「超探偵事件簿レインコード」の感想。

6.30に発売された「超探偵事件簿レインコード」の感想です。
Switchで遊べるゲームで、「ダンガンロンパ」シリーズの製作陣が携わったダークファンタジー推理アクションになっています。

 

 

【おおまかな感想】

・発売日から開始して1週間程度でクリアできた
・ゲーム内容の面白さは並程度、「ダンガンロンパに匹敵するゲームはそうそうできない」前提だったので、期待通り
・ゲーム体験としては個人的にはひどく感じた、操作やロードのストレス性が高く、途中から探索を最低限にして早く物語を終わらせることしか頭になかった
・ので、ダウンロードコンテンツの購入すべきか検討してしまうライン。。

 

ネタバレを含む感想は続きから。

 

 

【全体的な感想】

〇長すぎるロードのせいでテンポが悪い

まず一番の感想です。他の要素を公正に評価することを難しくさせているくらい、私にとっては非常に大きいマイナス要素でした。
ロードが小休憩のような立ち位置だったり回数が少なければまだ良いのですが、街で地区間を移動するだけで発生することから探索との相性が非常に悪いです。また、謎迷宮での推理デスマッチの画面に遷移するまでも毎回長いロードが入ります。これも怪人を倒しながら謎迷宮を進む冒険のテンポを非常に悪くする存在です。テンポの悪さを理解して何か別作業と並行しながらゲームを進めることもやりましたが、突然のQTEに対応できず瞬間的には失敗したマイナスな気持ちが発生させられました。

これらのせいで気乗りせず、早々とストーリーだけ回収する目的で義務感に近いゲームの進め方になってしまいました。サブクエストや探偵たちとの語らい要素も2章以降は全く回収していないです。

 

〇謎迷宮の発想は面白い

迷宮入りという言葉をヒントに謎を具現化した迷宮を進んで謎を解き明かすという発想自体は面白いと思いました。

推理の道筋を明快に描くのは作る側として少し難しいことだと思っていますが、謎迷宮では何でもあり設定でそういうツッコミ要素をユーザに受容させているところが面白いです。例えば、間違った推理で行き詰まったり、突然の閃きで道を切り開いたり、これらを実際の推理シーンとして自然に描くのは難しいですが、謎迷宮では行き止まりや新たな道の登場などで自然に受け取れます。また、「その主張は論理性を少し欠くのでは?」と思うようなことに対しても、相手が具現化した謎そのものなので答えさえ合っていれば次に進めるようなところもあったり、とにかく「異世界からしょうがない」と納得できるところが良かったです。

迷宮内でのミニゲームに特に面白さを期待していないですが、それほど不満点もなかったです。もう少し迷宮感のある仕掛けがあっても良かったかなと思いつつも、逆にこれくらいでもいいのかなという風に感じました。

 

〇探偵として事件を解決している…?

死に神ちゃんの能力で謎迷宮を崩壊させると真犯人は死にます。ここに謎を解き明かした後のカタルシスがなかったり、そもそもユーマがその選択をすることに抵抗や葛藤がそこまでないように見えていたり、が気になります。

カナイ区では保安部が公正な機能をしていないので、こういった方法でしか犯人を裁くことはできません。とはいえ、謎迷宮での記憶を持ち帰れるのはユーマと死に神ちゃんだけなので、現実世界で起こったことを取り上げると「緊迫した場面で急に真犯人が倒れて自白してそのまま死ぬ」という怪奇な事態になっていて、この中で周りの人間から探偵として認められていくところに違和感がありました。

 

〇その他

・雨降りしきる暗い世界観やBGMは好き
・先述の通り、探偵たちとの語らいを回収できていないので、登場人物に関する理解が浅い
・フブキの発言を見るのが好き、天然キャラを設定することは脚本台詞として人工的に天然っぽいものを作ることになるので、どういう方向でボケてくるかを見るのが楽しかった
QTE要素は失敗してもやり直しになるだけなので、ゲームプレイ的にはフブキの能力価値が下がってしまうことも気になった
・謎迷宮。ただ会話を流しながら直進するだけの瞬間が多すぎる
・推理デスマッチは今が何個目のセリフなのか教えてくれないのがちょっとだけ不親切
・アクションボーナスに挑戦させる点で前向きにさせる工夫は面白かったが、ボーナスを満たしたか章が終わるまでわからないのがちょっとだけ不便
死に神ちゃん危機一髪、面白くないゲームのご褒美をサービスショットにすることでモチベーションを作り出そうとする工夫が面白い
・大進撃 死に神ちゃんはチープだったのでもう少し頑張って欲しかった
・真犯人の最後の砦を豪快に破壊していく感じかと思いきや、飛んでくるのはただの罵詈雑言で、破壊もほぼ一撃で済むので爽快感がない
・超推理フィナーレもダンガンロンパプレイヤーからしたらお馴染みだが、ちょっとテンポが悪い
・そういえば台詞をフルボイスにしない仕組みが採用されていなくて悲しい
・これは「ボイス飛ばしたくないけど全部聞くのはちょっと…」というときにゲームのテンポを落とさない工夫なので、ダンガンロンパのときはすごく感動した

 

【各章の振り返り】

〇第0章「アマテラス急行殺人事件」

・タイトルから事件性が確定するので、最初から「いつ事件起きるかな」という気持ちになって、事件が起きた瞬間は衝撃があまりなかった(
・ただ、みんな死体になって出てくるのは想定していなかった
・露骨にナンバープレートが燃やされていたことや停電と2回の轟音から車両が入れ替わっていることはすぐに察知したのだが、どうやって入れ替わったかは2つの勘違いからすぐには分からなかった
・1つは線路が複線だと思っていなかったこと。正確には路線図を見たときに蛇行する線は複線だと最初思っていたが、トンネルに入った発言から山なりに描かれた線はトンネルを表していたのかと解釈してしまった
・もう1つは1号車が最後尾車両だと勝手に思っていたこと。ユーマがホームの端にある階段を登って何とか1号車に駆け込むムービーがあり、「発着ギリギリな電車は自分から遠ざかる方向に進みがち」という印象から勝手な思い込みができていた
・このトリック、犯人に仕立てられる役にはトンネルに入る前に目を覚ましてもらう必要があるので実現難易度は高いと思った(
・最後はクライマックス推理やるだろうなと思っていたら案の定過ぎて笑った(

 

〇第1章「連続密室殺人鬼クギ男」

・見立て殺人がただの恐怖演出ではなくトリックを隠す目的である、のは定番ネタではあるが、今回はそんな部分から考えるまでもないくらいに分かりやすすぎる。。
・ただ、早くに分かった気になってしまっていたため、美術館での殺人が絞殺ではなかったことはすっかり忘れていました(
・犯人は通気口を抜けられる小柄な人物で、シスターは怪我をしているから消去法で神父…というのが解答だが、シスターの怪我がいつのものか言及されていなかった気がする。。
・洋館での事件、投げ入れた鍵の上に死体を被せたが、なぜ鍵を投げ入れたのか(鍵も死体同様にテグスを通せばより正確にコントロールできるのに)
・ハララと一緒に謎迷宮を巡ったことから、残り3キャラと1章ずつ+ラストで5章構成かなという見通し

 

〇第2章「暗黒少女の沈黙」

・ロードのストレスを貯めながらクエストを消化してみて、やる必要がないと感じた
・マップ移動と会話だけなので推理要素が欲しかった、報酬も嬉しくなさすぎる
・ワルナとアイコが映る写真まで入手したところで事件の全容に確信を持って、実際すべてその通りだった
・推理が動機まで含めて100%当たっていたことは初めてかもしれない
・行き止まりになる3つのルートを通った後に実はそれらが繋がっていたことで真相に近づく過程は謎迷宮でないと描けないのでちょっとだけ面白かった
・デスヒコの能力は、これまで登場した探偵特殊能力に比べると超能力というより本人の努力で面白かった
・女子トイレに入ろうとしたら死に神ちゃんに止められたけど、死に神ちゃんが男性寄りの思考だったら逆に入れたのだろうか(

 

〇第3章「探・偵・失・格」

・マコトとの会話「ふーん、あれが僕の…」は結構露骨すぎる気がした
・前の章を100%推理できていたので、この章でも目指したかったが謎迷宮に入るまであまり分かっていなくて悔しい(
イカルディの水泳能力設定が活かされておらず、爆弾騒ぎに乗じて街を浸水させることで飛び降りて逃げたと予想していた(ドーヤ地区の水の高さがこれで変わったと考えていた
・銃に右利き左利きがあることを知らなかった、これはこのゲームでの一番の学び(
イカルディが排水溝への飛び込み、設定的にちょっと無理があると思っている
ダンガンロンパはこれが「超高校級の…」という設定があるため納得もできるが、たかだか地区大会で水泳優勝したくらいでは、というところ

 

〇第4章「キミのすべてが0(零)になる」

・この章を好きになれるかどうかでゲームの評価が大きく分かれる気がしている
・犯人と思わしき人物があまりにもいないので、察しはついた
・私はあまり好きではなかった、トリックというよりヤコーの動機や発言周り
・まず、ここまでの物語でヤコーに対する理解や思い入れが浅く、この選択に重みがない
・そんな中でユーマやヴィヴィアへの語り掛けがあっても、ただ殺人を自身の肯定しているだけになってしまう
・仲間を裏切ってまで復讐する、そこにどういう思いや葛藤があったのか、もっと欲しかった
・ので、これだったらまだヨミーに操られて仕方がなかったくらいの方が良かった
・「超探偵のなり方」付録を読めば解釈は変わるかもしれない
幽体離脱したときのミニゲーム、いらなさすぎる((

 

〇第5章「そしてボクもいなくなった」

・廃村で女子高生っぽい3人が入ってきたときに「このタイツはヨシコっぽい、ってことはこれは3人組で、彼女たちがいるということはこれがホムンクルスか」と察した
・カナイ区に振り続ける雨は当然人工的なものだと考えていたが、ホムンクルスが日光で消滅するからそれを防いでいるとこの時点では考えていた
・吹き飛んでしまったナンバーワンがまさか本物とも思っていなかったので、3章開始のマコトの台詞もあって早い段階で真相の核は察した
・「ホムンクルスの血の色はピンク」進めていくまでこれに気付くことができなかったのはちょっと情けない
・冷静に考えると、0章で焼死体だったのは入れ替えを目的にしつつ血を流さないためで、ドアに付着していた血は赤かった
・1章で死体を発見したユーマがやけに驚いていたのも、狂気的なクギの方に目がいっていると思って流してしまっていた
ホムンクルスを殺傷できないから謎迷宮の能力でマコトを倒すことが記憶を失う前のユーマ君の目的だと思っていたので、マコトを含めてどう救うかという方向での解決を目指していたのは良かった