ねこだまし」) + シャンデラ(「トリックルーム」)
・ルンパッパ(「ねこだまし」) + サンダー(「あまごい」)


→味方全体に効果を及ぼす補助技を使うにあたっての行動保証を作る、最も基本的な猫騙しの使い方でしょうか。猫騙し自体は守るで防がれるかもしれませんが、目的は対象のポケモンの行動を阻止することなので活用方法としては十分でしょう。このように「特に相手に干渉しない」タイプの技が組み合わせとしては模範的です。
場に効果を及ぼす技には「リフレクター」「ひかりのかべ」のようなものもありますが、これは多少議論が必要でしょうか。壁技は相手からのダメージを抑えることを目的としますが、ダメージを抑えた以上のダメージを与えられる組み合わせでないと採用する意味がありません。その点、猫騙しはダメージを与える技ではないので積極的に採用したい組み合わせではないでしょう(後発のポケモンが相手4匹全員を倒す能力がある場合などはその限りではない)。


猫騙し+積み技
〜具体例〜
カポエラー(「ねこだまし」) + ウルガモス(「ちょうのまい」)
ズルズキン(「ねこだまし」) + ライコウ(「みがわり」)
ニャオニクス(「ねこだまし」) + メガガルーラ(「グロウパンチ」)

→自分の能力ランクを上昇させる技(いわゆる積み技)も相手に干渉しないので、両方守るをされてもアドバンテージをとれる組み合わせの一つです。積み技は単体性能を上げることで「本来なら倒されてしまうポケモンの前での行動保証がつけられる(攻撃を耐えるor逆に倒すことができる)」ので、猫騙しで1匹の1ターンの行動を捧げる価値はあります。
上の例だと、カポエラーウルガモスはどちらもトルネロスに弱いポケモンですが、カポエラー猫騙しでトルネロスの行動を封じながらウルガモスで蝶の舞を使うことで、素早さ関係が逆転して手助け熱風などでウルガモストルネロスを縛れるようになります(するとウルガモスだけでなくカポエラーの行動保証もできる)。
身代わりも行動保証を作る意味では一種の積み技として分類できるでしょう。また、最後のニャオニクスメガガルーラは普通に動くと両方守るに弱いですが、グロウパンチの対象を味方のニャオニクスにすることで猫騙しで苦手な相手を止めながら確実に攻撃を上げることができるので猫騙しの有効な使い方を示す例として良いものだと思います。


猫騙し+拘りアイテム持ち攻撃技
〜具体例〜
マニューラ(「ねこだまし」) + バクフーン(「ふんか」)
・ルンパッパ(「ねこだまし」) + カイオーガ(「しおふき」)
ゴウカザル(「ねこだまし」) + ラティオス(「りゅうせいぐん」)

→相手の猫騙しを猫騙しで対策する目的の組み合わせ。拘りアイテムを使って初手から大きなアドバンテージを狙う場合、そのポケモンは守るを使用できないので相手の猫騙しが障害となります。なので、それを先制猫騙しで封じることを目的としています。
具体例はどれも有名な組み合わせですが、特徴的なのは「2匹の並びの両方が素早さの高いポケモンであること」です。攻撃的に仕掛ける場合は先手で行動できる方が良く、相手の猫騙しを封じる目的によって猫騙し要員にも必然的に素早さが求められます。結果的に素早さの高いポケモンの組み合わせとなるので、猫騙し+攻撃を両守るで防がれたとしても次ターン以降で高速から畳みかけるような展開を取ることができます。また、「猫騙しを防ぐ」という本来の目的を考えると必ずしも初手で猫騙しを使う必要はないでしょう。
因みに、マニューラゴウカザルに関してはフェイントを使うことができたり、レパルダスに関しては悪戯心の優先度からアンコールが使えたりするので、猫騙し+攻撃に必ずしも守るが安定しているわけではありません。そういう意味では守るを使う側にもリスクがあるので、そういった技の所持に関わらず猫騙し+攻撃が通りやすい組み合わせも存在します。


猫騙し+両方守るを選びにくいポケモン
〜具体例〜
カポエラー(「ねこだまし」) + シャンデラ(「めざめるパワー」)
ズルズキン(「ねこだまし」) + クレセリア(「でんじは」)
・ガルーラ(「ねこだまし」) + ゼルネアス(「マジカルシャイン」)


猫騙し+αの行動が両方守るに対してアドバンテージをとれる組み合わせでないものの、相手が両方守るを選ぶことにリスクがあることを利用して行動を通す組み合わせ。
上に挙げた具体例はそれぞれトリックルームやジオコントロールといった技をうまく決めるために猫騙しを合わせている組み合わせに見えるため、両方守るを選ぶとディスアドバンテージになりやすく両方守るは選びづらいです。それに付け込んで拘りアイテムで奇襲を仕掛けたり状態異常をばらまくチャンスを増やしたりという行動を通すのが目的です。
相手が両方守るを選びづらいという前提の元に成り立たった甘い行動であるということは念頭に置いておきたいです。


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以上が初手猫騙しの基本的な使い方になります。
元々はXY期に「両守るをされるとアドバンテージを取れない組み合わせなのになぜかそれが通っている」場面を見かけることが多かったので、それについて整理するために書いた記事でした。ただ当時そういったケースが過去世代より増えていたのは「単体性能の高いメガシンカに対応するために、拘りアイテムや突撃チョッキを持つなど単純に守るを所持していないポケモンが増えた(XY以前は大爆発の存在やジュエル系アイテムで誰でもローリスクで火力を発揮できたので、わざわざ守るを不採用にする理由がそれほどなかった)」のが要因だと思います。なので、逆に「相手が守るを所持しているかの確認する」という応用的な手段として活用するケースも見出されました。
また、この記事を書いた頃は猫騙し要員の多くは耐久が高くなかったので、初手で猫騙しを使うケースがほとんどでしたが、昨今は高耐久の猫騙し要員が増えたこともあって、相手の優位ターン(追い風など)に対して時間稼ぎをするための猫騙しなど、時代や環境が変われば新たな活用方法が生まれる可能性は大いにあります。


【余談:トリプルバトルにおける猫騙し】
トリプルバトルは場に3匹のポケモンを繰り出すことができるので1ターンで大掛かりなコンボ成立も狙うこともできます。そういったコンボを決めるための自由な行動を阻止するために猫騙しを採用するというケースが多いです。
ダブルバトルでは両守るによる様子見が有効な場面も見受けられますが、トリプルバトルでそれを行うと相手2匹をフリーにしてしまうので、さすがにリスクが大きく現実的ではありません。そのため、猫騙し+攻撃という単純な組み合わせでもダブルバトルに比べて行動が通る場面は多いと思います。