WCS2009ルール構築〜カバルドン+ラティアス〜

カバルドン いじっぱり すなおこし
215-162-144-×-103-68 H.252 A.124 B.44 D.84 S.4
じしん、いわなだれ、ほえる、まもる@ラムのみ


ラティアス おくびょう ふゆう
175-×-111-153-152-165 H.156 B.4 C.180 D.12 S.156
りゅうせいぐん、でんじは、いばる、トリック@こだわりスカーフ


○サンダー おくびょう プレッシャー
197-×-113-146-114-155 H.252 B.60 C.4 D.28 S.164
10まんボルト、どくどく、みきり、はねやすめ@たべのこし


メタグロス いじっぱり クリアボディ
185-171-151-×-133-101 H.236 A.4 B.4 D.180 S.84
コメットパンチ、バレットパンチ、じしん、まもる@オボンのみ


7/7に開催された第1回関東09ダブルオフにて予選4-1で1位通過、決勝1-1でベスト8。



【構築概要】
カバルドンを採用したスタンダード構築。カバルドンは物理耐久が高いのでカビゴンメタグロスとの打ち合いに強く、素早さが遅いことからトリパに対してもある程度戦うことができます。その反面、高速特殊ポケモンが苦手となるため、隣にはラティアスを並べてその対策をします。
なお、ライトさんの当時の構築を全面的に参考にしています。
◆カバルドン+ラティアス軸スタン-やなことをどーにかこーにか


【構築経緯】
3年前にWCS2009準拠ルール 構築叩き台10選という記事を書きましたが、まずここに載せている構築にある程度勝てることが一つの基準になると考えました。
記事を見て分かるように、このルールのトップメタはメタグロスカビゴンであり、ほとんどの構築は電磁波やトリックルームを絡めてそれらのポケモンを活かす戦い方をします。そのため、特にこの2匹に強いポケモンを中心にしたパーティを組みたいです。


そこで着目したのがカバルドンです。カバルドンは物理耐久が高くカビゴンメタグロスと打ち合える性能を持っています。相手が素早さ操作を絡めてきた場合も、トリックルームであればターンを凌げる程度には戦えて、電磁波であればカバルドンには無効です。また、永続で定数ダメージを入れられる特性の砂起こしが強力です。特に、「サンダーをはじめ食べ残し+身代わり守るによる展開を許さないこと」「気合の襷ドーブルの処理速度が早い」などの点で嬉しく、他の地面タイプではこれを叶えることができません。
しかし、カバルドンは特殊耐久がそれほど高くありません。特に、地面無効で高火力を叩き出せるラティオスは苦手なので隣のポケモンで対策をする必要があります。そこで、今回はラティアスを選択しました。ただラティアスを採用しただけでは同速に負けた場合にラティオスの行動を一度許してしまうので、拘りスカーフを持たせて先制でラティオスを縛ることでカバルドンの動きやすさを上げます。また、副産物として変化技を絡めて戦う相手に対して拘りスカーフ+トリックで妨害を図ることができます。
先発2匹ではギャラドスメタグロスへの打点が足りていないので後発の1匹目にはサンダーを採用。また、ラティオスに強いポケモンラティアスしかいないので交代先として使えるメタグロスを最後に採用して4匹を決定しました。


仮想敵としては「懐古テンプレ」「テンプレに対する強烈なメタ構築」「WCS2010以降の着想を逆輸入したドーブル絡み及び積み」が多いと考えていて、吠える・トリック・毒々と攻撃以外の崩し手段も多いので、この辺りには不利を取らない見込みでいました。
逆に、対雨パーティに不安が残りますが、当時雨パが猛威を奮っていたのは「力量の分からない相手に当たることも多い予選形式で後手に回りにくいことが強い」「全国大会では見せ合いあり形式なので苦手な相手に対しても戦い方を選べる」の2点が大きいと思っていて、今さらこのルールに取り組むような人々が見せ合いなし形式で苦手な相手への勝率が安定しない雨パを選ぶことは少ないのではないかと思い、妥協することにしました(・・・という希望的観測に過ぎない)。


余談ですが、当初はヒードランに目を付けていました。ヒードランラティオスの攻撃に耐性を持ちながらメタグロスを素早く処理できる貴重なポケモンで、4世代で猛威を奮う大爆発にも強く、カビゴンからの打点がないことも多い、などトップメタへの対策という意味では非常に優れています。
しかし、ヒードラン構築はドーブル絡みを安全に処理する方法が少なく、構築の進捗が思わしくなかったです。そんな中でライトさんのブログに「ゲンガー+瞑想ライコウ+ヒードラン」の記事があることを記憶していたので、参考にしようと読み返していたところで見つけたカバルドンに魅力を感じて切り替えることにしました。
因みに、先発の順番はラティアス+カバルドンが推奨です(ラティアスの方が悪あがきを選択させられる可能性が高いため)。


【個別解説】

カバルドン
<持ち物:ラムの実>
ドーブルダークホール対策。地震+砂ダメージで気合の襷も合わせて処理ができるので一度眠りを防げれば十分です。また、相性的に有利な炎タイプから飛んでくる鬼火に耐性をつけたり、ラティアスの威張るで攻撃を強化することもできます。
<技構成:地震、岩雪崩、吠える、守る>
メインウエポンの地震、浮いているポケモンへの打点になる岩雪崩、大事に扱うための守る。最後の技は腹太鼓カビゴンや浮遊スキルスワップなどの対策として吠えるを採用しました(4世代のカバルドンは吹き飛ばしを習得できない)。
メタグロスカビゴンとの打ち合いを強くする意味では鈍いや怠けるも採用したいのですが、素早さが遅く特殊技で大きなダメージをもらいやすいことを考えると守るは不採用にできず。噛み砕くはラティオスクレセリアに有効な打点となりますが、今回はそれをラティアスで対策するので不採用としました。
<実数値:215-162-144-×-103-68 H.252 A.124 B.44 D.84 S.4>
75%地震でH187-B151メタグロス2発(252/256)。C182ラティオスの命の珠流星群耐え、C177サンダーのめざめるパワー2発耐え(255/256)。A150カビゴンのランク+1恩返し2発耐え(255/256)。
まずメタグロスに打ち負けないように火力を確保。残りは仮想的であるカビゴンラティオス前での行動保障を意識して耐久に配分しました。対雨を考えるとルンパッパのハイドロポンプを耐えて欲しいのですが、火力を削る必要があるため断念しました。素早さはトリックルーム下でメタグロスとの素早さ関係がはっきりする66が良いかもしれませんが、個体の調達が間に合いませんでした。。


ラティアス
<持ち物:拘りスカーフ>
カバルドンが苦手なラティオスを上から縛るために拘りスカーフ。ハバンの実では同速に負けたときにカバルドンが痛手を負ってしまうので先制する必要があったり、砂嵐と合わせてメガヤンマへの強さが変わります。また、拘りトリックで相手の展開を妨害できる点も魅力的です。
<技構成:流星群、電磁波、威張る、トリック>
ラティオスを一撃で倒すための流星群、ヨノワールクレセリアなどのサポート役を腐らせるためのトリック。残る2つはトリックをした後に盤面作りができる電磁波と威張るを採用しました。打点のない相手に対しても電磁波+威張るである程度勝負することができます。
ライトさんのブログでは「流星群、威張る、トリック、守る」となっていましたが、ドクロッグ+エンペルトの初手に対してカバルドンエンペルトを攻撃できるよう電磁波を打ちたいと思ったので電磁波を採用。威張ると守るのどちらを不採用にするかですが、守るを使うシーンをあまり想像できなかったのでラティアス1匹で対応できる範囲を広げる威張るを優先。ギャラドスへの打点として10万ボルトが欲しい気持ちもありますが、それは後発のサンダーで対応します。
<実数値:175-×-111-153-152-165 H.156 B.4 C.180 D.12 S.156>
性格補正のないすいすいルンパッパ抜き。C161キングドラの命の珠竜の波動+砂ダメージ耐え(15/16)。A194メタグロスのコメットパンチ+バレットパンチ+砂ダメージ耐え(255/256)。流星群でH161-D76メガヤンマ1発(15/16)。
対雨とスタンを意識して砂ダメージ込みの耐久調整。素早さはスカーフラティミラーを考えると最速にしたいですが、低耐久のポケモンを流星群で仕留めるためには少し火力が足りなかったので、最速メガヤンマ抜きを意識しつつ対雨を少しでも楽にできるラインまで落としました。拘りスカーフバクフーンは性格を控えめにしないとHP振りのメタグロスすら倒せないので控えめが多いと判断して妥協しました。


★サンダー
<持ち物:食べ残し>
サンダーの場持ち性能を良くするために永続で発動する食べ残し。砂ダメージも永続なので帳消しにするために持たせます。
<技構成:10万ボルト、毒々、見切り、羽休め>
ギャラドスメタグロスを着実に削るための10万ボルト、大事に扱うための見切り(守る封印+大爆発を意識)。残る2枠には、羽休めと毒々を採用して場持ちの良さと削り能力を補うことにしました。
原案はメタグロスに毒々を採用していますが、バレットパンチを優先したためサンダーの枠に採用。サンダーに搭載されていためざめるパワー氷はガブリアス対策として必要ですが、汎用性を考えたら毒々の方が強く、数は少ない上に少なくとも予選はトーナメント形式ではないので負けたら仕方ないと割り切れることから、対策を諦めました。
<実数値:197-×-113-146-114-155 H.252 B.60 C.4 D.28 S.164>
C177サンダーの10万ボルト2発耐え。A154カビゴンのランク+2恩返し+砂ダメージ耐え(15/16)。残り素早さ。
役割を考えると最速ギャラドスを抜ける素早さは欲しく、最速クレセリアや凍える風エンペルトなども考慮して素早さに多めに振りました。特殊耐久に厚いメタグロスを10万ボルトで3発で倒すラインに足りていないので、もう少し特攻に振っても良かったかもしれません。



メタグロス
<持ち物:オボンの実>
優秀な耐性を活かして交代で繰り出すことが多いため耐久を向上させるオボンの実。
ヒードランドサイドンを考えると半減木の実も悪くはないのですが、やはり汎用性を考えると優先順位は一つ劣ると思いました。
<技構成:コメットパンチ、バレットパンチ地震、守る>
メインウエポンのコメットパンチ、頻出であるメタグロスミラーで打点を持つための地震、大事に扱うための守る、は必須。最後の枠は雨パーティに抗えるようにするためにバレットパンチを採用しました。対雨はすいすいポケモン以外にはメタグロスが戦えることが多いため、水耐性のあるラティアスや通りの良いサンダーでバレットパンチ圏内に押し込むことで、メタグロスが自ら縛りを解除できるような状況を作ることを意識して戦います。
上記の理由で元々採用されていた毒々はサンダーの技枠に移管。対雨という意味では大爆発も候補ですが、雨パのポケモンは身代わりを持つ可能性も高く、こちらが不利な読みを強いられることになるので採用しませんでした。
<実数値:185-171-151-×-133-101 H.236 A.4 B.4 D.180 S.84>
C177アグノムの命の珠大文字耐え、残り素早さ。メタグロス地震2発+サンダーの10万ボルトでH187-B151-D135メタグロスを倒すため攻撃に性格補正。
交代で繰り出すことが多いことや対雨で生き残ってもらう必要性を考えて、特殊耐久重視の配分。素早さはミラーでの打ち合いを意識して配分しました。ミラーに関してはもっと極端に速いメタグロスも多数存在するとは思いますが、素早さから相手の配分を想像できると思ったので無理ない範囲で配分しました。


【構築総評】
構築力に定評のあるライトさんの原案を参考にしているため、非常に強かったです。また、環境的にもカバルドンの刺さり方が良かったため、構築の選択も良かったと思います。
昨今のダブルバトルと違って(大爆発を除いて)スローペースな戦いになりやすく、何かしらの展開で差をつけていく戦術が多いです。そんな中で、トリック・吠える・毒々など展開に対する崩し手段を多く取り入れていたことで、数多くの相手と対等に渡り合える点が良かったと思います。今回当たりませんでしたが、スタンを使う上で厄介な身代わり守るサンダー・ライコウや要塞レジスチルや太鼓暗示トリパに対してもしっかり立ち回りを用意できていたので、安心して戦いに望むことができました。
決勝トーナメントで負けた試合は「相手が後発に残していたポケモンを倒したつもりで戦ってしまった」というケアレスミスによるものでした。ただ、その試合も十分に勝機がありましたし、準決勝に進んでいたクレセグロスや決勝のドーブルムウマージに対してもしっかり戦えるプランを練っていたので、十分に優勝を狙えたかと思うと少し残念な気持ちではあります。最近、この手のケアレスミスが頻発しているので、それに対する反省はしっかりしたいと思います。