ヤドキング(ガラルのすがた)の基本的な育成論

【概要】
種族:ヤドキング(ガラルのすがた)
種族値:H95-A65-B80-C110-D110-S30
タイプ:どく・エスパー
特性:きみょうなくすり/マイペース/さいせいりょく

 

【特徴】
毒・エスパーと稀少なタイプを併せ持ち、弱点が地面・ゴースト・悪と少なく、種族値のバランスも非常に良い。中でも特殊耐久に優れていて、特性の『さいせいりょく』も相まって定数ダメージで簡単に疲弊しないところが強力。また、特攻の種族値も高く、覚える技のレパートリーも多いので、有利なポケモンと対面してから相手の後続のポケモンに負担を掛けたりこちらが隙を見せることも少ない。
シングル66では序盤はサイクル戦になりやすい(手持ちが6匹いるためお互いに相手の場にいるポケモンに有利なポケモンを用意しやすい)こともあり、「特殊主体のポケモンに繰り出す→火力を活かして相手を攻撃→交代(『さいせいりょく』発動)→特殊主体のポケモンに繰り出す→…」という形で、サイクルの中で回復行動を挟まずに相手にダメージ負担を与え続けられる点が非常に強力である。

 

【有力な持ち物】
とつげきチョッキ
→特殊ポケモンへの繰り出しを安定させるアイテム。攻撃技しか使えなくなるものの、特攻が高く技範囲も広いのでさほどデメリットにならない。HP振りで特殊ダイマックス技を2発耐える程度の耐久を確保できるので、特攻に努力値を回しやすい点でも嬉しい。

『くろいヘドロ』
→サイクル戦においてHP管理しやすくなる優秀なアイテムだが、ダイマックスまで考慮すると特殊耐久に努力値を配分する必要があり、特攻に努力値を回しづらいのが少しネック。『とつげきチョッキ』をパーティの別のポケモンに持たせたい場合や変化技を絡めて戦いたい場合には有力な選択肢になりうる。

『こだわりメガネ』
→相手を崩す戦い方を強く意識したアイテム。打ち逃げ的な戦い方も多くなるので、その際のリターンを大きくできる点は嬉しい。『みらいよち』のダメージを底上げできるのが面白そうな一方で、相手が交代しなかった場合に『みらいよち』で拘ってしまうリスクもあるので難しい。

【主要な技】
<攻撃技>

ヘドロばくだん
→タイプ一致で威力命中が安定。『ヘドロウェーブ』も習得するが、サイクルの中で相手への負担を大きくする意味では『どく』の追加効果が強いので、その確率が高い『ヘドロばくだん』を優先したい。ダイマックスした際に『ダイアシッド』で無理やり打ち合いを制することができるケースがあるのも優秀。

かえんほうしゃ
→タイプ一致技の通りが悪い鋼タイプに有効な技。テッカグヤナットレイをはじめ鋼タイプも優秀な耐性でサイクル戦を得意とするポケモンが多く、一度見せておくだけで相手に安易な受け出しを許さずに済んで、結果的に他の技の一貫性が上がるため積極的に覚えさせておきたい。

サイコショック』『サイコキネシス
→タイプ一致技。タイプと特性の観点から毒タイプに圧倒的な強さを誇るので、その役割を遂行するための技。『めいそう』による展開を許さないことやミラーでの打点を考えると『サイコショック』が優秀だが、物理耐久に特化したドヒドイデを意識する場合は『サイコキネシス』を採用する選択肢ができる。

れいとうビーム』『ねっとう』『くさむすび
→自身が苦手な地面タイプに有効な技。エスパータイプの攻撃技を採用できている場合は優先度は少し落ちるだろうか。水技は毒技と炎技に耐性を持つヒードランにも有効で、ピンポイントな攻撃技を打たされるので『なみのり』『ハイドロポンプ』に比べて追加効果で後続にリスクを与えられる『ねっとう』が強力と考える。

『マッドショット』『じしん』
→技スペースが逼迫しているときに1枠で対ヒードランとミラーを意識できる技。『マッドショット』は素早さで優位に立ちやすいものの『とつげきチョッキ』持ちを3割削れないので火力不足、『じしん』は無振りでもHP振りヤドキングを3割以上削るが、性格の下降補正を素早さに掛けて後手に回る、などの理由から『ダイアース』として使わない限りミラーでの強さは『サイコショック』に劣る。

『みらいよち』
→威力120のタイプ一致技。2ターン後に相手の場にダメージが入るトリッキーな技だが、1ターンに集中的にダメージを与えることが可能になるので相手のサイクルを崩す手段として有効。ダイマックスした場合も威力140の『ダイサイコ』として活用できる。

<変化技>

『なまける』
→安定した回復技。積み技や強化アイテムのないダイマックスであれば『なまける』で回復しているだけでターンをいなせる。『さいせいりょく』だけでも十分に回復できるが、パーティ内で攻撃的な役割を持つポケモンが他に多い場合はサイクルをより安定させるために選択肢にあがってくる。

『あくび』
→起点回避用の技。シングル66で採用率の高いステルスロックとの相性も良く、『くろいヘドロ』持ちなら相手が『ねむり』を避けるために交代を重ねる間に徐々に体力を回復していくこともできる。攻撃技で交代先に負担を掛けていく戦い方を得意としている一方で、パーティ次第ではこういう動きの選択肢も取れることは強みと言える。

トリックルーム
→優先度の低さからサイクルへの参加やその中でのHP管理が難しい技だが、『さいせいりょく』のおかげでそれをしやすくなっている。相手のダイマックスへの切り替えしとしても優秀ながら、1試合に何度か使えることも多いはずなので素早さの遅い味方と合わせて能動的な崩し手段としても有効。

『トリック』
→『こだわりメガネ』を持たせるときに選択肢になるだろうか。不意のダイマックス時に『ダイウォール』媒体としても使える点は優秀。

『めいそう』『てっぺき』
→自身を要塞化する技。刺さる相手には刺さりそうな一方で、素早さが遅いことから1匹倒した後に切り返されやすい点と回復技まで採用したときに攻撃技の範囲を取りづらい点が気になる。相手にする場合は頭の片隅程度に意識しておきたい。

【育成】

★例1:サイクル&ダメージレース突撃チョッキ型
性格:ひかえめ
能力値:199-×-101-169-135-57
努力値:H.228 B.4 C.164 D.36 S.52
持ち物:とつげきチョッキ
技構成:ヘドロばくだんサイコショックかえんほうしゃ、ねっとう
・A189フェローチェの『いのちのたま』『ドリルライナー』+『ステルスロック』1回耐え
・C179アーゴヨンの『こだわりメガネ』『りゅうせいぐん』1.5発+『ステルスロック』1回耐え
・素早さ無振りドヒドイデ+1
・残り特攻(『サイコショック』+『ステルスロック』1回でH157-B224ドヒドイデ2発)
→特殊主体の相手に繰り出して打ち合いつつ火力で相手の後続に負担を掛けていくオーソドックスな使い方。『とつげきチョッキ』で特殊耐久を底上げすることで『さいせいりょく』の回復だけで十分な繰り出しができる。攻撃技をパーティ次第でカスタマイズできるのも強みだが、『とつげきチョッキ』に加えて多少の素早さ振りと『サイコショック』の採用でミラーでの打ち合いを強くできる。

 

★例2:怠ける採用受け型
性格:おだやか
能力値:202-×-101-132-176-51
努力値:H.252 B.4 C.12 D.236 S.4
持ち物:くろいヘドロ
技構成:ヘドロウェーブかえんほうしゃ、あくび、なまける
・C177サンダーの『ダイジェット(ぼうふう)』2発+『ステルスロック』1回を『くろいヘドロ』回復1回込み耐え
・H175-D81ウーラオスを『ヘドロウェーブ』で2発
・残り防御素早さに按分
→相手の特殊ポケモンをしっかり受けることを強く意識した型。不意にダイマックスされる選択肢に対しても『なまける』を採用することで様子見ができるようになっている。努力値を特殊耐久に大きく配分する必要があり、火力で負荷を掛ける動きが取りづらいことから『あくび』を採用、『ねむり』技を使うことと火力不足を補う意味で攻撃技は『ヘドロウェーブ』となった。

★例3:崩し意識トリックルーム
性格:なまいき
能力値:199-86-101-148-161-45
努力値:H.228 A.4 B.4 C.140 D.132
持ち物:くろいヘドロ
技構成:ヘドロばくだん、みらいよち、じしん、トリックルーム
・C177サンダーの『ぼうふう』+『ダイジェット(ぼうふう)』+『ステルスロック』1回耐え
・残り特攻(H202-D151ニンフィアを『ヘドロばくだん』で2発)
→味方と合わせて『トリックルーム』での崩しを意識した構成。『さいせいりょく』のおかげでHP管理がしやすいので、一気に試合を決めるというより有利ターンを増やす感覚で『トリックルーム』を活用する。崩し手段が『トリックルーム』からの攻めに依存し過ぎないよう『みらいよち』を併せて採用して、ミラーと鋼タイプへの打点を『じしん』に集約した。

 

【一緒に採用したいポケモン
サイクル戦を得意とする性能のポケモンなので、まずは最低限のサイクルを成立させるためにも物理耐久に秀でたポケモンと一緒に使いたい。特に、ヤドキングの弱点である地面タイプに強く出れると嬉しいので、テッカグヤエアームドといったポケモンは組み合わせやすい。
また、素早さの遅さもあって積み技を採用しづらいことからバンギラス・ラッキーのような単純に特殊耐久が高いポケモンを単体では倒せないため、それに強いポケモンを用意しておきたい。中でもウーラオスは汎用性が高く、ヤドキングには『みらいよち』もあるので、物理技と特殊技のどちらか(または両方)を受けなくてはいけない状況を作り上げて受けを崩していく立ち回りがしやすい。

 

【対策】
物理耐久は高くないので、弱点を突ける地面タイプが対策としては筆頭になる。ただし、ヤドキング側もある程度サイクルを想定して地面タイプに強いポケモンを用意しているはずなので、攻撃範囲の広さや積み技を活かして取り巻きごと崩す能力、もしくは繰り出し回数を増やすための回復手段がないと先に根負けしてしまうだろう。
ヤドキング側の積み技を考慮しなければバンギラスハピナスといった特殊耐久が高いポケモンを突破する術を持たないので、交代で受ける行動としては安定しやすい。また、幸いにもヤドキングのタイプ一致技は二つとも無効で受けられるタイプが存在するので、悪タイプや鋼タイプのポケモンを採用して技の一貫性を下げておくことも地味ながら重要なポイントと言える。
少しピンポイントな対策となると『すなじごく』などの拘束技、『サイコショック』に耐性があるポケモンでの『めいそう』、特殊主体を装って物理技を織り交ぜる役割破壊、などがあるだろうか。毒タイプであることと『さいせいりょく』による回復が強く定数ダメージの蓄積で突破を狙いづらく、かと言っても火力も高いので対面から機転にしていくのも難しい。まずは『さいせいりょく』を活かした安易な繰り出しを許さないために打点に欠けるポケモンをなるべく採用しないように心掛けたい。