「逆転裁判6」の感想

逆転裁判シリーズの最新作である「逆転裁判6」の感想。


逆転裁判を初めてプレイしたのは昨年7月のことで、成歩堂セレクションから入り秋ごろには続編の4,5をプレイ。今年の頭には逆転検事シリーズを2までプレイして、春からはアニメがスタート、そして6月・・・という綺麗な流れで逆転裁判6の発売を迎えました。
シリーズ5までプレイした感想として「1〜5まで成歩堂龍一の生き様を描いていると思っていて、新米弁護士として法廷に立ってからの成長・挫折、千尋から受け継いで貫き通した弁護士としての姿勢を次の世代に伝える…まで描ききったように思えていたので、シリーズ6の発売は少し蛇足的な面があるのでは?」と思っていたので、シリーズ6で何が描かれるかが楽しみでした。


○プレイしたゲームタイトル

タイトル ハード 初回プレイ日 クリア日 プレイ時間
逆転裁判6 3DS 6/9 6/20 21:46

(プレイ時間などは3DSのおもいで記録帳より)
(クリア日・プレイ時間は本編の第5話終了時点)


○全体的な感想

  • 先述の通り蛇足を心配していたが、全体を通して期待以上に面白かった
  • クライン王国の設定は逆転裁判のコミカルさであっさり受け入れられた
  • 1点だけ期待していた要素があまりなかったのはちょっと残念
  • 難易度はシリーズ5と同程度、新システム「御霊の託宣」がやや難しく良いアクセントだった
  • (とは言っていますが、ゲームオーバーはたくさんしました…)
  • 事件の真相に辿り着く際にカンガエルートに頼り過ぎな感じはある…物語としては面白いけど謎解き展開としては微妙…?


冗長になる部分は続きから(ネタバレあり)。


○第1話「逆転の異邦人」
○第2話「逆転マジックショー」
○第3話「逆転の儀式」
○第4話「逆転寄席」
○第5話「逆転の大革命」
○早期購入特典「遊べる!逆転劇場」
○追加シナリオ「時を越える逆転」



○第1話「逆転の異邦人」
【あらすじ】
霊媒師としての修行を終える真宵を迎えにクライン王国を訪れた成歩堂。しかし、真宵の元まで案内してくれるはずだったガイドの少年が殺人容疑で捕まってしまい、裁判が行われることに。被告の弁護士がいない上に弁護罪という罪状まで存在するクライン王国の法事情で、成歩堂は少年を助けるための弁護を名乗り出る。
【感想】
過去には証人としてインコを証言台に立たせたこともあるくらいの世界観として、クライン王国という設定を案外あっさり受け入れることができました。被告人の名前がボクト・ツアーニとなっているように、人物名をカタカナで決められると本当に何でもありですね()
裁判の新しいシステムとして取り入れられた御霊の託宣も意外とすんなり入りました。死者の最後の瞬間を見ることができるという面白いシステムで、初登場のためか難易度は意外と高く感じました。被害者が殺されるときの感覚が「痛い」と表現されるのはなんだかシュールです。
探偵パートこそなかったものの「1話はチュートリアル」という風ではないボリュームで事件としては面白かったです。ただ、成歩堂に対して「死刑!死刑!」「殲滅せよ!」とうるさい傍聴席だけ煽りが無駄に強すぎると思いました。


○第2話「逆転マジックショー」
【あらすじ】
オドロキとココネはみぬきが出演する或真敷一座のマジックショーを観に行くが、脱出マジックの最中に殺人事件が起こり、脱出するカンオケに剣を突き刺したみぬきが殺人容疑で捕まってしまう。成歩堂がクライン王国滞在で不在の中、オドロキはみぬきの無実を証明するために弁護をする。
【感想】
オドロキ君が一人前に成長した証がテーマだと思うのですが、シリーズ5まで成歩堂の物語としてしか見ていなかったので、オドロキ君の成長に全く興味がなかった私・・・(
1話目にボリュームがあったからなのか、少し物足りない感じはあります。探偵1日法廷1日の後に別事件が発生するのかと予想していたくらいでした。登場人物が少なかったこともあり、真犯人自体は分かりやすかったですね。
この回でアカネが登場するのですが、彼女がちゃんとカガク捜査官になっていたことの方が驚きでした。蘇る逆転でヒロインを経験しながらも、シリーズ4では初動調査で弁護側に証言のムジュンを突きつけられる刑事という微妙な位置付けになっていただけに、ちゃんと一人前になってくれて良かったです。
宝月茜が27歳で独身と聞くと、人生にまだ希望が見えてくる」(曖昧)という発言は個人的に結構ツボ((←作中のネタではない


○第3話「逆転の儀式」
【あらすじ】
遂に、成歩堂と真宵が再会。真宵は修行の最後の儀式に臨むが、儀式の最中に殺人事件が起きてその場に居合わせた真宵が逮捕されてしまう。真宵の無実を証明するために、弁護罪という制約がありながらも成歩堂は再びクライン王国での弁護に挑む。
【感想】
3話目まで来たわけですが、ここまで自分の親しい人の無実を証明するために弁護する事件しかありません。
シリーズ1,2,3でヒロインだった真宵がようやく登場。オドロキが「あの伝説の助手…」(曖昧)と言っていたのですが、伝説級だったんですね・・・。「綾里真宵(28)」を見て、遂に千尋の年齢に追いついてしまったことを悟りますが、個人的に好きな部分である「ちょっとダサくて、正統派(?)的なかわいさはないところ」は変わってなくて良かったです。因みにですが、逆転裁判キャラの詳細設定なるものがあるらしく、それを見る限り真宵は細く可愛い正統派ヒロイン的なスリーサイズ設定になっていて、実写やアニメで桐谷美玲悠木碧が起用されていることに抱いていた疑問が解決しました。
事件に関しては、物語の傾向を掴んだのか真犯人の予想はついていたのですが、真相はなかなか見えないままでした。終盤で「死んだ人間に霊媒して証言を求める」という展開があり、これができるなら苦労しないじゃないかと思いながらも、過去のDL6号事件みたいに死んだ人間が生きてる人間を庇う形になっていて厄介でした。
そういえば、霊媒している最中は顔や体格まで変化すると言いますが、真宵が祭司さんに霊媒している間に上半身を露わにするので、霊媒後どうなってるのか気になってました・・・(


○第4話「逆転寄席」
【あらすじ】
落語家の楽屋で殺人事件が発生。事件発生時近くにいたユガミは、殺人容疑のかかった知り合いの無罪を証明するため成歩堂なんでも事務所に依頼をするが、成歩堂もオドロキも別件で出払っていたため、ココネが担当弁護人になることに。頼れる上司・先輩が不在の中で、ココネ一人で法廷に立ち向かう。
【感想】
ココネがユガミと対決するのかと思っていたらユガミは検事席に立たず、ナユタが再登場。時系列が分からないですが、話数順だと日本→クライン→日本…とかなり往復していて大変そうですね。
主人公の一人でありながら、今作見せ場の少ないココネを描くための物語…と解釈しています。ただ、ココネはシリーズ5で自分の過去を乗り越える経験を既にしてしまったため、今後は一人前になる成長を描くしかなく展望は難しそうですね・・・。
この事件も登場人物が少ないことから犯人候補も少なく、法廷パートのみで解決する事件でしたが、事件の鍵を握るのがうどんと蕎麦という逆転裁判らしいコミカル要素を含んだ物語になっていて、テンポ良く進められて楽しかったです。


○第5話「逆転の大革命」
【あらすじ】
クライン王国で遂に革命家ドゥルクが声明を挙げる。その様子を事務所のテレビで観ていたオドロキだが、なんとそのドゥルクが目の前に現れる。始祖の宝玉が革命の鍵を握るらしく、その研究をしている博士に会いに行くが、彼は命を落としてしまっていた。そして、始祖の宝玉の所有権を巡る裁判、その先にあるクライン王国の法制度に対してオドロキと成歩堂で真相を解明していく。
【感想】
2話目を終えた時点で「オドロキ君の成長に興味がなかった」と思ってましたが、今回の主役はオドロキ君なんですね。てっきり成歩堂を主役に真宵との関わりが趣旨だと思い込んでいたので、最終話まで気付いていませんでした。そして、段々と増えていくオドロキ君の過去のご都合設定((
展開的に一番熱かったのは、やはりオドロキvs成歩堂の裁判。これまで刑事裁判しか扱っていなかったので考えてませんでしたが、民事裁判なら確かに弁護士vs弁護士の構図ができますね。オドロキを操作して成歩堂に勝たなくてはいけないわけですが、負けてしまう成歩堂にもちゃんとワケありなところを用意していたのは良かったですね。
クライン王国での事件も霊媒を利用した華麗なトリックとなっており、それに気付いたときには理解してスッキリした感覚とよく考えられたトリックに対する感銘でDSを握りながら一人で盛り上がってました。
個人的に一つ残念だったのは、真宵が霊媒トリックに関わっていた以上の役割がなかったことです。シリーズ3以来に満を持しての登場かと思われたのに、容疑をかけられたり誘拐されたり・・・。オドロキに「伝説の助手…」と言わせるほどのキャラクターであったにも関わらず、成歩堂の助手として活躍する様子がなかったのはちょっと残念です。逆転裁判6がオドロキの物語だからと考えると仕方ないですが、そうするとパッケージ画は真宵ではなくレイファで良かったような・・・うーん。。


○早期購入特典「遊べる!逆転劇場」
【あらすじ】
第5話の後日談でありながら本編とは少しずれた世界で送るショートコメディストーリー。
まずは成歩堂編。クライン王国を観光中の成歩堂は、「裁判所で面白そうなことがある」と真宵に連れられて、そのまま弁護席に立たされる。すると、検事席にはなぜか御剣の姿が。そして、裁判所の係官に変装していた革命派が裁判所をジャック。更には、王女レイファの身を差し出せという要求に対して身代わりとして自分がレイファだと名乗り出る春美。そんな状況で時間稼ぎのために成歩堂は春美がレイファ様だという主張を通すため尋問を開始する。
そして、こちらはオドロキ編。日本を訪れていたクライン王国の王女レイファを案内していたガリュウとオドロキ。翌日のクライン王国での予定のため帰国する時間が迫っていたが、どうやらレイファには行ってみたい場所があるらしく滞在を延ばしたいと駄々をこねる。しかし、その行ってみたい場所がどこなのかがはっきりとしておらず、イベントで開放されている裁判所を借りてレイファの延泊を勝ち取るために彼女が行きたい場所がどこなのか、オドロキは尋問を開始する。
【感想】
追加シナリオがあると聞いていたので、時間があるときにやろうと身構えていましたが、こちらはコメディでした。春美やガリュウなど昔からのキャラクターがちゃんと登場するので面白かったです。
成歩堂編から始めたのですが、このときはまだ小さな物語だと気付いていなかったので春美を尋問するコメディ調のままテロリストとの駆け引きが続くのかと思って結構期待しちゃっていました((
オドロキ編は短編物語と分かった上でスタートしたのですが、オチが読めなくて何を突きつけるべきか難しい場面があり、あやうくゲームオーバーになるところでした((


○追加シナリオ「時を越える逆転」
【あらすじ】
成歩堂事務所に矢張が花嫁姿の女性を連れてきた。どうやら花嫁は殺人容疑で追われて、たまたま居合わせた矢張と共に逃げてきたようで、その上タイムトラベルを経験したと供述している。警察にあっさり事務所を包囲されてしまい彼女の身柄は引き渡すことになったが、彼女の無実を証明しタイムトラベルの正体を明らかにすべく成歩堂は弁護を引き受ける。
【感想】
無料追加シナリオということで、こちらは時間をちゃんと確保して一気にやりました。
本編の後日談という設定で、成歩堂の助手に真宵がつき検事席には御剣が立つ、懐かしいメンバーで構成されています。これまで書いてきたように「ようやく真宵を再登場させたのに成歩堂との絡みが薄い」というのが逆転裁判6の感想としてあったので、懐かしい感じを楽しむことはできました(が、本編かどうかというのは意味合いが違う)。それにしても、ココネの扱いがかなり酷くなってましたね・・・主人公3人体制の弊害にも思えます。
事件に関しては、「発想を逆転させる」ことが身についてきたのかタイムトラベルのトリックに関してはすぐに察することができましたし、十文字が婚約者であることもすぐに気付けたので、大枠としてはあまり苦労しなかったです。無難に面白かったですが、登場人物が少ないせいで、すぐに犯人が特定されてしまうのは少し楽しみを少なくしているでしょうか。


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今回の感じだと逆転裁判はまだ終わりというわけではなく、またそのうち続編があってもおかしくなさそうですね。今回のクライン王国で「新しい設定を作ってしまえば物語自体は作れる」ということもよく分かりました。
ただ、逆転裁判7が出たとして何をテーマにするのかは難しいように思います。1〜5までで成歩堂の生き様を描き、その意志を受け継いだオドロキは一人前に成長して独立、ココネは初登場の5で既に過去が描かれている・・・「今のキャラで何をテーマにするかではなく、何をテーマにしたいかでキャラを決めるの」と発想を逆転させると新主人公登場ですね((