処分する漫画の感想とか

所持していた漫画の一部を処分することにしました。


漫画は基本的に好きで、面白くないというものにもあまり出会ったことはありません。とはいえ、読んで面白い漫画と持っておきたい漫画は個人的には別で、所持していた作品は「持っておきたくてわざわざ購入した」くらいのものがほとんどなので、それを手放す前に一度読み返して感想なり思い入れなりを残しておくことにしました。
物を捨てる前に写真を撮るアレと同じですね((


それぞれの漫画を語るときに必ず出てくると思ったのであらかじめ書きますが、持っておきたい漫画の絶対的な条件は「画の雰囲気が好き」なことなので、ほとんどの作品が画に惹かれてるというのが好きな要因として大半を占めそうです。


ハヤテのごとく!
ポケットモンスターSPECIAL
ドラベース
BAMBOO BLADE
「野球狂の唄」



>「ハヤテのごとく!
昔、一番好きだった作品です。クリスマスの日に親から1億5000万の借金を押し付けられてどうしようもなくなっている青年がその借金を肩代わりしてくれた大富豪のお嬢様に借金を返すために彼女の執事を務めるというコメディ。たぶん、一般的にはラブコメディと言うのでしょうが、その路線が強くなってきてからあまり好きでなくなってきた感じはあります。。
面白いという話を聞いた友人から借りたのが読むきっかけで、帰りの電車で1巻を読んで「あ、もしもし綾崎ですけど?」の件がツボにハマって数分間一人でにやにやが止まらなくて大変だった思い出があります()
画が好きなことはさながら最も印象的だったのは、予想できないどころか予想すらさせない話の展開でした。基本的には魔法でも宇宙人でもハプニングでもなんでもありな世界観なので、ページをめくった瞬間には予想の上を行く大ボケをされていることが多く、普通に笑ってしまうので本当に外にいるときには読めない作品でした。
また、もう一つ印象的なのはパロディネタが多いことです。TPOに応じてパロディネタをうまく持ち込めるのは非常にセンスが良く、各話のタイトルやキャラクターのセリフがそれを意識してつけられていたのが好印象でした・・・まあ、私はそのパロディネタを1割くらししか分かっていませんでしたけど((
というような具合にピンポイントで刺されたと思えるくらいには好きだったのですが、それも16巻くらいまでの話でした。物語の中にも何度か出てきていますが、有名作品の連載の間を縫うように細々と繋ぎのような立ち位置でできればと思っていたものがどうやら人気作品になってしまったようです。人気作品となるとビジネス的な話がどうしても切り離せなくなりそうで、そのせいなのか作品の雰囲気が少しずつ変わっていったような気がします。画のタッチが変わってしまうのはよくあることだとして、不必要に思えるお色気シーンが非常に増えたように思います。元々無意味なお色気シーンを使うことがあまり好きでないのですが、話が進むにつれてそれを話のオチに持ってくることが多くなった気がして以前のような面白さがなくなっているように感じます。
37巻までしか話を追っていないので同人誌販売対決の決着がついたのかどうかも分かりませんが、仮に決着がついたとしても物語自体はまだ続いていくことが予想されるのでこれ以上惰性で買い続けるのもアレですかね、と。



>「ポケットモンスターSPECIAL
ご存じゲームのポケットモンスターの世界観でゲームに登場するキャラクターを元に冒険の旅に出る主人公たちを描いた物語。ゲームソフトが時代を経て変遷していくように章を分けてあり、初代ならレッド、金銀はゴールド、という風に主人公が章ごとに変化していきます。ただ、物語の進む速度よりゲームの発売速度の方が早く、現在は単行本だとBW編の終盤にあたります。
私が最初に読んだのがいつだったか覚えておりませんが、学年誌の連載で一番最初に読んだ回が第2章のイエロー編のラストだったような気がします。それから友達に借りて読むようになり、新刊が出る度に借りていたところをルビーサファイア編のラストが気になって22巻を借りる前に自分で買った経緯で前後を集めることにしたという記憶があります。
とりあえず、読み返した感想として一番印象的だったのは「ポケモンがかっこいい」と思えたことでした。今でこそ「ギャラドスロトムに10万ボルトされたら簡単に倒されるし、プテラハッサムバレットパンチで即死するし」という風に対戦ばかりしてるせいでポケモンをデータ的にしか捉えられていませんが、レッドがプテラを復元させたシーンでプテラがレッドを鷲掴みしながら勢い良く飛び上がりそのままファイヤーと戦う描写を観ていたら普段考えている数値的な話を意識することなく迫力あるポケモンがぶつかりあっているのに惹かれました。
ゲームの世界観を使用しているだけで、ポケモン図鑑に書かれているような能力をポケモンが発揮したりジムリーダーが悪の組織と手を組んでいたりとオリジナリティに溢れているところが面白いですね。金銀編ではカントージョウトのジムリーダーの対抗戦を描いていたりとなかなか盛り上がります。
ただ、ルビーサファイア以降はゲーム本編の中で悪の組織が伝説ポケモンを呼び寄せて主人公はそれと対峙するという物語が出来上がっているため、作品ストーリーもそれに即した形となり序盤のようなオリジナリティは見られなくなりました。それもあってか、章が進む度にジムリーダーや四天王はかなり存在感がなくなっています。
それで盛り上がりに欠ける点は全然気になりませんでしたが、作品が進むほどに作画の出来が悪くなっていくところで熱が冷めてしまった気がします。イラスト担当は金銀編で一度変わっていて、そこではあまり気にはなりませんでしたが、FRLG編でレッドの笑顔を観た瞬間に「これは酷い・・・」と率直に感じてしまうほどで、顔の形・体型(特に女性キャラの胸の描写と満面の笑みの表情の描写)に違和感を感じることが多いです。なんて言う割には一番好きなキャラクターであるマグマ団のカガリは作画が酷かったことがないどころか全部画が綺麗だったりするので不思議です。
HGSS編だけコンセプトみたいなものが見えないように思えました。ゲームのリメイク版にあたる物語は今までの章で登場した図鑑所有者を描くことになるので、FRLG編では図鑑所有者として図鑑との向き合いについても描かれていましたが、金銀リメイク編ではゴールドのトゲピーとの向き合い方やシルバーのロケット団との向き合い方を描いたもののなんだか弱かったような気がします。
ゲーム本編でストーリーに自然と伝説ポケモンが絡むようになってオリジナリティは弱くなったものの、サカキのジムを引き継いだグリーンがサカキの息子にあたるシルバーの図鑑所有者の換える者としての能力でサイドンドサイドンに進化させる、そのドサイドンとシジマのカポエラーが向き合った際にジムリーダー対抗戦で戦った記憶があることなどなど、ゲーム作品が続くにつれて進化や登場キャラの設定が変わったりするのに、その結びつきをうまく行っているという印象は変わりませんでした。まあ、細かい話をすれば、ルビサファ編でアオギリマツブサとの最終決戦をする際に「マボロジ島で練習したコンビネーション♪」なんて笑ってる場合じゃないし、ミュウツーの一人称というかキャラ変わってたりで気になる点もあるのですが((
コミックではまだBW編が描かれていますが、XY編が新たに1巻という形でスタートしているという噂を聞きました。また、ゲームではルビーサファイアのリメイクが発売されることになりましたが、作品の中で既にマツブサが死んでアオギリが消滅してしまい現時点では新しい伝説ポケモンもいないままですが、リメイク編で何を描くのかは気になります。カガリが出てきたら考えるかもしれません((


>「ドラベース
初めて買った作品でした。ドラえもんのいる22世紀の野球は今とほとんど変わらないですが、1試合に指定された3つのひみつ道具を1回ずつ使ってもよいというルールが追加され、そんな22世紀のネコ型ロボットの一人(?)であるクロえもんを中心に所属する草野球チームの戦いを描いた物語。
内容はコロコロコミック読者向けで難しいことは考えずに魔球を駆使したりひみつ道具で逆転を狙ったりする投打の勝負が描かれていて、ちょうど野球にハマっていくときにコロコロコミックで出会い、昔はこういう純粋(?)な野球が好きだったので面白かったです。
ダメダメだったチームがようやく初勝利を収めて、ライバルであるシロえもんと勝負。ドランプという新たな相手が登場して、新魔球を習得したシロえもんに再度勝負・・・というのが全体の主な流れでシロえもんのホワイターズとは三度対戦することになります。単純ではありますが、読み返してみると意外と面白くカブトムシ杯までの流れは次々と新たな相手が現れる感じが好きでした。それに慢心したドラーズの心に火をつけるために二軍ドラーズ編を持ってきた展開も良かったのですが、二軍ドラーズは小物感というかモブキャラっぷりがすごいイメージしか残っていないせいでなんかちょっと残念でした。
モブキャラと言えば、野球は9人でやるスポーツなので相手チームのメンバー全員に一応名前が振られているのですが、ホワイターズなら東京都の地名を選手の名前に使っていたりなどしてその辺りも面白いですし作者もそうやって打順を考えたり漫画に載せていない部分のスコアを考えていたりしてそうで野球が好きな感じがすごく伝わってきました。
しかし、22世紀という夢のある舞台を用いていて基本的になんでもありなので、もしもボックスで「サッカーと野球が一つのスポーツになったら」という話があったり、今まで対戦したキャラクターが日本代表となって世界大会を行う展開もありました。どちらもちょうど開催されていたワールドカップWBCにあやかりたいだけの印象が強く、物語の練られ方が序盤に比べると足りていないように思えてあまり楽しめず、面白くないのを続けるくらいならきれいに早く終わってほしいとばかり思っていました。
そういえば、なぜクロえもんは4番ではなく5番なのでしょうか。一般的には4番打者が一番の強打者とされており、数々の名勝負を繰り広げた実力のあるクロえもんが4番を打ってもおかしくないようには思えます。作中的な話だと、エーモンドがチームに入るときにクロえもんとホームラン競争をしていましたが、描かれていなかった部分でこの勝負に勝ったエーモンドが強打者の代名詞である4番打者を打つことになったのかもしれませんね。物語の都合的な話だと、7イニング制の草野球は最低でも2人出塁すれば5番のクロえもんに打順が回ってきます。これが4番だと1人出塁すれば必ず3回目の打席が回ってくることになるので試合全体を考えたときに5番打者にいる方が打順が回ってこないかもしれない緊張感を描ける気がします。また、1回を三者凡退に抑えて4番のエーモンドですら凡退、という流れからクロえもんとの勝負を描けるというのもあるかもしれません。もう一つ理由があるとすれば作者が5番サードという響きに特別な想いがあるというものが考えられるのですが、モデルとなる人物はなかなか思いつきませんでした。


>「BAMBOO BLADE
ここまでの作品とは違って、読んだことが全くないけど面白そうだという理由で買った作品です。面白そうというか表紙画がすごく好きだったからですね。日々貧乏生活を送る高校教師が「顧問をしている剣道部の試合で勝てば1年間寿司食べ放題」という賭け勝負をするために女性部員を5人揃えることになり、その中で出会った実家を道場とするヒロインを中心に女子部員のゆるい日常や成長を描いた物語。
表紙が好きだという理由で1巻を買ったら面白かったのでじゃあ2巻・・・という風に7巻くらいまで買っていったのですが、バニッシュ学園編が始まってからアレになったというのが個人的な印象でした。榊ウラなどのキャラクターが増えたことはともかく、ブラックデュランの話などその導入部分が無駄に長すぎたように思えます。その急転した印象があまりにも強く中盤以降はとにかく面白くないという印象しかなかったので、あらためて読み直したときは「思っていたほどつまらなくはないかな・・・」という感想が垣間見えるほどでした。
剣道はかなり幼いときに1年弱やっていただけで何も覚えていないので結局ほとんど経験がないに等しく詳しいことは分からないのですが、ゆるい日常を描きつつ少しずつ成長している日常を描いている感じがすごく好きでした。表紙画や大事なコマは気合いを入れてきれいな画を描いていてそうでないコマはデフォルメでうまく誤魔化しているためか作画(?)が乱れている場面がほとんどないように思えて、心穏やかに読み進めることができます。
そういえば、すごく気になっていたのは川添父の年齢です。まずおじいちゃんだと思ってずっと見ていたのですが、どうやら48歳らしいのです。娘が16歳で妻は娘が幼いうちに20代の若さで亡くなっているという設定を見る限りは割と歳の差のある結婚だったのだなと思いました。
女の子がいっぱい登場する漫画の多くはキャラクターの人気投票をやっていることが多いイメージがありましたが、この作品ではなさそうですね。部内だけでも個性豊かなキャラクターがいるので、どのキャラクターがどれくらい人気なのかは気になりました・・・と思っていたらアニメ版では人気投票企画をやったみたいなので、アニメ版での描写を観てみるのもよいかもしれませんね。


>「野球狂の唄」
昔、特に頼んでもいませんが買い与えてもらった作品です。画の感じや世代が古そうなことから当時はどこかのお土産なのかと思ってしまいましたが、今思えば普通に中古品として全巻セットで販売してそうです((
プロ野球セントラルリーグに所属する架空球団・東京メッツに在籍する50歳左腕・岩田鉄五郎をはじめ、何かしら野球の魅力に憑りつかれた野球狂たちを描いた物語。当初読み切りだったものが途中から連載化したということで、全17巻のうち10巻の途中までは読み切り作品で構成されているため1話ごとに主人公となる人物が違います。10巻途中からは連載化されてからの作品で史上初の女性選手・水原勇気プロ野球の世界に立ち向かっていく様を描いた物語となっています。
水島新司作品は「ドカベン」「大甲子園」「一球さん」「男どアホウ甲子園」「球道くん」と結構読んだことがありますが、先に挙げた「ドラベース」同様に夢溢れる真剣勝負を描くのでホームランか三振かというような展開は多く、それが昔は好きでした。その後、「落合博満の超野球学」に出会ってバッティングの理屈を論理的に解説しているのを見てからは野球をする上でも頭を使ってやることが非常に重要だということに気付き、野球に対する考え方が変わって野球漫画に対する考え方も変わったようです。三振かホームランかという現実には起こりえなさそうな非現実的な野球をしていても「ドラベース」と違ってひみつ道具や物理法則を無視した魔球が飛び出したりする点では現実的な野球に即してはいるので、その割り切りがしづらいという点でリアリティーのなさを感じてしまうでしょうか。
読み返してみて私が面白いと感じた物語がたいてい女性キャラ絡みだったことが印象的でした。実力はあるのにライバルと同じ高校に入ってしまったせいで登板機会がないまま2番手に甘んじていた富樫平八郎とそれを想う幼馴染を描いた「ウォッス10番」、メッツのエース火浦とそれに恋する一人のファンを描いた「狼の恋」、そして連載編である「野球狂の詩」、と何かしら女性が絡んでいます。どうやらそういう要素が絡んでいないとリアリティーのなさを感じて共感できる点を感じられていないのかもしれません。
とはいえ、50歳越えてもなお現役の投手、アルコール中毒投手、乞食、5年間あて馬の野手、歌舞伎役者、ハゲをコンプレックスに抱えたパフォーマー・・・などと個性的な選手に溢れて、中には用具係やファンにスポットを当てた物語もあったりと良い意味で野球に人生を狂わされたキャラクターの思いが詰まっています。今はあまり面白いと感じなくなりましたが、こういう作品を経て今の私の野球観が形成されていることを見ると引退を労うかのような気持ちになれた気がします。
1箇所だけ不可解だった点は帯刀がドリームボールのサインを出したにも関わらずそれを投げなかったことを追及する場面で「ドリームボールはありません…」と水原が言った後、急に岩田鉄五郎の考えを理解してそれがチーム全体に波及している展開になっていて、しかも実際にはドリームボールを完成させていたという事実もあり、ここの展開で各キャラクターがどういう心情の変化を経たのかが掴みきれていません。


5作品のうちポケスペルビサファ編まで残す予定で、それ以外を処分したとして全部で約120冊くらいでしょうか。残り所持しているのが100冊程度なので、冊数で言えば思ったよりも減りませんでした。


今回の5作品のうち4作品に共通しているのが「単行本を買い始めた時期が連載途中である」という点です。手元に残っている漫画を見てみても、1作品を除いて連載終了後に買い集めたものとなっていました。
これは私が作品の面白さを評価するときに物語の終わり方をかなり重要視しているからで、最後まで見届けて良いと思った作品はその評価が変わることはありません。その点、今回処分した作品は購入するまで面白いと感じていたものの、その後の展開が好きじゃなくなり全体を通しての評価が落ちてしまうため手元に置かなくても良さそうだと思った側面は強いです。


漫画に限った話ではありませんが、やはり漫画は幕を閉じてから買い集めるべきですね。