2020年夏秋冬ドラマ感想

2020年夏~2020年春ドラマの感想です。
しばらく書いてなかったので、まとめました。因みに、2020年春は最終的には何も観ていなかったので抜ける形になっています。

 

<2020年夏>
「私たちはどうかしている」

<2020年秋>
「リモラブ~普通の恋は邪道~」
「ルパンの娘2」

<2020年冬」
「知ってるワイフ」
「ウチの娘は、彼氏ができない!!」

 

 

○「私たちはどうかしている」

【主演】
浜辺美波横浜流星

【あらすじ】
七桜の母は老舗の和菓子屋・光月庵に住み込みで働き、七桜も光月庵の若旦那の跡取りとなる椿と仲良く過ごしていた。しかし、ある日若旦那が殺されてしまい、その容疑者として七桜の母が捕まり、七桜と椿は離れ離れになってしまう。
そして、15年の月日が流れて二人は和菓子職人として再会するが、椿は七桜があの七桜であることに気付いておらず。そして、光月庵を守るために家族に取り決められた婚約を破談にしたい椿は初対面の七桜に結婚を申し込む。一方の七桜も母親の「私は何もやっていない」という手紙の真相を探るため、光月庵に潜り込む口実として申し出を受け入れて、二人の光月庵での共同生活が始まる。

【感想】
主演2人の容姿が好きという理由だけで視聴しました。和菓子屋を舞台に和装の二人を交えて画の美しさを訴えかけるための作品だと思っていて、話が飽きない程度にミステリー要素を持たされているような印象でした。
という視聴前の期待通りの内容だったと思います。前半は偽装結婚の形を取りつつも徐々に惹かれ合う二人の様子を描き、後半でミステリーとしての要素を回収していく流れ自体は良かったです。とはいえ、真相を探る目的で偽装結婚するところから始めているので、序盤が和菓子屋での修行中心だとどうしてもテンポが悪く、早いうちからミステリー要素を取り入れる方が話としては面白かったようには思います。
ミステリー要素で物足りなかったのは真犯人だった多岐川薫のキャラクターでしょうか。七桜の父母が光月庵で再会して愛を育んだのを元凶に、椿の母が地主の多岐川と不倫をして、そのせいで家庭崩壊した多岐川家の息子が光月庵に忍び込み事故で若旦那を刺してしまった(そして母を苦しめたくない一心で自首できなかった)・・・という具合で複雑に絡み合って事件は起きましたが、真実を話すシーンでは普段大人な立ち振る舞いだった薫がとても幼くなったように見受けられて、タイトルにある通りの狂気感をもう少し醸し出してほしかったなという思いはあります。
あと多岐川さんと言えば唐突に七桜に告白するのですが、この展開がどうして必要だったのかもよく分かりませんでした(椿に想いを寄せる相手が他にいたことと合わせての対比だとは思うものの、元婚約者と一回り上のミステリアスな男では対比にならない)。

 

○「リモラブ~普通の恋は邪道~」

【主演】
波瑠

【あらすじ】 
世間は未曾有の新型ウイルスに苛まれて、人々の生活様式は一変。主人公も在宅勤務の中で人と会わないことへの寂しさや先行きへの不安を募らせていた。そんな中、オンラインゲームで檸檬という人物と出会い、何気ないやり取りを重ねるうちに少しずつ気持ちを持ち始める。そして、ある日お気に入りの写真を送り合う中で、その風景から同じ会社の人間であることを知り、檸檬の正体を探るために情報を集め始める。

【感想】
あらすじを見て檸檬の候補として次々現れるダメ男にツッコミを入れていくコメディを想像して面白そうだと思ったこと、現実に即した世界観を描こうとすることへの関心などから視聴することにしました。自分が好きな作品である「世界一難しい恋」のスタッフが作成することやそれに出演していた波瑠が主演なことも理由にあります。
ということで、視聴前の期待値は高めだったのですが、実際はイマイチでした。SNSを通じて出会っただけで奇抜さはなく、不器用な二人が寄り添っていく普通の恋だったので終盤は決して悪くはなかったのですが、序盤はリアリティに欠けたり薄っぺらいシーンが多くしんどかったです。
一番最初に気になったのは主人公がナーバスになるのが在宅勤務1日目だったことです。慣れない生活を続けていくうちにそういう気持ちになるなら分かるのですが、その点が粗雑にしか感じられず、現実に即した世界観を描くのにリアリティがないのが気になってしまいました。また、同じように不安を持つ視聴者の共感や安堵を目的にしたニューノーマルあるあるを取り入れているのですが、そのせいか登場人物の多くが同じような癖のあるコメディをするところも気になりました。
中盤の段階で檸檬の正体がはっきりして普通のコミュニケーションが始まったので、それ以降は普通の恋愛ドラマとして観ることができましたが、目新しい設定を活かしきれていないところで自分の中では評価が上がりませんでした。

 

○「ルパンの娘2」

【主演】
深田恭子瀬戸康史

【あらすじ】
Lの一族と呼ばれる怪盗一家の娘・三雲華と警察一家の桜庭和馬は結婚を約束。世間にはLの一族は全滅したと見せかけて華の素性を隠しながらひっそりと新婚生活を送っていた。一方、京都の探偵一家・北条家の美雲は祖父が火事に巻き込まれて亡くなった事件でLの一族が生存している疑念と憎しみを抱く。
そして、8年後。華と和馬の間に生まれた娘は小学生になり、美雲はLの一族の手掛かりを辿るために警察となり和馬のいる所轄へと配属される。二度と泥棒をしないと決めていた華だったが、様々な事情で致し方なくLの一族として活動することになる。

【感想】
2019年に放映されたドラマの続編になります。どことなく感じるサブカル感とコミカルな感じが面白かったので、単純に続編が気になったのが観るきっかけです。
一期の感想が「将来見返したりしなさそうだが退屈せず面白かった」で、二期もおおよそ同様ではあったものの、一期の方が面白かったかなという印象です。一期の面白かったポイントとして円城寺のミュージカルを挙げていたのですが、二期はそれが少しうるさく感じてしまいました。どちらも毎回ミュージカルをやるのがお決まりにはなっていますが、一期の円城寺は華を支えつつ想いを寄せるキャラクターとしての役割があり、そのやり取りをミュージカルで表現することに面白さがありました。それに比べて二期は華が既に結婚してしまっているため、呼ばれてないのに不用意に登場して騒がしくする感じがイマイチだと思いました。
あとは単純に映画をやる前提で話が終わってしまったのも二期トータルとしてはマイナスです。実質的な最終回の後に伏線回を最終話として設けて映画に繋げるという戦略はあまり好ましくないでしょう。特に二期のラスボスとして出てきたキャラクターの一部は映画でも登場することとなり、ドラマだけでは背景が伝わってこなかったことが盛り上がりに欠けたかなと思います。
コミカルな部分は相変わらず面白くて、華の兄である渉が北条美雲に恋する設定が個人的には好きでした。ただ、橋本環奈の京都弁は頑張って喋っている感があったので無理して設定に組み込むことはなかったのになぁとも思いました。

 

○「知ってるワイフ」

【主演】
大倉忠義、広瀬アリス

【あらすじ】
主人公・剣崎元春は大学生のときバスで財布を落とした女子高生・建石澪を追いかけたことから知り合いになり、その後結婚して2人の子供と生活を送っていた。しかし、明るく天真爛漫だった澪は元春に怒りを露わに苦言を呈するモンスター妻となってしまった。元春が我慢の限界から離婚を決意したある日、怪しい男から貰った500円玉で不思議な料金所をくぐると、澪と出会う日にタイムスリップしていた。
【感想】
私がタイムリープ系の話が好きなこともあって、単純にあらすじを見て面白そうだと思ったのが理由です。原作は韓国ドラマのようで、日本のドラマだと10話程度に収めなくてはいけないのは少し制約でしょうか。なお、複数回過去に戻るため、以降n回目の世界のことをt-nして書くことにします。
最終話の駆け足感はありましたが、全体通してみて割と面白かったです。t-0でやり直した元春がt-2で澪をモンスターにした原因が自分にあることを知り、t-3でようやく澪と生きる決心をする王道のハッピーエンドではありますが、ちゃんと別世界との対比を用いることでキャラクターの成長を描けていた部分は良かったと思います。
欲を言えば、t-0の澪も過去に戻って自省をする経験があると良かったでしょうか。t-3で元春と結婚した澪は恐妻家になってしまったt-0の澪ではなく、t-2から元春と同時に過去に戻った澪です。これだけ聞くと元春が幸せにすべきはt-0の澪ではないかと思いますが、この物語ではt-0で二人が上手くいかなかったのはお互いに原因があるとして、t-3で二人が思いやりを持ったからこそ幸せになれたという話になっています。なので、澪にもそういう成長があると良かったのですが、t-2の澪は父親を亡くした高校時代に元春と出会わなかったことにより自立して、更に元春からt-2以前の事情を聞いたときに「依存していた私にも原因がある」と豊かな想像ができるようになっていたことで、t-3でのハッピーエンドに繋がったように見えます。この辺りは尺不足の事情もあるため仕方がなさそうですが、もう少し描かれていると良かったです。
因みに、物語の大半は元春が澪の苦労を知るt-2世界なのですが、t-2の中で描かれた銀行内の脇役キャラの掘り下げは最終的にt-3では活きない話だったので蛇足だったなと思います。

 

○「ウチの娘は、彼氏ができない!!」

【主演】
菅野美穂浜辺美波

【あらすじ】
水無瀬碧は若い頃に大ヒットして恋愛小説の女王として名を馳せていたが、近年は下火となってきていた。一方、女子大生の娘・空はアニメや漫画を好みオタク生活を満喫していた。ある日、碧は連載打ち切りを告げられて新作のアイディア出しに困窮するが、そこに空が「オタクで婦女子の私が恋をする話を描けばいい、だから私が恋をする」と宣言する。
【感想】
浜辺美波が出演しているからという理由で観ようと思ってたもの録画できておらず。周りの評判も悪くはなかったので、Huluのお試し期間を利用して一気に観ることにしました。
が、個人的にはあまり面白くなかったです。母と娘、母代わりと父、父と娘、幼馴染同士、作家と編集者、娘と彼氏、作画と原案、・・・登場人物に色々な関係性があって最終的には全ての関係に一段落ついているものの、何を描きたかったかの焦点が絞られておらず、響いてくるものがなかったです。特に父親は設定自体も終盤付近にフラッと現れたと思いきや、そこから生まれる関係性の深堀りが突然始まり、見ている側からすれば急に主題が変わったようで慌ただしく見えました。
唯一良かったのは空と一緒に漫画を作った同級生の光との関係性でしょうか。大学デビューに成功して少し派手な学生生活を送る光が空に奥ゆかしく想いを寄せつつ寄り添って支えるだけで好意は伝えない、一方の空もオタク趣味を持つ仲間として接しつつも一緒にいる居心地の良さを感じていく…この関係だけが物語の序盤から最後まで存在しつつ変化を感じられました。また、主題歌が「空と青」というだけに母娘の関係性も本来主軸の一つで、二人が友人のように過ごす姿は微笑ましく良かったです。ただ、元より仲睦まじい関係だったので、これも二人が本当の親子でないエピソードに絞って絆を深めた描写をより強く演出していく方が良かったと個人的には思います。
空のオタク設定があってないようなものだったり、登場人物のほとんどが碧の小説に思い入れがあったり、空の出生をはじめ真実を語った後「実は嘘を伝えました」みたいな場面がいくつかあったり、所々に浅い設定が目立ったのも気になるところでした。あとは整体師の渉先生は最後まで扱いが雑だったと思います。空と別れた後に小学生のときの約束の相手からの連絡を仄めかすエンディングで終わるのは良いとして、なぜそのワンシーンを最終話の中盤にシーンに持ってきたのかがとても気になりました。