2013年 秋ドラマ 感想

2013年秋ドラマの感想です。


観ていたのは次の2作品・・・なのですが、片方は一気にまとめて視聴したので「観ていた」という継続的に視聴していたような表現が正しいのかどうかよく分かりません((


安堂ロイドA.I. knows LOVE?〜」
「よろず占い処 陰陽屋へようこそ」



>「安堂ロイドA.I. knows LOVE?〜」
2013年、主人公でもある天才物理学者が100年先から来たというアンドロイドに殺された。そして、彼の婚約者であるヒロインもまた100年先から来たアンドロイドに命を狙われることになるが、そこに主人公と姿かたちがそっくりのアンドロイドが現れた。そのアンドロイドはクライアントにヒロインの命を守ることを依頼されており、彼女の命を狙うアンドロイドと数々の戦闘を広げていく物語。
これは私の説明なので雑ですが、このSFのようなあらすじを聞くと素直に面白そうだと思ったことが大きな視聴理由になりますが、これに主演するのが木村拓哉であり脇を固めるキャラクターに桐谷美鈴や本田翼といった個人的にすごく好きなキャストが揃っているので観ない理由があまりなかったです。木村拓哉は特別好きなわけではないのですが、長年トレンディーな恋愛ドラマの主演を張ってきた彼も昔のように簡単には視聴率を稼ぐことができなくなってきていて、それでもSMAPのメンバーが人気なのは後輩グループである嵐の台頭などもありながら時代に応じてうまく変化をしているからだというのを感じたことがあったため、木村拓哉の新境地としてドラマチックな恋愛をしないドラマが観てみたいと結構前から思っていました。
感想の前に個人的な話になりますが、面白いかどうか分からない作品に時間を割いて視聴するのですから「興味のある人物が出演しているか」というのはかなり重要視する要素になっていて、海外の方々の顔は名前はおろか顔も覚えるのが全く得意でないため、そもそも洋画を観ておりません。なので偏見溢れる意見になるかも分かりませんが、SFと言ってまず思い浮かべるであろう洋画があまり好きではありません。洋画の印象というものが「とりあえず困ったら爆発させておけばOK」みたいな風潮に見えております。ただ、実際にそういった作品が人気映画として扱われることは多々ある気がするので、それならばこの作品を好む方も多いのではないかと思っていました。しかし、視聴率に関しては特に伸びなかったようで、多くの方々が好む作品というのはどういうものなのかが分からないと思ったのが4話まで観た時点での大きな感想でした。しかし、5話から10話までを一気に視聴して思ったのが話が単純ではないというのが理由として大きいのかなと思いました。映画は基本的には2時間ベースであるため問題も理由も解決策もすべて埋め込むとなると、シンプルな出来にしなくては詰め込み過ぎて話が分かりにくくなってしまいます。その点、ドラマはその倍以上の時間を掛けることができるため、多少複雑な設定でもなんとか組み込んでいくことができそうです。私の言う洋画の印象みたいな映画を好む人にとっては複雑な設定というものは必要なさそうですし、そもそも私は録画して視聴しているので撮り損なわない限り見逃すことはないですが、ドラマを毎週視聴している人からすれば1話見逃しただけで話が分からなくなってしまうというのが大きな要因にあるのかもしれません。
そんなことを思いながら観ていたのですが、全体的な感想としては「よく分からなかった」というものでした。話の辻褄は合っていますが、物理学とか科学的とか言う設定から入っていることを考えると人の想いが素粒子云々の件は素直に頷きやすい設定ではないですし、ラストシーン近辺ではヒロインを殺すどうこうではなく新世代アンドロイドが暴走しただけの形になっていたような気がします。また、主人公を支援するアンドロイドが感情のインストールだけで記憶ごと簡単に復活したり最終的にアンドロイドの体に物理学者である主人公の脳データを読み込ませるなど都合良さそうに回ってしまった感じは否めません。
個々に感想を述べていくと、支援アンドロイド・サプリが主人公に感情アプリのインストールをするのが早すぎたような気がします。これは私が恋愛ドラマ的な展開よりもSFドラマとしての展開を望んでいたからという個人的な希望も含まれているのですが、身を挺して主人公を守ったサプリがその数話あとで復活してしまい、「人間も機械も死んだら終わり」という言葉の重みが薄れてしまった感じがありました。
復活と言えば、平岡祐太が演じていたアンドロイドも同じでそもそもあっさり死んでしまったのにまたあっさりと生き返ってきました。そして、これまたあっさりと警察側を裏切って主人公の側について終盤では主人公の手が届かない位置をカバーして新世代アンドロイドの側にいたアンドロイドを1:1交換で倒すというシナリオをスムーズに進めるための便利屋さんとしてあっさりとまた死んでしまいました。平岡祐太は「すごく便利な2枚目」として好きな俳優の一人なのですが、全体的にご都合合わせのために雑に扱われてしまった気がするのでもう少し何か拾って欲しかったかなと思いました。
そして、謎の美少女役から新世代アンドロイドとしてラスボス役に君臨することになった桐谷美鈴。主演を木村拓哉柴咲コウで賑わせた割にはラスボスが桐谷美鈴というのはスケールがやや小さいように見えますが、個人的には「物語の展開的にこれがラスボスの位置付けでいいのか」という疑問を除いては結構良かったような気がします。私が彼女のことを好きなので贔屓目で見ているだけかもしれませんが((
物語に関しては「よく分からなかった」とは言っていますがアクションシーンはかっこよくて観ていて面白かったですし、私が好きなキャストを眺められたこともあって観て良かった作品だなと思いました。木村拓哉の最初の物理学者の設定はキャラクターこそ全く違うものの「ガリレオ」の主人公の変人ぶりの流れに乗っかったような感じでしたが、感情のアプリをインストールされても笑うことはなく、最終回でヒロインに別れを告げるときに不器用に笑った演技とかは観ていて好きでした。
あとあと思い出しましたが、もう一つ好きじゃなかった点をあげるとすれば複雑な感情を「愛」という一言で表現してまとめてしまったこともありましたね。この作品に限らず製作する側は様々な思いを抱えて苦しみ抜いた上に「愛」という言葉にたどり着いたつもりなのかも分かりませんが、曖昧なくせにどこか尊いように思われている不信な言葉に安易に頼ってしまうのは私は好きではありません、という個人的な好みの問題です。


>「よろず占い処 陰陽屋へようこそ」
情に厚い(?)地域色溢れる王子の商店街にやって来て占い屋を開くという陰陽師の主人公。彼は特別な霊感や能力を持っているわけではなく言動が冷たいこともあり、街の悪い評判が流れないよう退去してほしいと住民に言われる始末だが、街の日常にあるお悩みを解決していき次第に街に溶け込んでいく・・・物語。
主演の錦戸亮倉科カナが個人的に好きなこともありますが、占い屋さんが主人公になるドラマはあまり観たことがなかったというのが大きな理由でした。特に、私は占いを特別信じていませんが、占い師は何を根拠に占いをしているかにはとても興味があったため、それを知ることができなくてもエンタテイメントとしてそれを眺められたらという思いが強かったです。
物語は1話完結。陰陽師の胡散臭い恰好とは関係なく観察力・洞察力を持ってして商店街に起こる小さな悩みを解決しているだけと言えばそうなので派手さはありませんが、個人的にこういう物語は好きです。謎解きとしては複雑すぎずに誰かが命を落とすような危険性もなく、穏やかに流れている日常の中にありふれているような問題が自然と発生して解決されてその間穏やかなまま日常が流れる・・・ある意味ドラマチックさの欠片もないようですが、そんな風景も好きなようです。しかも、人情含む悩みを解決する際にはそれぞれ人と人との想いが何かしらの形で衝突してどうにかなるという展開が主流ですが、この作品の場合は主人公の「それは祟りのせいですね、祟られているので仕方がありません」という一言で原因をすべて悪霊のせいにすることによって、下手なわだかまりを生むことなく解決することができるというのが面白い点でしょうか。
そんなリアリティのある日常的風景を観ていたのですが、終盤で唐突に近所に住む高校生である狐くんのお話。序盤のうちから普通の人間より五感が異常に優れたり目が光ったりという描写はありましたが、まさか本当に人間ではなくて狐だというとは思っていませんでした。
あと男子高校生の話題で毎回登場していた三井さんの話。ずっと後ろ姿だけ映されていましたがようやく最終回になって振り返りって顔が分かり、以前に何度か占い屋に訪れていた女子高生だということが分かります。うまくできているなと思いながらもこの展開が読めず伏線を回収できていなかった自分がなんとなく情けないと思ってしまいました((
周りの住民のような情は持ち合わせておらず一人すべてを理解して俯瞰するような位置に立ち、自分の気持ちに正直且つ本心で何を考えているかは分からない主人公のキャラクターが好きだったため観るモチベーションは続き、妖狐の話でよく分からないことになりそうながらも物語も無難にまとめてあっただけに個人的には楽しめた作品でした。